NHK Eテレの番組「ろんぶ〜ん」をもとにした書籍です。
学術研究の奥深さや、研究者の努力を知るきっかけに本書がなるかもしれません。
この記事では、『奇跡の論文図鑑 ありえないネタを、クリエイティブに!』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『奇跡の論文図鑑 ありえないネタを、クリエイティブに!』の要約と感想
まずは本書の要約から。
世の中にはたくさんの論文が存在している。
最先端のもの、着眼点がユニークなもの、役に立つとは思えないものまで、テーマは多種多様である。
なかでもユニークかつクリエイティブな論文を取り上げ、執筆した本人の言葉をもとに紐解いていく。
論文を通して、人間が持つ底知れない好奇心に触れてみて欲しい。
以上がおもな内容です。
これまで「論文」を読んだことがない方にとって本書は参考になるかもしれません。
これが奇跡の論文なのか?
本書で取り上げられている論文は、
- ラーメン
- 猫
- 漫才
- アイドル
- ギャンブル
- 食欲
- 幽霊
などをテーマにしています。
たとえば、「ラーメンの残り汁でエンジンは動かせるのか」や「猫に思い出はあるのか」などについて論じられていました。
「ありえないほどユニークでクリエイティブな論文を厳選した」と本書には書いてありましたが、それほどユニークでもクリエイティブでもない論文ばかりです。
もっと、イグ・ノーベル賞を受賞するような奇抜なテーマを期待していました。
NHKの教育番組が本書のベースになっていることから、それほどぶっとんだ論文は紹介できなかったのだと察します。
NHKは公共放送なので。
内容は専門的かつ難解
さまざまな論文の内容が本書では紹介されています。
読者にわかりやすいよう工夫されているのでしょうが、それでも内容や用語の専門性、表現の難解さから、論文にたいして堅苦しく難しい印象を受けました。
ふだん目にする機会がない論文が「どういうものなのか」を知ることはできます。
ただし、その内容を理解できるかどうかは、読者の知識や理解力しだいだといえるでしょう。
ところで本書は、「人々が論文を読まないのはもったいない」とし、その原因を「論文が難解だからだ」と結論づけていました。
ですが、私たちが論文を読まない理由は「論文が難しいから」なのでしょうか。
そうではありません。
そもそも、「論文がどこで読めるのかわからない」ことが、私たちが論文を読んでいない原因だと考えます。
つまり、論文が難しいうんぬん以前の問題だ、ということです。
あなたは論文がどこでどのようにすれば読めるのか、ご存知ですか?
- 書店?
- 図書館?
- インターネット?
「論文はどこで読めるのか」について、本書では何の説明もなされていません。
これでは読者がせっかく論文に興味を持ったとしても、次のステップを踏み出す方法がわからず、論文への興味が冷めてしまいます。
論文を読む方法を示していない本書は、不親切だといえるでしょう。
まとめ
論文が読まれていない原因を履き違えており、あるいは見落としており、中途半端な論文ばかりを取り上げているのが本書です。
「日本型アイドルはどのように生まれたのか」という論文のテーマ設定が、それほどユニークかつクリエイティブであるとは思えません。
ですが、本書に載っているのはどれも「ありえないほどユニークでクリエイティブな論文」なのだといいます。
ユニークさおよびクリエイティブさがこの程度だとしたら、論文を読んでみる気にはなれません。
そもそも書店に並んでいる本すら売れていないこの時代に、わざわざ(どこで読めるんだかわからない)論文を読みたがる人などいるのでしょうか。
私たちにとって論文が遠い存在であるからこそ、もっとキャッチーでインパクトのある論文を取り上げるべきだったといえそうです。
そして、論文のありかを示してくれればバッチリでした。
以上、『奇跡の論文図鑑 ありえないネタを、クリエイティブに!』の要約と感想でした。
結論。ありえるネタを、それなりに。
知的好奇心が旺盛なあなたには、こちらの本がおすすめです。