オープンカーのせいで薄毛になりかけました。
髪を洗っていて異変に気づいた
風呂場で髪を洗っていた私は、鏡に映った自分の頭部に驚きました。
なんと頭皮が丸見えだったのです。
「こんなに頭皮が見えていたかなぁ?」としばらく考えた末に、「いや、こんなに頭皮は見えていなかった」という結論にいたりました。
21歳の9月。自宅の風呂場にて、私は自分がハゲ始めたことを悟りました。
紫外線が薄毛の原因になると知る
薄毛についてネットで調べるうちに、どうやら紫外線が頭皮に良くないことが判明しました。
7月にコペンローブ(オープンカー)を買った私は、知人の女性に「オープンカーって屋根がないから不便じゃない?」と誤解されるほど、つねに屋根を開けて乗り回していたのです。
しかも帽子を被らずに。
「原因はこれか……」と思いました。
7月〜8月にかけて強い紫外線を浴びすぎた結果、頭皮にある毛母細胞というやつが死滅してしまったのだ。おれはなんてバカなことをしたんだ。
まだ結婚相手も見つかっていないというのに。
……後悔先に立たず、です。
頭皮は真っ赤に焼けていた
それからというもの、風呂に入るのがとにかく苦痛でした。
濡れた頭部を蛍光灯に照らされた結果、ふだんの5割り増しでハゲて見えるのです。
「お前はハゲているんだ!」と現実を突きつけられているようで、納車3ヶ月目にしてコペンの売却を考えるほど、私の精神は追い詰められていました。
しかもよく見ると、頭皮が異様に赤いのです。その色は、もはや人間の頭皮のそれではありません。
なんというか、赤鬼の皮膚のような、グロテスクな赤色をしています。
「何かを得れば何かを失う」といいますが、まさかオープンカーを手にする代わりに頭髪を失うことになるとは、思ってもみませんでした。
心を閉ざして屋根を閉める
コペンの説明書に目を通しました。どこにも「薄毛のリスク」に関する記載はありません。
できれば、「炎天下で開けすぎると頭皮が焼けすぎてハゲすぎる可能性があります」などと知らせて欲しかった。そう思いました。
屋根を開けない日がしばらく続きました。気分も沈んでいきます。
元気を出すには、どうやら太陽光を浴びて、セロトニンの分泌を促すといいんだとか。
いや、太陽光のせいでハゲかけているのに、太陽光を浴びて元気になれだなんて……。
日光を浴びたらセロトニンではなくハゲトニンが分泌され、私の精神はますます暗黒街を彷徨い、毛髪は空中を漂うことになるでしょう。
元気を出すために必要な太陽光を浴びられないことが切なくて、八方塞がりになった私は、薄くなりかけた頭を抱えました。
帽子は重要である
オープンカーに乗るなら帽子はあったほうがいいです。いや、必需品です。
帽子無しのオープンカーなど、安全バー無しのジェットコースターも同然だといえます。
かならず免許証と帽子を持って搭乗してください。
「髪がぺったんこになるのが嫌で」といって私のように帽子を被らずにいると、場合によっては、ぺったんこになる毛髪そのものが消滅する危険性があるのです。
髪を失った代わりに得るのは、せいぜい「オープンカーに乗っていたら髪がすべて風で飛んで行っちゃったよ」という自虐ネタくらいなもんです。
割りに合いません。
まとめ:1年後
車通りの少ない県道を、コペンローブで走っています。
信号が赤に変わり、ブレーキを踏んでゆっくりと停車させ、空を見上げました。
星がキラキラと輝いています。
「夏は夜だけ屋根を開ける」というスキルを身につけてすこしだけ大人になった22歳の私は、信号が青に変わったのを確認し、ふたたびコペンを走らせました。
過疎化が進む田舎町の県道を、再開発で活気付いた頭皮で風を切りながら。
要するに
つまりですね、大量の抜け毛は一時的なものだったわけです。
「秋は抜け毛が増える」ということで、冬に近づくにつれ、徐々に髪は元どおりになっていきました。
いつの間にか、風呂場の鏡も直視できるようになりました。
夏の紫外線は強烈です。浴びすぎると毛母細胞が傷つき、薄毛へと繋がりかねません。
紫外線にはくれぐれもご注意ください。
(間一髪のところでハゲを回避することができました。なんというか、ハッピーエンドですみません)
以上、オープンカーでハゲになりかけた話でした。