タイムイズマネーなんてぬるい。
タイムイズライフだ、といった主張をする人が世の中には存在します。
時間こそもっとも貴重な資源なのだから、人生で与えられた時間を1秒たりとも無駄にしてはいけない。
時間を最優先にして生きよう、というわけです。
ところで、「無駄な時間」とはなんでしょう?
庭に生えている草木を眺めてボーッと過ごす時間は、無駄ですか?
それともストレスフルな社会を生き抜くのに役立つリラクゼーションタイムですか?
この記事では、
- 無駄な時間とはなんなのか
- 時間を大事にしなくてもいい人
など、「時間を大事に生きる前に考えておくべきこと」について書いていきます。
ぜひ参考にしてみてください。
時間を大事に生きる前に考えておくべきこと
時間は人生そのものだから最優先すべき。
これはもっともな主張に聞こえますが、万人に当てはまる生き方ではありません。
なぜなら、時間を大事にする生き方には、大前提として「やりたいこと」があるからです。
家族と過ごす時間を確保したいから残業はしない。
バイオリンの練習をしたいから食事や移動は時短を心がける、など。
「これに時間を使いたい」という目的があって、そのために、目的意外に割く時間を削る。
削った時間を目的のために回すわけです。
「やりたいこと」がないと無意味
これといってやりたいことがない。
すなわち生きがいを持っていない人が時間を節約したところで、なんの意味もありません。
なぜなら、手にした時間をどう使っても、本人が望む時間の使い方にはならないからです。
食事も睡眠も仕事もすべて時短を心がけた。
3時間のまとまった時間を確保できた。
さてヒマだな、どうしようか、って。
お茶目にもほどがある。
したがって、「やりたいこと」が定まっていない人は、時間を最優先に生きても豊かにはなれません。
前提である「やりたいこと」を見つけるのが先決だといえます。
「一番大事なのは時間」という落とし穴
時間とおなじくお金も手段です。
では、手段であるはずのお金を、人生の目的にしたらどうなるでしょうか?
買いたい物がないまま、貯蓄に励むとします。
節約に精を出し、預金残高が1000万円を突破しました。
1000万円の貯金は大したものです。
会社をクビになり収入がゼロになったとしても、すぐさま野垂れ死ぬようなことはありません。
つまり、お金を大事にして生きたこの人物は、結果として安心感を手に入れられたわけです。
お金そのものを目的に生きていると、貯金が増え、安心感や満足感、達成感を得られる可能性があります。
時間を目的に生きた果てにあるのは虚無感
ところが、時間そのものを目的に生きてしまうと、膨大な時間だけが手に入ります。
膨大な貯金とちがい、膨大な時間は私たちを安心させてくれません。むしろ膨大な時間は私たちを不安にさせます。
なぜなら、やるべきことがない虚無感に襲われてしまうからです。
睡眠は毎日5時間におさめ、食事は10分以内で済ませ、フローリングの掃除はロボットに任せているとします。
こうして効率を追い求め、無駄な時間をカットし、たくさんの自由な時間を手にしました。
ところが、やることがありません。
とはいえボーッとしているのは時間の無駄です。
さて、どうしよう。何をしたらいいんだ、ってなもんです。
「やりたいこと」を見つけないままに時間だけを追い求めると、虚しさにぶつかります。
だったら仕事に追われていたほうがまだ幸せ。
「時間」という価値観に逃げ込む?
大事にすべきものが分かりにくい現代において、お金ではない「時間」という価値観は魅力的に思えるかもしれません。
お金争奪戦から降りる口実にもなります。
「お金より時間が大事なんだよ。お金はほどほどでじゅうぶんだから」って。
しかし、行き着く先は虚無です。
タイムイズライフ教に入信する前に、庭いじりでもプラモデルでも筋トレでも構いません、やりたいことを見つけておくことをおすすめします。
やりたいことが見つかっていないのに時間を大事にするのは、使い道がないのに紙袋をため込むようなもの。ナンセンスです。
まとめ
時間そのものが目的になるのは不自然です。
なぜなら時間はものごとをなすための道具だからです。
時間は"使う"ものであり、歯ブラシやコップなどと変わりません。
道具は目的があってはじめて役に立ちます。
時間を割いてやりたいことがないのであれば、時短グッズや便利家電は買わないほうが賢明です。
虚無な時間を獲得して空しい気分になるだけだからです。
だったら、食洗機を買うよりも時間をかけて食器を手洗いするほうが幸せに過ごせるかもしれません。
暇ですることがないというツラい状況を避けられるので。
時間を大事に生きる前に、「時間を何に使いたいのか」を考えてみてはいかがでしょうか。
以上、時間を大事に生きる前に考えておくべきこと、でした。
結論。なんとなく「お金」を人生の柱にするのは良いけれど、なんとなく「時間」を柱にし、最優先事項にするのは危険。やりたいことを見つけるのが先決。
ネット通販サイトAmazonでは、時間を強く意識するユーザーに書籍『限りある時間の使い方』が売れています。