400〜1,000円ほどのお金を払うだけでクルマを綺麗にしてくれる洗車機は、便利ないっぽうで、ボディに小傷がつく原因にもなります。
「昔と違って最近の洗車機は改良されているから、傷なんてつかないよ」
と主張する人もいますが、そんなことはありません(たとえばガソリンスタンドが洗車機の"無害さ"をネット記事で喧伝していたり)。
事実、ほとんどの高級車オーナーは洗車機を使わず、自分で手洗いするか、プロに洗車を任せています。
なぜなら、洗車機に入れると小傷がつく恐れがあるからです。
「とりあえず汚れが落ちれば良い。手洗いなんて面倒くさいし、細かくて目立たないキズなんて無いも同然だ」という方は、洗車機を使えば良いでしょう。
オンボロ中古車のオーナーも、洗車キズを気にする必要はありません。
それにたいして、クルマへの愛情が深く、ボディを傷つけたくないこだわりの強い方は、洗車機を避けるのが無難です。
たとえるなら、お気に入りの高級な服を「洗濯機」に入れないほうが良いのとおなじです。
大事な洋服は手洗いするかクリーニングに出すべきですし、大事なクルマは、手洗いするか洗車のプロに任せるべきです。
この記事では、
- 洗車機で傷がつく理由
- 洗車機を使わない洗い方
- すでにある洗車キズの消し方
など、「洗車機による傷を避けるための対策」をわかりやすく解説します。
洗車キズから愛車を守るため、ぜひ参考にしてみてください。
洗車機による傷を避けるための対策
稼働している洗車機の「アグレッシブさ」を見ればわかるとおり、洗浄力に長けていても、ボディへの配慮には欠けています。
高速で激しく回るブラシを当てて"無傷"で洗車するのは難しいでしょう。
たとえば、自動車ではなく、私たちのカラダを洗うと想像してみてください。
- 洗車機で全身を洗う
- ボディタオルで手洗いする
どちらのほうが「肌に優しいか」はいうまでもありません。
クルマだっておなじです。
そもそも、
- ボディの汚れを落とす
- ボディをいたわって優しく洗う
これらはシーソーのように相反しており、片方を重視すれば片方が疎かになります。
つまり、「ボディをいっさい傷つけず汚れを徹底的に落とす洗車機」はあり得ない、ということです(時間をかけられる手洗いなら可能)。
洗車機はクルマの汚れを落とせなかったら意味がないので、洗浄力を重視せざるを得ません。
早い話が、
- 手軽にササッと洗車したい人:洗車機
- 丁寧に洗車したい人:手洗い
ご覧の適性があり、洗車キズを避けたい人は洗車機に向かない、といえます。
ちょうど、ケガをしたくない人がボクサーに向かないようなものです。
洗車機でボディに傷がつく理由
洗車機がクルマのボディに優しくないのは、
- 高速回転するブラシのダメージ
- ブラシに付着した砂のダメージ
これらの"被害"を避けられないからです。
高速回転してボディを擦るブラシは、お世辞にも"ソフトタッチ"とはいえません。
ところで、洗車機の前にガムテープや養生テープが置いてあるのをご存じですか?
テープが用意されているのは、洗車中にブラシに当たってワイパーが吹き飛ばないよう、ワイパーを固定するためです(ルーフアンテナも)。
つまり、高速回転するブラシはそれだけ強力だ、ということです。
ワイパーをすっ飛ばすほどのパワーがある洗車機に、「ボディを傷つけないでね」などとお願いするのはお門違いでしょう。
叶わない願いです。
それから、洗車傷の原因として「砂」も挙げられます。
- ボディについた砂
- 洗車機のブラシについた砂
これらと塗装が擦れることで、サンドペーパー(紙やすり)のようにボディをガリガリと傷つけます。
手洗いだったら水でじゅうぶんに洗い流してからスポンジで磨けますが、洗車機の場合は水洗いが不十分だったり(一定時間で終了)、ブラシに砂がついていたりして、ボディに砂が当たるリスクがあります。
だから、洗車傷ができます。
愛車にキズをつけたくない方は洗車機を避けましょう。
ただし、私たちが気をつけていても、意図しないところで愛車が洗車機に「洗われてしまう」場合もあります。
注意すべきは、ディーラーで定期点検や車検を受けた際に行ってもらえる、サービスの洗車です。
というのも、
- 手洗い
- 洗車機
いずれのパターンもあるからです。
「洗車はどうされますか?」とスタッフに聞かれたら、返事をする前に、手洗いか洗車機かを聞きましょう。
洗車機なら、遠慮しておいたほうが良いかもしれません。
「ディーラーの洗車は手洗いだろう」などという勝手な思い込みは危険です。
洗車機に頼らない洗車方法
洗車機を使わずクルマを洗うには、
- 自分で手洗いする
- プロに依頼する
これら2つの方法があります。
自宅に駐車場があれば自宅で、洗車できるスペースがなければコイン洗車場へ行って洗いましょう。
洗車傷を避けるコツは以下のとおりです。
- 初めに水でよく洗い流す
- スポンジで強く擦らない
- タオルで強く拭かない
洗車したボディを拭くには、一般的なタオル(ウエス)よりも、合成セーム革のほうが適しています。
というのも、吸水力が高く「何度もゴシゴシ拭く」必要がないからです。
水滴を拭き取るのではなく、あまり動かさずに吸い取るイメージで使ってみてください。
たとえるなら、お風呂上がりにバスタオルで体を拭く際に、ゴシゴシ擦るのではなく「押し当てる」ようにして拭き取ったほうが肌に優しいのとおなじです。
それから、晴れではなく、曇りの日を選んで洗車しましょう。
晴れている日は水分が蒸発しやすく、ボディに「ウォータースポット(研磨剤を使わないと落ちない頑固な汚れ)」ができやすいからです。
晴れた日に洗車をするなら、ボディが冷えている早朝か、夕方以降がおすすめです。
あれこれ考えるのが面倒だったり、洗車に自信がなかったり、紫外線を浴びたくなかったりするなら、プロに洗車してもらうのも良いでしょう。
手洗いの洗車サービスは、ガソリンスタンドなどで受けられます。
車種(クルマのサイズ)にもよりますが、料金は1回2,000〜3,000円あたりが相場です。
少し贅沢だけど優しく丁寧に愛車を洗ってもらえる、それが手洗いサービスのメリットです。
興味があれば、近所で洗車サービスを提供している店舗を調べてみてください。
まとめ
洗濯機は便利ですが、「ものすごく大事な服」を洗うのには向いていません。
洋服へのダメージを抑えるには、
- ドラム式洗濯機
- 手洗い
- クリーニング
いずれかを選ぶのが無難です。
洗車もおなじで、洗車機は便利ですが、「ものすごく大事な車」を洗うのには向いていません。
なぜなら、洗車傷がつくリスクがあるからです。
愛車に洗車傷をつけたくない方は、自分で手洗いするか、プロに依頼して手洗いしてもうのが良いでしょう。
ガソリンスタンドへ行って2,000〜3,000円ほどのお金を払えば、プロに車を洗ってもらえます。
「もっと早く知りたかった。もう洗車傷だらけだ……」
と落胆している方も、すでにある洗車傷を諦める必要はありません。
コンパウンドで磨けば元通りの綺麗な状態に戻せます。
ちょうど、ゲームのリセットボタンを押すようなものです。
ネット通販サイトAmazonでは、SOFT99のコンパウンドセットが人気でよく売れています。
3種類の研磨剤を使って、ボディをピカピカに磨き上げましょう。
初心者でも扱いやすい(順番を間違えたりしない)トライアルセットです。
洗車傷はもちろん、ドアの取っ手付近についた引っかき傷や、ドアミラーについた擦り傷も消せます。
グラスに入ったヒビと違って、ボディの小傷は、ついたら終わり、ではありません。
自分で修復できるスキルと安心感を手に入れませんか?
では最後に、洗車をタイプ別にまとめます。
- 億劫でない:自分で手洗い
- 面倒だが出費は嫌:洗車機
- 面倒だがキズは嫌:プロの手洗い
あなたはどれに該当していますか?
以上、洗車機の傷を避けるための対策でした。
【結論】ワイパーやルーフアンテナを吹っ飛ばす洗車機を使って、洗車キズがつかないなんて嘘。ファンタジー。そんな都合の良い話はない。優しくじっくり洗車するなら手洗いがベスト。自分で洗うか、プロに洗ってもらおう。すでにある洗車キズはコンパウンドで磨けば消せる。これで小傷の予防も対処もバッチリ。
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主な素材にポリビニールアルコールを使用しており、
- 吸水性が高い
- 水分を含むとなめらかになる
- 塗装面に優しい
といった特徴を持ちます。
数ある合成セーム革のなかでも高く評価されている商品です。