うつ病で休職している患者は、どのタイミングで、どのように仕事へ復帰するのが良いのでしょうか?
この記事では、酒井一太著『「うつ」とよりそう仕事術』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『「うつ」とよりそう仕事術』の要約と感想
まずは本書の要約から。
著者はうつ病と闘病中の現役サラリーマン。
復職はゴールではない。あくまでも、健康な人と互角に戦える戦術が必要である。
ごく普通のサラリーマンが「うつ病」というハンディを抱えながら、ビジネスを進める上で実践している工夫を紹介する。
以上がおもな内容です。
休職中はどんなふうに過ごしていたのか。職場復帰してから困ったことはなにか。
そういった情報を知りたい方におすすめです。
復職のタイミングは難しい
うつで休職した人が復職するタイミングは、専門医でも判断するのが難しいのだそう。
ただ、著者は「焦らない」ようアドバイスしています。
すぐに職場へ戻ろうとせず、じっくり休んで治療に専念すること。
もし動けるようであれば、お皿洗い、掃除、調理などまずは家事からやってみるのが良いといいます。
家事は仕事よりも単純ですからね。
できそうな家事から始めて、様子を見ていくべきなのかもしれません。
休職中いちばんの不安は金銭面
著者が休職中にもっとも不安だったのは「お金のこと」だといいます。
働けず、収入が減ってしまうせいでしょう。
うつ病で休職する際に、1年間食べていけれるだけの蓄えがあれば安心だと述べていました。
休職中は傷病手当が支給されるはずなので、仕事を休んでいてもある程度のお金は入ってきます(給与の3分の2ほど)。
休職すなわち収入ゼロ、というわけではありません。
それでも貯蓄がないよりは、いくらかでもあったほうが安心して休めそうです。
「ヤバい、貯金なんてない」という方はこちらを読んでみてください。
うつ病は職場で「隠せる」のか?
復職した際にぶつかるのが、「うつ病だと周囲に知らせるかどうか」という問題だといいます。
ちなみに著者は「知らせるべき」だと考えています。
なぜなら、うつ病は隠すべきことでなければ、隠しきれる病でもないから。
それが、抗うつ薬と睡眠薬を服用しながら働いている著者が出した答えです。
なにかを隠しつづけるのは疲れるから、みんなに伝えてしまったほうが良いのだそう。
そして裏方のような仕事から始めることを勧めていました。
「死ねない理由リスト」で自殺予防
うつ病患者は希死念慮を抱くことがあります。
著者も例外ではなかったそうです。
そこで自殺を防ぐために行っていたのが「死ねない理由リスト」の作成だといいます。
死ねない理由リストというのは「やりたいことリスト」のようなものです。
どうしてこのリストを作ったかというと、それは「今はまだ死ねない」と自分に言い聞かせるため。
ちなみに私だったら、
- ポルシェ911を買いたい
- 安藤忠雄の建築をすべて実際に見たい
- 毎日うな重を食べて暮らしたい
などと記入します。
それで自殺のイメージがよぎったときに、「よし、明日はうな重だ!」と自分を説得するわけですね。
ところであなたには、死ねない理由、いくつありますか?
一度時間をとって考え、ノートやスマホに書き出してみてもいいかもしれません。
まとめ
うつ病で休職している方、復職が見えてきた方、そのご家族。
本書が参考になるのは、そうしたみなさんです。
- 復職当初は周囲も戸惑う
- 長時間労働をしてはいけない
- 小さな成功体験が大事
- ToDoリストをやり切らない
- 競馬の大逃げを参考にする
- 不安を感じたらメモを取る
などなど。
復職に際しての細かいアドバイスがたくさん載っています。
これは、うつ病と闘病しながらも復職した著者だからこそ書けた内容でしょう。
どれもが患者の心に寄り添ったアドバイスでした。
復職がゴールではないとするなら、その先の戦略が重要ですね。
以上、酒井一太著『「うつ」とよりそう仕事術』の要約と感想でした。