『作家の履歴書』をご紹介します。
21人の人気作家たちが、それぞれ作家を目指したきっかけや、1日に書く文章量、執筆スタイルから収入の管理方法などについて語った内容をまとめた本です。
小説家志望の方やセルフ出版に興味のある方はとくに楽しめるのではないでしょうか。
ブロガーなど日常的に文章を書いている人にもおすすめです。
『作家の履歴書』 感想
石田衣良、江國香織、角田光代、北方謙三、桜庭一樹、辻村深月、誉田哲也、道尾秀介など、総勢21人の作家たちが、それぞれの執筆ペース、推敲の仕方、影響を受けた作品などを語っています。
本書を読んで、素直に「小説家っていいな」と思いました。
やはりみなさん人気作家なだけあって、収入も相当のようですし。
年収6億円ってマジか!
いきなりお金の話で恐縮ですが、『人間の証明』などで知られる森村誠一の最高年収が6億円だったそうで、驚きました。小説家ってすごいなと。
『人間の証明』は昭和50年代に出版、映画化され、大ヒットした作品です。
当時の6億円というのは、現在の価格にすると相当のものではないでしょうか(現在の6億円でもじゅうぶんもの凄いが)。
Kindleのセルフ出版で得た、たった数百円の印税で喜んでいた私はなんだったのか。
なお、森村氏は「いまは年収1億ぐらい」とサラッと書いています。
いやぁ夢がありますね、小説家は。
他の小説家は、森村氏のように具体的な収入は公開していませんでした(森村誠一のサービス精神に感謝。いや、単なる自慢か?)。
わりとお金には無頓着な作家が多いようです。
この本を買うと、森村氏の年収1億円達成に貢献できますよ。
執筆スタイルも人それぞれ
小説家の執筆スタイルを知れたのも面白かったですね。
桜庭一樹(『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』他)は、昼頃に起きてコーヒーを飲み、食事をし、原稿用紙15〜20枚を書いて仕事を終えるそうです。
1日の執筆時間は3時間ほどなんだとか。
会社員にとっては、3時間で仕事が終えられるなんて夢のような話です。
頑張ってもサボっても8時間は拘束されるのが会社員ですからね……。
9時から5時までの時間を切り売りしているだけなので仕方ないのですが。
会社員のような執筆リズム
桜庭一樹と対照的だったのが、角田光代(『八日目の蝉 』他)です。
彼女は月曜日から金曜日まで、朝9時から午後5時まできっちり書くとのこと。
まるで会社員のように律儀なペースで書いているんですね。
どれが良い悪いといった話ではなく、自分にあった方法を見つけるのが大切なのでしょう。
道尾秀介( 『向日葵の咲かない夏』他)のように、1日2時間の睡眠時間で仕事と執筆を両立させられてしまう、体力のバケモノみたいな人もいますし。
全員かなりの読書家
作家の先生方は例外なく読書家でした。
桜庭一樹は「お金はこわいほど本にしか使わない」のだとか。
やはり小説家になるにはたくさんの本を読むのが定石のようです。
(森博嗣のようにほとんど本を読まない活字嫌いの稀有な作家もいることにはいますが、例外でしょう。なお森博嗣は本書に登場しません)
もちろん読んでばかりではなく、どこかで作品を書かなければ、 ただの「読書好きな人」で終わってしまいますが。
小説家を目指す心構え
朱川湊人(『花まんま』他)の考え方が面白かったので紹介します。
朱川氏は「小説家には年齢制限がないし、外見も問われない」としたうえで、「のんびり構えてりゃそのうちどうにかなるだろう」と語っています。
年齢制限がなく、外見も問われない。たしかにそうですね。どっしりと構えて焦らず気長に書くのが良さそうです。
公務員試験とはちがい、 小説の賞には何歳になっても応募できるので。
まとめ:小説家になる可能性はあなたにも
『作家の履歴書』を読んでいて意外だったのは、「まさか自分が作家になるとは思っていなかった」ということを半数近くの作家が語っていたことです。
コピーライターをやっていて、ひょんなことから小説家の道を歩み始める。
バンドでの成功を諦め、お金のかからない創作活動だからという理由で小説を書き始める。
人生どうなるかわからないものですね。
ひょっとすると、あなたもいずれ小説を書く日がやってくるかもしれません(すでに書いている方もいるでしょう)。
いつかやって来るかもしれないそんな日のために、本書で小説家の生態を知ってみてはいかがですか?
作家の履歴書 21人の人気作家が語るプロになるための方法 (角川文庫)
- 作者: 阿川佐和子,石田衣良,江國香織,大沢在昌,荻原浩,角田光代,北方謙三,北村薫,小池真理子,桜庭一樹,椎名誠,朱川湊人,白石一文,高野和明,辻村深月,藤田宜永,誉田哲也,道尾秀介
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 2016/04/23
- メディア: 文庫
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以上、『作家の履歴書』を読んだ感想でした。
1人の小説家につき7ページでまとめられているので、サクサク読めますよ。