生え際が後退してきたとき、つまり薄毛が気になり始めたとき、何よりもまず原因を特定したくなります。
- 運動不足のせい?
- 偏った食事のせい?
- 睡眠が足りていないせい?
- それとも日々のストレスのせい?
といった具合です。
インターネットで薄毛の原因を調べたり、もともと知識があったりすると「亜鉛不足」に考えが至るかもしれません。
というのも、亜鉛の欠乏が脱毛症(薄毛)を引き起こすケースがあるからです。
では、気になり始めた「生え際の後退」も亜鉛不足が原因なのでしょうか。
サプリメントで亜鉛を摂れば、薄毛の進行を止めることができるのでしょうか。
この記事では、
- 亜鉛欠乏による脱毛症
- ふつうに生活していれば欠乏しない?
など、「生え際の後退は亜鉛不足のせいなのか」をわかりやすく解説します。
薄毛への対応を間違えないよう、ぜひ参考にしてみてください。
生え際の後退は亜鉛不足のせいなのか
薄毛の症状のなかでもっとも多いのは、男性型脱毛症(通称AGA)です。
薄毛や脱毛に悩む男性のうちおよそ8割がAGAに該当するとされています。
では、普段の食生活で亜鉛が足りていないとAGAを発症してしまうのでしょうか。
答えはノーです。
というのも、私たちが日常生活で行えるAGAの予防法は存在しないから(亜鉛を摂ってもAGAは防げないから)です。
科学的に効果が証明されている「薄毛予防法」はありません。
たとえるなら、ワカメを食べるとハゲ予防になる、という俗説になんの科学的根拠もないようなものです。
亜鉛をじゅうぶん摂れば亜鉛欠乏による脱毛症は防げますが、トップの割合を占める男性型脱毛症(AGA)は防げません。
亜鉛欠乏による脱毛症
薄毛にはさまざまな種類があります。
なかでも圧倒的な1位、症状の約8割を占めているのが男性型脱毛症(AGA)だとお伝えしました。
ほかにも、
- 円形脱毛症
- 老人性脱毛症
- 炎症性脱毛症
- 瘢痕(はんこん)性脱毛症
- 鉄分欠乏による脱毛症
そして、亜鉛欠乏による脱毛症などがあります。
亜鉛欠乏による脱毛症を発症するのは、乳幼児と高齢者がほとんどで、ふつうの生活をしている成人が発症することは滅多にありません。
ちなみに亜鉛は、
- 魚介類
- 海藻
- 豆類
- 肉類
などの食材に多く含まれています。
とりわけ亜鉛を豊富に含んでいるのは牡蠣です。
もし仮に亜鉛が欠乏しているせいで薄毛になったとしても、生え際が後退するのではなく、頭髪全体がまんべんなく薄くなります。
- 乳幼児と高齢者がほとんど
- 全体的にまんべんなく薄くなる
この2点から、生え際の後退を「亜鉛の欠乏」に結びつけるのは難しいといえるでしょう。
生え際の後退について、もっとも可能性が高いのは男性型脱毛症(AGA)です。
ところがAGAでハゲるハゲないは体質によるところが大きいため、こうすれば回避できる、といった予防法はありません。
ちょうど、「脚の長さを伸ばして短足を回避する方法」が存在しないのとおなじです。
ただしAGAは、専門クリニックや皮膚科で内服薬などを使った治療が受けられます。
亜鉛が髪の発育に関わるのは事実
そもそも亜鉛(Zn)というのは、細胞の新陳代謝や発育に欠かせないミネラルです。
ゆえに、欠乏すると脱毛症を引き起こします。
一般的な食事をとっていて亜鉛が不足することはありませんが、たとえばコンビニ弁当やカップ麺など、加工食品ばかり食べている方は注意が必要です。
なぜかというと、加工食品のなかにはリン酸塩といって、亜鉛の吸収を妨げる食品添加物が含まれている場合があるからです。
ちょうどサッカーのゴールキーパーが相手のシュートを阻止するように、リン酸塩は、亜鉛の吸収を阻害します。
加工食品を多くとっている自覚があるなら、
- 食生活を改める(食材から調理する)
- サプリメントで亜鉛を補給する
などの対策をしたほうが良いかもしれません。
ちなみに、体内で亜鉛が不足すると「味覚障害」が起こります。
- 味の感じ方が鈍い
- 何を食べても味を感じない
こんな場合には亜鉛がかなり不足しているといって良いでしょう。
当然、亜鉛欠乏による脱毛症のリスクも高まります。
サプリメントで補うべきですが、亜鉛を一度に多く摂ると頭痛や嘔吐といった副作用があらわれる恐れがあるため、用量を超えないようご注意ください。
サプリメントのパッケージに記載された摂取量を守っていれば問題ありません。
髪の発育には亜鉛だけでなく、
- タンパク質
- ビオチン
- 葉酸
- 鉄
など、さまざまな栄養素が関わっています。
結局のところ、バランスの良い食事を心がける(加工食品は極力減らす)のがベストです。
まとめ
亜鉛が欠乏して脱毛症を引き起こすケースはありますが、
- 多くが乳幼児や高齢者
- 髪全体がまんべんなく薄くなる
といった特徴からして、今回は該当していないといえるでしょう。
「生え際が後退してきた」と感じるなら、疑うべきは男性型脱毛症(AGA)です。
AGAは亜鉛不足や運動不足とは関係がなく、
- 男性ホルモンを活性化する酵素の強さ
- 男性ホルモンにたいする毛包の感受性
これら2つの要素によって発症するかどうかが決まります。
世の中にはハゲやすい人もいればハゲにくい人もいる……早い話が、体質しだいです。
したがって生え際の後退を自覚しているなら、生活習慣や食生活をあれこれ反省するのではなく、専門クリニックや皮膚科を訪れることをおすすめします。
というのも、がんや心臓病のように、AGAもまた治療が可能だからです。
「いや、がんは自力で治す。医者に頼るものか」なんて意地を張る人はいません。
AGAもおなじです。
自力でどうにかできる症状ではなく、だからこそ、専門医に相談するのが賢明です。
ちなみにAGAは進行性の脱毛症です。
生え際の後退は待っていてくれません。
来月より今月、来週より今週、明日より今日のうちに治療を始めることをおすすめします。
以上、生え際の後退は亜鉛不足のせいなのか、でした。
【結論】亜鉛欠乏による脱毛症であれば頭髪全体がまんべんなく薄くなる。生え際が後退する、といったハゲ方はしない。それに、亜鉛の欠乏状態に陥りやすいのは乳幼児や高齢者。どちらにも該当しないなら、その可能性は薄いと考えて良い。可能性が高いのはAGAで治療が可能。亜鉛は細胞の新陳代謝や発育に関わるミネラルなので、なんにせよ摂っておきたい。
【参考文献】
花房火月『ぜんぶ毛包のせい。』雷鳥社、2019年
一般財団法人日本サプリメント協会『サプリメント健康辞典』集英社、2015年
生え際の後退に関して、当サイトにはこんな記事があります。
現状はどの程度ですか?
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