江戸時代の人々の暮らしぶりを知ることができる本です。
この記事では、石川英輔著『大江戸しあわせ指南 身の丈に合わせて生きる』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『大江戸しあわせ指南 身の丈に合わせて生きる』の要約と感想
まずは本書の要約から。
現代社会は便利なものであふれているが、人々はイライラしながら忙しく暮らしている。
つまり、現代人は幸せではない。
江戸時代に生きた先祖のほうが、のどかで幸せな生活を送っていたのではないだろうか。
江戸の人々の生活リズム、食事、使っていた道具などについて解説し、江戸の暮らしぶりを明らかにする。
以上がおもな内容です。
江戸時代の庶民の暮らしについて知りたい方に本書はおすすめです。
江戸時代の人々はどんな暮らしをしていたか
江戸の生活は、人間と自然に優しいものだったといいます。
なぜなら、徹底的なリサイクルを基本としていたからです。
江戸時代の人々は、日用品が壊れたら修理して使うのが当たり前で、屎尿も集めて畑の肥料としていたそうです。
大量生産・大量消費の社会で生きる私たち現代人には、なかなか想像がつきません。
壊れたモノはすぐ捨てるし、屎尿は水洗トイレで下水へ。
ほかにも、行灯や蝋燭の作り方と値段、食生活、お金の使い方など、本書には江戸庶民の暮らしぶりが載っています。
歴史で習った知識とは異なり、江戸時代は、けっして飢饉と一揆ばかりがつづく暗黒時代などではなかったようです。
現代人がどうすべきかは記述なし
本書には江戸時代の人々の生活が載っています。
淡々と事実が書かれているだけで、「だから現代人もこうしたほうがいい」といった著者の意見は見当たりませんでした。
つまり、江戸時代の生活を知ることはできても、現代の私たちがどう応用すべきかは示されていない、ということです。
本書を読んだとしても、江戸に倣ってなにか行動を変えるのは難しいかもしれません。
家中の蛍光灯をすべて捨て、行灯の明かりだけで生活するわけにはいかないでしょう。
メリットがないからです。
冷蔵庫を廃棄し、江戸時代のように旬の食材だけを買って食べるわけにもいきません。
手間がかかりすぎるからです。
肥料として屎尿を買ってくれる人を探すというのも、非現実的です。
大小問わずどこにも需要がないからです。
江戸時代の事実を淡々と述べるだけでは、「しあわせ指南」になっていません。
現代人がどう生きるべきか、ここの見解を著者がはっきり示してこそ、「指南」です。
「江戸の史実だけ示すから、読者がおのおの考えろ」では、無責任としかいいようがありません。
まとめ
江戸時代の暮らしについて書かれているのが本書です。
事実が淡々と示してあるという意味では、小中学校で使われている歴史の教科書に近いのかもしれません。
残念だったのは、現代社会で江戸の知識をどう活かすか、に著者がノータッチだったことです。
「江戸の発想に学ぶ点は多い」と著者は述べていましたが、その「学んだこと」をシェアしてこそ、本書に価値が生まれるのではないでしょうか。
さもなければ、江戸の暮らしをそのまま実行しようとしたリサイクル精神にあふれる純粋な青年が、尿瓶を買い、そこへ屎尿を入れ、町で売り歩くなどという珍事が起こりかねません。
くれぐれもこのような器具をお買い求めにならないよう、ご注意ください。
以上、石川英輔著『大江戸しあわせ指南 身の丈に合わせて生きる』の要約と感想でした。
結論、江戸の生活を知れる。読み物としては面白いが、「しあわせ指南」かといえば、答えはノー。淡々と事実が述べられているだけ。
江戸時代から何かを学んで活かしたい方には、こちらの本がおすすめです。
江戸の作家・井原西鶴の作品をとおして「たくましい生き方」を学べます。