この記事では尾崎世界観著『泣きたくなるほど嬉しい日々に』を読んだ感想をご紹介します。
尾崎世界観はクリープハイプのボーカルであり、作詞作曲を手がける傍ら、こうしてエッセイや小説などの執筆活動も行なっています。
『泣きたくなるほど嬉しい日々に』感想
クリープハイプのフロントマンである尾崎世界観が綴ったエッセイです。
『苦汁100%』は日記のような感じでしたが、本書は文章量のあり、きちんとしたエッセイという体をしています。
表紙のデザインが……
内容の前にまず触れておきたいのが、表紙のデザインです。
あまり具体的なことは書けませんが、とりあえず下ネタです。表紙からさっそく下ネタが炸裂しています。
電子書籍版だと楽しめない仕様なので、ぜひ紙の本で買ってください。
一応写真を載せました。よく目を凝らして見てください。ちょっとわかりにくいかもしれませんが。
尾崎世界観、気にし過ぎ
尾崎世界観はほんとうに細かいことを気にする人ですね。
本書を読んでいて「これれは生きづらいだろうな」と感じましたし、本人も「生きづれー」と書いています。
知人の家を出た直後に「ガチャン」と鍵を閉める音が聞こえて落ちこみ、テレビ出演をしてワイプに抜かれたときの顔がわからず悩み、エゴサーチで悪口を見てはイライラする。
いろんなことが気になり過ぎて、そのたびに感情が揺れ動く。
生きづらいだろうとは思いますが、繊細な感覚の持ち主だからこそ、感情の機微を歌や文章にできるのだとも思います。
短所に見えて、彼の長所というか持ち味なのかもしれません。
ただ、シニア層の定義が曖昧だからと腹を立てるのはさすがにちょっと……。
読書について
『泣きたくなるほど嬉しい日々に』のなかで尾崎世界観は読書についても語っています。
読書家として知られる彼は「読書の秋」という表現が気にくわないそうで、365日好きなときに読むわ!と毒づいていました。
まぁたしかに、秋だけ読書を推奨するのはよくわかりませんよね。
とはいえ、「読書の秋」への不満を2ページにもわたって綴ってしまうあたりは、尾崎世界観らしいというか、しつこいというか。
中古の本を買ってしまった
彼は本と出会う場所について、書店、古本屋、図書館それぞれにたいする考えを述べています。
なかでも印象的だったのは古本屋です。100円の古本を買ってもなかなか読み出せないのだとか(『チロルとポルノ』の歌詞みたい)。
どんなエッセイなのか
ザックリまとめると本書は、クリープハイプ尾崎世界観が日常で感じた些細な違和感などにああでもない、こうでもないと煩悶する様を綴ったエッセイだといえます。
簡単な日記のような形式だった『苦汁100%』とはちがい、本書は1つのテーマについてそれなりの文量で書かれているので、より深く彼の考えに触れることができます。
「殴りたくなる顔をしている」といわれたことについて、尾崎世界観の出した結論なんかも面白いですよ。
まとめ
『泣きたくなるほど嬉しい日々に』を読んで、正直すこし胃もたれをしました。
歌詞の言葉遊びは楽しめるのですが、そこそこ文章量のあるエッセイでもおなじことをやろうとする(つまり上手いことを書こうとする)ので、読んでいてお腹いっぱいになってしまうんですね。
言葉遊びのためだけに、エッセイの本筋とは関係ない方向に逸れまくります。
それが尾崎世界観らしさだといえばまぁそうなのでしょうが、私は途中で「もういいよ!」と感じてしまいました。
上手いことを書いたのだと読者に気づいてもらえるよう、自身で括弧をつけて解説までしてますし。なんというか、押しつけがましいです。
読者の読解力を信用していないのでしょうか。
と、最終的に悪口になってしまいました。
尾崎世界観は本書のなかで「悪口をやめたい」と書いています。同感です。
以上、『泣きたくなるほど嬉しい日々に』を読んだ感想でした。