核兵器がこの世界からなくならないのは、なぜだと思いますか?
核保有国が、他国へ向けて核ミサイルを発射することはあり得るのでしょうか。
この記事では、池上彰著『世界から核兵器がなくならない本当の理由』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『世界から核兵器がなくならない本当の理由』の要約と感想
まずは本書の要約から。
核兵器の誕生から、第二次世界大戦での使用、現在の保有国にいたるまで、核兵器の歴史を振り返りながら「なぜ核兵器がなくならないのか」を解説する。
外交カードとしての核兵器、相互確証破壊という危うい理論、くわえて核兵器の仕組みなど、核について知ることのできる一冊。
以上がおもな内容です。
核兵器について知りたい方に本書はおすすめです。
核兵器について幅広く学べる良書
核兵器の構造や、第二次世界大戦で使用されるまでの経緯、この世界にいまも核兵器が残っている理由など、核兵器というものについて幅広く記されているのが本書です。
(テレビ番組で時事問題の解説をしている)池上彰が著者なだけあって、わかりやすい説明でした。
核兵器についてまったく知らない方でも、本書を読めば、核兵器がどういうもので、いま世界がどういう状況なのかが理解できます。
多くの日本人にとって興味深いのは、「第二次世界大戦で広島と長崎にアメリカが原爆を投下した理由」ではないでしょうか。
一般的には、「戦争を早く終わらせるため」にアメリカが使用したことになっていますが、池上氏はそうではないと述べています。
対ドイツ用に造った核爆弾がなぜ日本列島に投下されてしまったのか、池上氏の解説は興味深いものでした。
核爆弾を使用された唯一の国の国民として、真実を知りたいと思いませんか?
北朝鮮の核ミサイル問題
私たち日本人にとって脅威なのが、隣国である北朝鮮の核問題です。
核開発を進めていたり、大陸間弾道ミサイルが完成したと宣告したり、いきなりミサイルを発射したりと、北朝鮮という国はどうも穏やかではありません。
したがって気になるのは、「日本は北朝鮮に核ミサイルを撃たれる可能性があるのか」ということではないでしょうか。
池上氏は「北朝鮮が核兵器を使うことはないだろう」と述べています。
なぜなら、経済不振に苦しむ北朝鮮は、外交カードとして核兵器を活用したいと考えているからです。
つまり他国に要求を承諾させるための脅しとして、北朝鮮は核兵器を開発しているというわけです。
強盗が手に持っているピストルみたいなもの。
こうした北朝鮮の思惑を知っていれば、ニュースを見てむやみに怯えることはなくなるのではないでしょうか。
北朝鮮が強硬な姿勢を見せていたら、「怖い」ではなく、「北朝鮮は相当追い込まれているのだろう」と思えるようになります。
まとめ
核兵器についてわかりやすく説明してある良書でした。
核兵器の誕生から現在にいたるまでを俯瞰して見れるのが、本書の優れている点だといえます。
本書を読めば、どこにも偏らず、満遍なく「核兵器」というものを知ることができます。
核兵器の仕組みばかりでも、第二次世界大戦で使われた背景ばかりでもない。 全体のバランスが良い。
また、どこかの国に向けて直接ミサイルを撃つよりも恐ろしい、電磁パルス攻撃(宇宙空間で核爆弾を爆発させる)というのが存在することも学べます。
そしてちょっとだけ絶望的な気分になる。電磁パルス攻撃が怖すぎて。北朝鮮は「超強力電磁パルス攻撃が可能」だと宣言していて、やはり穏やかでない。
唯一の核被爆国である日本の国民として、また北朝鮮の隣国に生きる日本人として、核兵器というものを知ってみてはいかがでしょうか。
以上、池上彰著『世界から核兵器がなくならない本当の理由』の要約と感想でした。
結論。核兵器の誕生、使用、現状までバランスよく学べる良書。説明が平易でわかりやすい。