自己啓発本でよくあるのが、
「お金を好きになりましょう。お金にたいしてプラスの感情を抱けば、お金は必ずあなたのもとに集まります」
という論理です。
いや、ないでしょ。
お金を好きになればお金に好かれるって、どういう理屈なんだかさっぱりわかりません。
相思相愛ってやつですか?
この記事では、「お金を好きになればお金持ちになれるなんてウソだ」ということを書いていきます。
まちがった方向性の努力をする人がいなくなることを願って。
好きになってもお金は寄ってこない
私という存在がさっそくこの理論の誤りを証明しています。
私はお金が好きですが、お金にはちっとも好かれていません。
自己啓発本に書いてあることが正しければ、私は今ごろ億万長者になって、ホームシアターで優雅に映画を観ていてもいいはず。
労働をすれば(けっして多くはない)お金が寄ってきますよね。
でも「好きだよ」という気持ちだけではダメみたいです。
お金ってなんのこと?
クレジットカードや電子マネーがどんどん普及してきています。ほとんど現金を使わない人も増えているでしょう。
こうした状況では「そもそもお金ってなんのこと?」という疑問を抱きませんか?
預金残高から電子マネーにチャージをして、レジでスマホをかざして決済完了。
紙幣や硬貨といった従来の"お金"は、現在の買い物ではほとんど登場しません。
スマホの画面上に表示されている3,000円という数字。これがお金です。
紙幣や硬貨だけがお金じゃありません。仮想通貨も出てきています。
もはやお金に実体などないのです。
それではいったい、どうやって実体のないものを好きになればいいのでしょうか。
困難を極めますね。
お金にも感情が……ない
お金など存在しません。
強いていうなら「お金は人々の頭のなかにある」ということになるでしょう。
であれば、そんなお金に「感情がある」とするのもおかしな話です。
自己啓発本では「お金には感情があるから、嫌う人のところへは行かない。人間だってそうでしょう?」みたいなことが書いてあります。
人間ならそうかもしれないが
たしかに人間であれば、自分を嫌う人のところへ好んで行くようなマネはしません。
でも、「お金も同じです」というのは「?」です。
なんでお金も同じやねん
って思います。
人間は自分を嫌う人のところへ行かない。これはわかります。
でも、「お金も同じです」というのは看過できません。とんでもない理論の飛躍です。
たとえるなら、「犬の名前を呼ぶと寄ってきますよね。お金もおなじです」っていってるのといっしょ。
なんでやねん
って話です。
「お金を好きになればお金が寄ってくる」の正しい意味
真実はこうです。
「お金を好きになればお金が寄ってくる」という理論は、ある意味ではまちがっていません。
なぜなら、
(あなたが)お金を好きになれば(私に)お金が寄ってくる
といえるからです。
主語を明確にしてみる
もうすこし詳しくご説明します。
私たちのような読者がお金を好きになればなるほど、「お金」にまつわる自己啓発本が売れますよね。
「お金の新常識」「億万長者の思考法」みたいな類の本です。
本が売れると印税が入るので著者が儲かります。
さらに著者がお金儲けに関するセミナーや講演を行なっていれば、そちらでも儲けられます。
だから著者にとっては、
(あなたが)お金を好きになれば(私に)お金が寄ってくる
というわけ。
ダマされた。
まんまとやられました。
「お金好きだよ〜ラブ〜」と声援を送っている(私みたいな)男のもとに、たくさんのお金が集まるようなことなどないのです。
自己啓発本はほどほどに
お金を好きになればなるほど、私たちは自己啓発ビジネスのカモになります。
お札を折らないよう長財布に買い替えたり、支払うときに「行ってらっしゃい」と見送ったり、お金を丁寧に扱ったり。
こうした行為によって少なくとも"いい人"にはなれるでしょうが、"億万長者"になれるかどうかは怪しいものです。
自己啓発本を読むのが楽しいのはわかります。
「俺もいけそうな気がするぞォー!」みたいな謎のテンションにしてくれますしね。
でも、ほどほどに付き合うのが良いでしょう。まちがっても書いてある内容をすべて鵜呑みになんてしないことです。
お金への恋はどうせ片想いに終わるので。