精神科医である著者がよく使う言葉が、本書には詰まっています。
この記事では、上月英樹著『精神科医がよくつかっている治癒することば』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『精神科医がよくつかっている治癒することば』の要約と感想
まずは本書の要約から。
著者が気に入っているあらゆる人々の言葉を集め、解説を加えたもの。
谷川俊太郎、中川翔子、ニーチェ、ベートーベン、ゲーテ、など、さまざまなジャンルから「治癒する言葉」を紹介する。
以上がおもな内容です。
精神科医が好きな名言を集めて解説を加えた本
本書は、精神科医セレクションの名言集だといえます。
ゆえに、著者自身が語る「治癒する言葉」が載っているわけではありません。
あくまでも他者の言葉であって、著者はそこへ解説を加えているだけです。
解説というのも、言葉を発した人物の略歴など、読者の知りたいこととはおよそかけ離れた内容でした。
読者は「心が軽くなる言葉」を期待し、本書を手にしているはずです。
ゲーテがなにをした人物なのかを知りたくて読んでいるわけではありません。
これではただ、「精神科医」という肩書きを利用しただけの名言集です。
読者の心を軽くしようとせず、ただゲーテやらニーチェやらの偉業を語られても、読み手は困惑してしまいます。
他の名言集を読んだほうがいい理由
名言集として見たときに、本書が優れているとはいえないでしょう。
なぜなら、紹介されている名言の数が少ないからです(かわりに人物についての解説が長い)。
そもそも名言というのはどれも前向きな内容ですので、あえて名言の掲載数が少ない本書を選ぶ必要はありません。
こちらの本では2000種類の名言が紹介されています。
しかも、言葉を発した人物についての説明や、選んだ理由などは書かれていません。
スッキリまとまっており、おすすめです。
『精神科医がよくつかっている治癒することば』には、テーマと関係のない「細切れ時間の有効活用法」が書かれていたりもします。
多忙でありながらも本を執筆できてしまうノウハウを、著者は惜しげもなく公開してくれています。
著者の時間活用方法をありがたいと受け取るか、「ただの自慢話」だと一蹴するかは、読者しだいです。
まとめ
こころに滲みることばだ!
ジンとくる!
など、本書のなかではエクスクラメーションマークが多用されていました。
これを「読んでいて元気が出る」と受け取るか、「著者がひとりで盛り上がってて暑苦しい」と拒絶するかも、やはり読者しだいです。
なにはともあれ、本書は名言集です。
「精神科医がやさしい言葉をかけてくれる」ことに期待している方は、肩透かしを喰らいますのでご注意ください。
以上、上月英樹著『精神科医がよくつかっている治癒することば』の要約と感想でした。
結論。「精神科医」という肩書を利用した名言集。「精神科医がよくつかっている駅」みたいなもので、「精神科医」にさしたる意味はない。