「トイレットペーパーの使い切りにご協力ください」をずっと勘違いしていた

私はずっと「トイレットペーパーの使い切りにご協力ください」の意味を勘違いしていた。

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飲食店の「食べ残し厳禁」といっしょで、「ホテルでは絶対にトイレットペーパーを余らせてはいけない」のだと解釈し、積極的にガンガン使っていたのだ。

でも、今ならわかる。これは「トイレットペーパーを残したらタダじゃおかないわよ」の忠告なんかではない。「毎回新品じゃなくてゴメンなさいね。前の宿泊客の続きから使用してくださいね」というメッセージだったのだ。

 

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どうやら私は、今までとんでもないことをしていたらしい。

正義感に突き動かされ、「ホテルの頼みだから頑張らないと!ファイト!」などと自分にエールを送り、もうすっかり綺麗になった肛門へ向けてトイレットペーパーを大量派遣していた。そうでもしなければ、1泊の滞在期間内に「使いきれ」なかったからだ。

 

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この手の表記はあらゆるホテルで見かける。そしておそらく、すべての宿泊客のうち7割は勘違いしているのではないか、と私は睨んでいる。根拠はとくにない。今の私にあるのは罪悪感だけだ。

 

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このメッセージの問題は、すでに協力している者に向かってさらに協力を仰いでしまっている点にある。

 

どういうことか。セットしてあるトイレットペーパーは前の客の使いかけなのだから、その続きから使う次の客(私)は、もうすでに「使い切り」の協力者である。

その協力者に向かって、「ご協力してください」とアクションを促す。するととうぜん我々は「なにをすればいいんだ?」と脳みそを働かせるわけで、もうバッチリ協力していることになど気づかぬまま、答えを探す。

 

そして見つけるのは「たとえ便秘だろうが関係ない。ぜんぶ使い果たせ。紙をぜんぶ使い果たせェ!」という誤答である。

だって「使い切れ」って書いてあるんだから。そして仰せの通りに、いつもの1.8倍くらい巻き取ったりなんかして、「こんなに使い切れないよ……」などと弱音を吐きながらも、必死に使い切ろうとする。

これが悲劇のカラクリである。

 

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じゃあいったいどうすればいいのか。まずは「トイレットペーパーの使い切りにご協力ください」の表記を変えることだ。複数の解釈ができる表現はよくないから、もっと遠慮なくダイレクトに伝えていいと思う。

 

個人的には「前のお客様の途中からとなっておりますが、あなたに文句を言う資格はありませんし、言われる筋合いもありません。さすがに使いかけの歯ブラシが嫌なのはわかりますが、使いかけのトイレットペーパーが嫌だというのは、ワガママが過ぎると言わざるを得ません。新品を出せ、俺は新品のトイレットペーパーじゃないと使わない、と仰るのであれば、じゃあ便座もソファもマットレスもリモコンも取り替えろってことですか?え?どうなんですか?と極論を振りかざして詰め寄る所存でございます。さらに畳み掛けるようにして、だったらホテルになんか来るな、の決めゼリフをお見舞いいたします。そしてあなた様の部屋だけ停電させます。ですので、つべこべ言わずにこれでおケツをお拭きください」を提案したい。

あるいは「紙資源を大切に」。

 

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私が便座に腰を下ろすと、目の前にはあと少しで終わりそうなトイレットペーパーがあった。

「ははは。前のお客はこんな惜しいところで諦めたのか。あと少しだったのにな。ま、ナイスファイトだ。よくやったよ。その意志、俺が継ぐぜ!アンタの努力をムダにしてたまるかよ!」と手を伸ばしたところでハッとしたのだ。

……なぜ新品じゃない?

……なぜ途中から?

……使い切りってまさか。

……ッ!

 

f:id:MORIKO:20190310165859j:plainこうして私は気がついた。ニュートンが万有引力に気づいたときの衝撃を100とするなら、私のそれも100だ。それくらいビックリ仰天な真実だった。

 

そして悟った。「この誤解を解いて、すこしでも多くのトイレットペーパーを救うこと。それこそが、私が残りの人生をかけて取り組むべき使命なのではないか」と。

 

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今こうしている間にも、日本中でトイレットペーパーが犠牲になっている。もうすっかり綺麗になった肛門に擦りつけられ、流される。本人はそれが正義だと思っている。

だが、悪だ。悪を悪だと認識していないところが厄介だ。さらに悪いことには、トイレットペーパーの大量使用はトイレを詰まらせる原因にもなりうる。

だから私は闘う。けっして諦めない。これは私の贖罪だ。

 

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自分のケツは自分で拭くのだ。文字通りの意味で。