仕事と自分のアイデンティティを同一視していませんか?
あなたは、あなたが就いている仕事ではありません。
仕事はしょせん、仕事です。
この記事では、福田直子著『休むために働くドイツ人、働くために休む日本人』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『休むために働くドイツ人、働くために休む日本人』の要約と感想
まずは本書の要約から。
解雇や失業が増えてもなぜドイツ人は自殺しないのか。
なぜドイツのお金持ちは富を見せびらかさないのか。
こうしたドイツ経済やドイツ人労働者の実態について書かれている。
日本は社会保障が不十分、ドイツは社会保障が手厚すぎると批判されがち。
社会保障が手厚いことは、良いことなのだろうか。そう考えるきっかけになる1冊。
以上がおもな内容です。
「ドイツはこうで、日本はこう」といったお気楽な感じではありません。
ジャーナリストである著者が、ドイツ経済の問題点、現状を明らかにしています。
「仕事は仕事」と割り切るドイツ人
ドイツは日本よりも自殺率が低い国です。
経済状況が悪化して失業者が増えても、自殺者は増えません。
著者はその理由を2つ指摘しています。
- 社会保障が手厚いから
- 仕事に存在価値を見出していないから
このうち私は「仕事に自身の存在価値を見出していない」という点に興味を覚えました。
あくまでも、仕事は仕事。
仕事はお金をもらうための手段であり、やりがいや自己実現を求める対象ではない。
だから職を失っても、アイデンティティは揺るがない。
この点について、「日本人は自分の存在価値を仕事に見出しがち」だと著者は指摘します。
ただし、「なぜなのか」までは言及していません。
日本人には「仕事」しかない?
私が思うに、それは多くの日本人が「会社」というコミュニティでしか存在意義を見いだせていないからです。
家族や地域、趣味のつながりといったコミュニティに属しておらず、唯一属しているのは会社だけ。
会社でしか他者貢献できない。
だから会社に固執することになり、職を失うと同時に「存在価値」も失ってしまうのではないでしょうか?
したがって、会社の他にも帰属できるコミュニティを持っておくことが望ましいといえます。
家族、友人、サークル、宗教、地域、ボランティア、SNSなどなど。
社会保障が手厚いデメリット
ドイツは社会保障が手厚い国なのだそうです。
ただしドイツでは、この社会保障に甘えて怠ける者も少なくないといいます。
働いて得る収入と、働かずに得る失業保険がおなじ。
「だったら働かないほうがいい」
そう考えても不思議ではありませんよね。
むしろ自然です。
手厚いセーフティネットは頼もしい一方で、労働意欲を削いでしまうリスクもある。
そうやってサボる人が増えると、まともに仕事をし、税金や社会保険料を納める人々が割りを食うことになる。
難しい問題ですね。
アメとムチのバランスが重要だということです。
まとめ
日本とドイツの比較ではありません。
本書は99%がドイツについての内容です(読み応えがありました)。
気軽にドイツのことを知りたい場合には、
こちらの本がおすすめです。
ドイツ人の暮らしぶりがわかります。
マクロな視点でドイツを学びたい方は、本書を読んでみてください。
手厚い社会保障が生んだ「闇」の部分を知れます。
開きなおる失業者カップル、アメリカにいながらドイツからの生活保護を受ける元銀行員など。
その実態を知れば驚くことでしょう。
以上、福田直子著『休むために働くドイツ人、働くために休む日本人』の要約と感想でした。