幸田露伴の『努力論』は名著ですが、現代人にとってその表現は難解で、読むのが難しいとされています。
本書は『努力論』をやさしい表現に置き換えたものです。
この記事では、渡部昇一編述『幸田露伴「努力論」を読む 人生、報われる生き方』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『幸田露伴「努力論」を読む 人生、報われる生き方』の要約と感想
まずは本書の要約から。
幸田露伴の『努力論』を現代人でも読める表現に置き換えたもの。
努力には直接の努力、間接の努力の2種類が存在すること。
人生に福を積み立てる3つの秘訣。
正・大・精・深の4つを心がけて生きることなど。
より良い人生を歩むために欠かせない「努力」について説く。
以上がおもな内容です。
向上心があり、自己をもっと高めたいと考えている方に本書はおすすめです。
正しい努力の仕方や方向を知ることができます。
「好き」で生きる現代に「努力」は似合わない?
現代社会では「好きなことだけをして生きる」といったライフスタイルが注目を集めています。
YouTubeやインスタグラムを使って情報発信を行い、広告収入を得て生活している人が増えているなかで、彼/彼女らへの憧れがあるのかもしれません。
楽しいことだけをやって生きている人がもてはやされる現代において、「努力」は古臭いものであるとされ、敬遠されがちです。
「努力をしていると感じている時点でダメ。楽しいと思えること以外はやっても無駄」
といった発言をする人もいます。
では、現代社会において努力の必要性は薄れてしまったのでしょうか。
幸田露伴の考え
幸田露伴はこの点について『努力論』のなかで見解を示しています。
曰く「好んで為すとはいえ、その間に状況の悪化や不運は生じる。悪条件のなかで感情に打ち克ち、目的から目をそらさずに進むのが努力である」と。
好きなことだけをやって生きていくとしても、努力が必要な場面は訪れます。
カップルYouTuberとして活動していたけれど、破局を迎えてしまったとか。
プロブロガーとして生計を立てていたけれど、過激な発言が規約違反とみなされ、広告配信を止められてしまったとか。
念願のカフェをオープンしたけれど、人っ子ひとりやってこないだとか。
「好きなこと」を貫くためには努力が欠かせません。
こうした状況下で努力できる精神を持っていなければ、途中で投げ出してしまうことになり、「好きで生きる」は実現できないでしょう。
好きなことだけやって生きたい人も、嫌な仕事に耐えている人も、もれなく努力が必要だということです。
ゆえに本書は、すべての人にとって参考になります。
結果が出る正しい努力の仕方や、方向性について学ぶことができるからです。
小さくてもいいから深い井戸を掘れ
『努力論』のなかで幸田露伴は、「小さくてもいいから深い井戸を掘れ」と述べていました。
あれこれ目移りしていては、何事も為すことができないからです。
範囲は狭くて構わないから、深く一流を追求すべきだといいます。
そうすれば、ふつうの人が及ばない水準に達することができる、と。
サッカー選手と皮膚科医とファッションデザイナーを同時に目指そうと思ったら、すべてが中途半端に終わってしまうことでしょう。
成功するには、その逆です。
すなわち一点突破です。
一箇所にすべての時間とエネルギーを投入すれば、それなりの成果を出せるということを、露伴は井戸にたとえて説いていました。
あなたがあれもこれも欲張ってチャレンジしているのだとしたら、露伴から見て「努力の仕方が間違っている」ということになるのかもしれません。
まとめ
『努力論』というと、精神論が書き連ねてあるようなイメージを抱く方もいるのではないでしょうか。
努力しろ。頑張れ。気合いだ。エイエイオー、みたいな。
そうではありません。
本書には精神論でなく、正しい努力をするための方法論が書かれています。
「気が散って集中できないときはどうすれば良いか」といった、具体的な指針です。
自信を手に入れる方法や、病気を遠ざける生き方なども載っていて、生き方の指南書となるような一冊でした。
天才と呼ばれる幸田露伴の考え方に、あなたも触れてみてはいかがでしょうか。
以上、渡部昇一編述『幸田露伴「努力論」を読む 人生、報われる生き方』の要約と感想でした。
結論。『努力論』の現代語訳版。そのエッセンスを学ぶことができる。成し遂げたい夢や目標、手に入れたい理想の生活があるすべての方におすすめ。