ことわざには真理や叡智が凝縮されていますよね。
そんなことわざを世界中から100個集めて紹介しているのが、遠越段著『世界のことわざ100』という本です。
本書を読めばきっと「当たり前だけどつい忘れてしまっていること」を思い出すことができますよ。
『世界のことわざ100』の感想
世界のことわざは、なんというか、とりあえずお洒落でした。
「バッファローに追われて木のてっぺんに登るはめになったら、景色を楽しみなさい」(アフリカのことわざ)というのがあって、要はピンチを楽しめということなんですけど、どうにも回りくどい。
素直に「ピンチを楽しめ!」でいいような気がします。
でも、こんな味気ないフレーズではことわざにはなり得ません。
つまり、当たり前のことをいかに気を利かせて表現できるか、の世界なんです。ことわざって(たぶん)。
ことわざを考えてみた
この法則に従うと、たとえば「遠くのスーパーへ行く前にランチをやめよ」もことわざになりそうです。
節約に励むならまず大きな出費から削れという意味です。私が考えました。
そしていまさらですが、「バッファローに追われる」のがアフリカではふつうの出来事なんですかね?
そして追われたときの対処法は「木に登る」がオーソドックスなのでしょうか?
よく知りませんが、文化のちがいみたいなものを感じます。
そうした発見ができるのも『世界のことわざ100』の面白さのひとつです。
若いうちに頑張れ
100個のことわざを読んでいて、「若いうちに頑張れ」的なメッセージが多かった印象を受けました。
著者の好みもあるでしょうが、ことわざとして存在していることは事実です。
「歳をとってから暖まりたい者は、若いうちに暖炉を作っておかなければならない(ドイツのことわざ)」だそうです。
体力がある若いうちに行動しておけ、ということでしょう。
「若いうちに行動しろよ」といわれたら「やかましいわ」と反発したくなります。
が、「歳をとってから暖まりたい者は、若いうちに暖炉を作っておかなければならない」といわれると、「おおそうか!」となぜか素直に受け入れてしまいます。
それがことわざの持つ力です。
だからことわざは回りくどい表現で、我々の思考力を奪おうとしてくるのかもしれません。
本書のスタイル
本書はページの右側にでーんとことわざが書かれていて、左側のページには著者の解説や補足が書かれています。
こうした本はたいてい「著者の解説いらん」と思ってしまうものですが、本書には補足として似た意味を持つことわざや格言が紹介されていたりします。
ただことわざを薄めて繰りかえしているだけではないので、著者による文章も楽しく読めました。
まとめ
個人的には「100人の医者を呼ぶよりも、夜更かしと夜食をやめよ」というスペインのことわざをとくに気に入りました。
「100人の医者を呼ぶよりも」という表現がなんともいいですよね。
単に「夜更かしと夜食をやめよ」でじゅうぶん意味は通じるのですが、これだとただの親の小言になってしまい、ことわざにはなり得ません。
「100人の医者を呼ぶよりも」がくっつくことで、一気にことわざチックに変貌を遂げます。
この例のように、本書を読めば日本人とはまたちがった角度、発想のことわざを知れます。
ぜひあなたも世界のことわざに触れてみませんか?
以上、『世界のことわざ100』を読んだ感想でした。
夜食が不健康である理由はこちらです。