YouTubeにアップされている「本の要約動画」を見たところで、読書時間を節約できたり、頭が良くなったりはしません。
むしろ、視聴に費やした10分か15分ほどの時間を無駄にするだけです。
なぜかというと、要約を聞いても、その本の内容を理解したことにはならないからです。
本の要約動画は、映画の予告編に似ているといえます。
印象的なシーンをピックアップして繋げた1分ちょっとの予告編を見たところで、2時間の映画を"観た"ことにはなりません。
読書もおなじです。
いくら要約動画を再生しても、その書籍(たいていはビジネス書)を読んだことにはなりません。
効率良く内容を知った気になって満足するくらいなら、自分で本を買って読んだほうがよほど有意義です。
この記事では、
- 他人のフィルターを通った要約の価値
- 動画の視聴時間はまるごとぜんぶ無駄
など、「YouTubeにアップされている本の要約動画を見る意味はあるのか」をわかりやすく解説します。
価値あるものに時間を使うため、ぜひ参考にしてみてください。
【YouTube】本の要約動画を見る意味や効果はあるのか
YouTubeにアップされている本の要約動画は、魅力的に感じられるかもしれません。
- タダで本の内容を知れる
- 短時間で重要な箇所だけ学べる
- よって時間とお金が節約できる
こんなふうに思えてしまうからです。
しかし実際のところ、要約動画はけっして「価値あるコンテンツ」ではありません。
再生するだけでお金と時間を節約できるているような気がしますが、じつは時間を捨てているだけ、です。
だから見ても意味がないどころか、見ないほうがお得だ、とさえいえます。
重要か否かはすべてYouTuberの主観
要約動画は、朗読とは違います。
本に書かれている文章を一語一句読み上げるのではなく、重要なところだけを取り出し、重要でないところは切り捨てています。
それが、本の要約動画です。
では、重要なところは、いったい誰が重要だと判断したのでしょうか。
答えは、動画をアップした投稿者(ユーチューバー)です。
当然ながら、
- 私たちのタメになる情報
- 投稿者のタメになった情報
この両者が一致しているとは限りません。
内容を要約する過程でバッサリ捨てられた情報(投稿者はいらないと判断した)のなかには、われわれにとって「役立つ知識」が混ざっていた可能性があります。
ですが、 捨てられた情報は動画のなかに出てこないわけで、私たちは知りようがありません。
つまり、情報の取捨選択をどこかの誰かに任せている点が問題だ、といえます。
動画の投稿者が、
- 博識YouTuber
- 読書家YouTuber
- 著書を持つ有名人
誰であっても無関係です。
その要約動画に見るだけの価値はありません。
他人のフィルターを通った情報というのは、まるで喫煙所を通って運ばれてきたサラダみたいなものです。
好ましくない、ということです。
気になる本が見つかったら、自分で買って読むのが一番です。
YouTubeの要約動画を見て、"わかった気分"を味わい悦に入ったところで、得るものはありません。
視聴時間がムダ
高級料理にはムダな食材が入っていません。
たとえば、うな重の真ん中にブロッコリーが刺さっていることはありません。
なぜなら、余計なものを削ぎ落としているからです。
おなじことが書籍にもいえます。
ほんとうに価値のある本には、ムダな文章がありません。
だから、要約して10分間の動画にまとめるのは不可能です。
どうしてかというと、どの1本がなくなっても困る色鉛筆のように、優れた書籍というのは、どの文章が欠けても成り立たないからです。
10分の動画で要点を語り尽くせる本は、
- そもそも価値がない
- YouTuberの偏見まみれ
このどちらかに違いありません。
そしてどちらであっても、「見るだけ時間の無駄」だといえます。
10分を捨てないほうが良い
「読み通すのに3時間はかかる本の内容を、たった10分で説明してもらえておトクだ」
こんなふうに考えるのは誤りで、実際には、10分間をただ捨てているだけです。
たとえるなら、10分間のダイジェスト映像(要所をまとめたもの)を見て、2時間の映画を"すっかり観た気分"になっているようなものです。
なにか勘違いしているとしかいえません。
さらに悪いことに、YouTubeの動画は、5分なら5分、10分なら10分と、決まった時間を私たちに押しつけてきます。
いわば時間ドロボーです。
だったらまだ動画ではなく、サッと流し読みができる「本の要約サイト(活字)」に目を通したほうが"マシ"です。
マシだというだけで、おすすめはしません。
参考になりそうな本は、自分の目と頭で読んで理解するのがイチバンです。
まとめ
ビジネス書の要約を他人から聞かされるのは、まるでヨーロッパの旅行体験を聞かされるようなものです。
わかった気になるだけで、実際には何ひとつわかっていません。
もしヨーロッパを旅してみたいとしても、時間とお金がかかるので、そう簡単には実現できないでしょう。
時間に余裕がある大学生ならともかく、忙しいビジネスパーソンなら尚更です。
がしかし、本なら誰もが買って読めます。
ヨーロッパ旅行ほど難しくないにもかかわらず、すぐ手に入る書籍を読まずに、粗悪な"代替品(要約動画)"で満足するのはもったいないことです。
「時間とお金を節約して、あらゆるツールを駆使して、効率良くインプットするべきだ。スピードが命の世の中で、チンタラ本なんて読んでいられない」
こんな妄想や思い込みがあるとしたら、捨てたほうが良いかもしれません。
というのも、ほんとうに価値がある知識を得るにはお金がかかりますし(といっても書籍は2,000円以内)、ほんとうに価値ある知識を自分のものとするには、それなりの時間がかかるからです。
せかせかして、本の要約動画のような「お手軽な三流コンテンツ」ばかり消費していたら、それこそ人生を浪費しかねません。
動画再生に充てる時間を読書に回したほうが、われわれはもっと成長できます。
以上、YouTubeにアップされている本の要約動画を見る意味はあるのか、でした。
【結論】本の要約動画が与えてくれるのは、「わかったような気分」という名の満足感だけ。その代わりに本の要約動画が奪っていくのは、私たちの時間。つまるところ、ダイジェスト映像ばかり見る人生と、映画を観る人生、どっちが良いかという話。
Amazonでは、こちらの書籍が高く評価されています。
『道は開ける』を繰りかえし3回読めば、ほかの自己啓発書を読む必要はありません。
すべてここに詰まっている、ということです。