未成年ハッカー、飲食店の口コミ代行、生配信を行うチャットレディー、サイバー攻撃など。
ネットの闇に潜んでいる人々を著者が追跡し、まとめたのが本書です。
なかなか明らかにされることのない、ネット社会の裏側を覗いてみたい方におすすめです。
この記事では、吉野次郎著『サイバーアンダーグラウンド ネットの闇に巣食う人々』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『サイバーアンダーグラウンド ネットの闇に巣食う人々』の要約と感想
まずは本書の要約から。
著者は3年にわたり、日経ビジネスや日本経済新聞の記者として多くの人々を追跡してきた。
サイバー空間にたむろする子どもたちの実態。
彼らはなぜ不正アクセスに手を染めてしまうのか。
あるいは、食べログやAmazonのレビュー操作を請け負う業者たちの存在。
いわゆるやらせレビューはどのように付けられているのか。
ネットの闇に潜み、一般市民を脅し、たぶらかし、カネや命、平穏を奪わんとする捕食者たちに迫る。
以上がおもな内容です。
本書を読めば、ネット社会の恐ろしい暗部を垣間見ることができます。
本書のテーマは「日本人の危機意識を呼び覚ます」こと
著者が本書を書いた動機のひとつが「日本人の危機意識を呼び覚ますため」だといいます。
身近に存在するインターネットがじつは恐ろしい世界であることを知らせ、リテラシーを高めてもらおうというわけです。
実際、そのような内容でした。
読めば、ネット社会に恐怖を覚えます。
たとえば本書には、食べログやAmazonのレビュー操作を請け負っている業者への取材が載っています。
こうしたサイトに書き込まれた口コミを、信用していませんか?
100%信用しているわけではないにしても、飲食店を選んだり商品を買ったりする際の目安として、レビューを参考にしている方も多いのではないでしょうか。
現代人の多くが、意思決定を行うために口コミを利用しています。
その証拠に、食べログの点数がわずかに下がっただけで、売り上げが数百万円減ることもあるのだそうです。
すなわち、多くの飲食店にとってレビューの点数は死活問題なのです。
口コミ代行業者の実態
口コミ代行業者のなかにも、良い業者と悪い業者が存在するといいます。
良い業者は、レビュアーを店舗へ派遣し、食事をさせます。
レビュー1件につき1万5千〜2万円ほどの料金を受け取ります。
言い換えれば、飲食店は「2万円で星を買うことができる」ということです。
いっぽう、悪い業者は店舗まで出向きません。
ほかのレビューをマネし、適当な口コミを書き込みます。
こちらは1件につき2〜3千円ほどの料金だといいます。
自分の店舗を高く評価してもらうこともあれば、同エリアにあるライバル店に悪い評価をつけさせるやらせも横行しています。
本書には、「(評価に左右される)ストレスから解放されるために、やらせに手を出そうとする飲食店経営者は後を絶たない」とありました。
ところであなたは、飲食店や商品を選ぶ際に、レビューや口コミといったものを気にしていますか?
参考にしているのであれば、本書を読むことで、その信用が音を立てて崩れることでしょう。
食べログはやらせレビューを防ぐために、ベテランレビュアーがつけた点数の比重を重くするなど、独自の対策を講じています。
それならばと、業者は人気レビュアーへ「やらせ」の依頼をします。
依頼するメッセージのやりとりが本書に載っている。
これらが事実であるとすれば、レビューや点数はなんの参考にもならないことになります。
まとめ
本書に載っているのは、口コミ代行業者だけではありません。
私たちにもっとも身近な闇だったため、本記事でとりあげました。
日本がサイバー攻撃で注意すべきはフランスである、といった記述もありました。
これは、著者が英国スパイに取材をし、入手した情報だそうです。
仏対外治安当局(DGSE)のサイバー部隊は、自国産業を助けるために外国企業の知財を盗んでいるのだと、某スパイは述べます。
研究開発費を節約し、競争優位に立つため。狙っているのは自動車メーカーや製薬会社。
まるでスパイ映画のような話です。
こうしたネット社会の闇を覗いてみたい方に、本書はおすすめです。
どんな小説を読むよりも、胸がざわつくかもしれません。
以上、吉野次郎著『サイバーアンダーグラウンド ネットの闇に巣食う人々』の要約と感想でした。
結論。ネット社会は恐ろしい。ウイルス感染したスマホは、通話をしていないときでもマイクで音声を拾うようになるという。あなたのスマホも盗聴器と化していたりして。