あなたには彼女や奥さんがいますか?
この記事では村上春樹著『女のいない男たち』を読んだ感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
なお、ネタバレはいっさいありません。
『女のいない男たち』の感想
本書は6つの物語からなる短編集です。すべての物語にもれなく「女のいない男」が登場します。
立場や境遇はそれぞれ異なっていますが、パートナーがいないという点において共通している。
そんな男たちのストーリーです。
孤独を描いているわけではない
当然ながら、「女がいなくて寂しい」という男の嘆きや侘しさだけを描いているわけではありません。
不平不満を聞かされるだけだったらつまらないですよね。
モテるけれどあえてパートナーを持たない男性も登場します。
パートナーがいない事実はあくまでもおまけのようなものです。
「女がいない男」におすすめ?
ですので、本書がパートナーのいない男性におすすめかというと、必ずしもそういうわけではないといえます。
男性たちは押し並べてクールで、がっついたとろこがなく、「彼女や妻はいないけど幸せにやってるよ」といった雰囲気の人物ばかりなので。
「彼女が欲しいのにできない!」と渇望している読者にとっては、共感できない部分もあるかもしれません。
いっぽうで、パートナーがいる男性が読んでも楽しめます。
読んで思ったこと
文体はあいかわらず"村上春樹"でした。
彼の著書を1冊でも読んだことがあればだいたい想像がつくかと思います。
翻訳調というか、なんというか。
女がいない男は特殊ではない
それから「女がいない男」というテーマについては、それほど気になりませんでした。
小説に出てくるほとんどの男性に彼女や妻がいるわけではありませんよね。
あらゆる小説において、彼女がいない男、独身の男はふつうに出てきます。
ですので、それほど特異な設定でもないのかな、と。
これが「頻尿の男たち」だとか「夕食はステーキしか食べない男たち」だったりしたら、もっと特殊な小説になっていたのだとは思いますが。
もしくは「預金残高のない男たち」だとか。
『イエスタデイ』を関西弁で訳す男
正直なところ、6つすべての話を覚えているわけではありません。
『イエスタデイ』という物語に出てくる、ビートルズの『イエスタデイ』を関西弁に訳して歌う男のインパクトが強すぎて、読み終えたときに彼の印象しか残っていなかったからです。
おそらく本書を読んだ読者のほとんどが、上記の彼を明確に記憶していると思います。
それくらい彼は奇抜で突飛で魅力的な登場人物でした(小説のタイトルを『イエスタデイを関西弁で歌う男』にしても良かったのではないか、と思ってしまうほどに)。
まとめ
6つそれぞれがまったく異なるストーリーで読者を楽しませてくれます。
女がいてもいなくても、たとえあなたが女性であっても、本書はおすすめです。
ただ、『女のいない男たち』を書店で買うと「この人きっと女がいないんだろうな」という目で書店員に見られます。
すくなくとも私が書店員ならそういう目で見ます。
ですので、ぜひネット書店をご活用ください。
以上、『女のいない男たち』を読んだ感想でした。