本書を読むと、
- うつ病
- うつ状態
両者の違いがよくわかります。
この記事では、森下茂著『確実に治るうつ、治らないうつ 57の実例で見つかる、うつ病の抜け出し方』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『確実に治るうつ、治らないうつ 57の実例で見つかる、うつ病の抜け出し方』の要約と感想
まずは本書の要約から。
うつ状態とうつ病は別物である。
うつ病は完全に治癒するものであり、抗うつ薬が効かないケースがあるのは、うつ状態をうつ病に含めているから。
「うつ病だと誤診されやすい症状」と「うつ病」の違いを実例を用いて説明したうえで、治療法などを紹介している。
以上がおもな内容です。
「うつ病について正しく知ってほしい」という著者の思いが伝わってくる一冊でした。
うつ病は「身体症状」も重要
うつ病は精神疾患ですが、身体症状も重要だといいます。
むしろ、身体症状がなければうつ病ではない。そういっても過言ではないのだとか。
その身体症状というのが、
- 食欲の低下
- 不眠
とくにこの2つだと述べています。
というのも、痴呆や統合失調症がしばしば「うつ病」と誤診されるケースがあるのだそう。
うつ病かどうかを正しく診断するためにも、こうした身体症状が1つの手掛かりになるのですね。
ちなみに、うつ病の初期では精神症状よりも先に身体症状が現れるそうです。
食欲がない、よく眠れない……そんなときは注意したほうがいいのかもしれません。
「うつ状態」には抗うつ薬が効かない
うつ状態(うつ病ではない)には、抗うつ薬が効かないと書かれていました。
ちなみにうつ状態は、
- 心理的葛藤
- 状況反応
などによって起こります。
このうつ状態をうつ病に含めてしまっているがゆえに、「うつ病には抗うつ薬が効かない」という情報が出回っている。
著者はそう指摘します。
なるほど。
ということはいっぽうで、うつ状態の人は「抗うつ薬ではない方法」で回復する必要がある、といえますね。
(もしうつ状態で抗うつ薬を服用しているとしたら、自己判断で中止してはいけませんが)
心療内科と精神科の違い
なんとなく「精神科」というと、行きにくいイメージがありますよね。
心療内科のほうが少しハードルが低いような……。
ただ、心療内科と精神科は大きく異なっているそうです。
うつ病を専門的に治療してくれるのは精神科。
心療内科は「内科」の一部門であり、精神的ストレスによって引き起こされた身体疾患の治療を引き受けている。
うつ病の治療は専門外である。
著者はこう述べていました。
両者はまったくの別物なんですね。
私は症状が軽ければ心療内科、重ければ精神科だと思ってたのは誤解だったようです。
まとめ
「うつ病とはなにか」がよくわかる本でした。
正しい知識がわかりやすく、網羅的に、実例を踏まえて紹介されています。
たとえば実例のなかに、失恋のショックをうつ病と誤診したケースがありました。
こうした一時的なショックとうつ病がどう違うのかを、とても丁寧に解説しています。
うつ病に似た症状とうつ病をごちゃ混ぜにしないことが(正しく治療をするうえで)大切なんですね。
うつ病は予防できるのか?
うつ病は遺伝子に基づく病気だと考えられているため、本質的な予防法は見つかっていない。
これが現状だそうです。なんだか残念ですね。
ただし、うつ病の原因ではないものの、引き金になる「誘因」は存在するといいます。
とすれば、それらを避けることには意義がありそうですね。
- じゅうぶんな睡眠を取る
- DHAやEPAを摂取する
- アルコールは摂取しない
などなど。
私のような素人にも理解しやすい内容でした。
以上、森下茂著『確実に治るうつ、治らないうつ 57の実例で見つかる、うつ病の抜け出し方』の要約と感想でした。
※「治らないうつ」とは、実際にはうつ病でないために、治療をしても効果がないケースを指します。