うつ病を克服した人たちのエピソードは、励みになるかもしれません。
この記事では、田中圭一著『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』の要約と感想
まずは本書の要約から。
著者はサラリーマン兼マンガ家であり、10年間うつ病に苦しんだ経験をもつ。
コミックエッセイという形で、さまざまな人たちがうつ病を脱するエピソードを紹介している。
うつを脱するには自分を好きになることが大事だというメッセージを繰りかえし伝えている。
以上がおもな内容です。
絵は手塚治虫の作風に似ていて、親しみやすさがありました。
一人一人のエピソードが短い
本書では10名以上の人たちのうつ病脱出エピソードが紹介されています。
ゆえに一人ひとりのエピソードが短く、物足りなさを感じました。
うつ病になったかと思えば、あれよあれよと回復。めでたしめでたし、みたいな。
おなじようなパターンの話がつづきます。
「うつ病を克服した人の話」ですからね。
枝葉末節を切り落としたら、似たようなエピソードになるのは当然です。
だからこそ扱う人数を絞り、細かく描写するべきだったように思います。
9割がたのアクション映画が「悪者をやっつける」の一言で片付いてしまうのとおなじです。
簡略化すれば単調になるだけ。
「首吊り自殺」の描写はいかがなものか
本書のなかには「首吊り自殺」の描写がありました。
これはいかがなものかと思います。
本書は「うつ病と闘病中の人が希望を持つための本」だと思っていました。
どういう意図で出版されたものか知りませんが、少なくとも、うつ病やうつ状態の人も手に取るはずです。
そんな本で首吊り自殺を描写してしまうというのは、デリカシーに欠けるというか、配慮が足りないというか。
刺激が強く、精神面にネガティブな影響を与えます。
自分たちがうつ病から脱出したから、あとはもうどうでもいい。
そんな気持ちが読み取れます(読み取り過ぎかもしれませんが)。
殺虫剤ですらパッケージから虫のイラストを排除しているこのご時世に、「うつヌケ」を謳う本で自殺の描写。
そんなのって、あんまりです。
まとめ
首吊り云々を抜きにしても、本書はイマイチでした。
- エピソードが短くて浅い
- 字数が多くて読みにくい
- 「自分を好きになろう」の繰りかえし
これらがマイナス評価の要因です。
あれこれ詰め込み過ぎて、何が何だかわかりません。
醤油、みりん、味噌、ケチャップ、マヨネーズ、ソース、カレー粉で味付けした料理みたいな。
なんだこりゃっていう。
うつ病を正しく知って正しく治療したい方には、以下の本がおすすめです。
丁寧にわかりやすく書かれています。
以上、 田中圭一著『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』の要約と感想でした。
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私の感想だけでなく、ほかの人たちのレビューも参考にしてみてください(大絶賛している人もたくさんいますので)。