たとえ真夏でも、中国人はビールを常温で飲むそうです。
なぜなら中国人にとって「身体を冷やさないこと」は、健康を維持する上での常識だからです。
中国の医師であり鍼灸師である著者は、日本人は冷えが体に与える影響を軽視しすぎている、と警鐘を鳴らしています。
冷えが健康に及ぼす悪影響や、身体を冷やさない工夫について学びたい方に本書はおすすめです。
この記事では、胡伊拉著『冷たい飲み物はとるな。病気にならない人が徹底していること』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『冷たい飲み物はとるな。病気にならない人が徹底していること』の要約と感想
まずは本書の要約から。
著者は中国人の医師・鍼灸師である。
「冷えは万病のもと」という言葉が示すとおり、体を冷やすと、さまざまな悪影響が生じかねない。
- なぜ冷えは体に悪いのか
- 中国ではどのように冷えを避けているか
- 冷え性にはどう対処すべきか
といった冷えの知識に加え、
- 漢方薬の信憑性
- 酢を飲む危険性
- スマホの使いすぎが招く緑内障のリスク
など、病気にならないためのさまざまな対策について解説している。
以上がおもな内容です。
私たちが健康を保つ上で役立つ知識が、たっぷり詰まっている良書です。
体の冷えは諸悪の根源
体が冷えると、どうして健康に良くないのでしょうか。
寒さを感じると、人間の体は内臓あたりの中心温度を一定に保とうとします。
具体的には、手足の血管を収縮させ、体の末端から熱が逃げないようにします。
その結果、手足が冷えるのはもちろん、全身の血流が悪くなり、新陳代謝が活発でなくなり、免疫力が低下してしまうのだ、と著者は述べていました。
冷たい飲み物は、私たちの体を内側から冷やします。
口から胃までの粘膜にある血管を収縮させ、胃粘膜の血行を悪くし、
- 消化不良
- 胸やけ
- 胃もたれ
- 食欲不振
- お腹の膨満感
このような症状を冷えがもたらすのだといいます。
3000年以上の歴史がある中国医学において「冷えは万病のもと」だと考えられているため、中国人は冷たい飲み物をいっさい飲まず、温かいお茶を入れたマイボトルを持ち歩いているそうです。
そんな中国に「冷え性」にあたる言葉がないのは、当然のことなのかもしれません。
中国人にとっては「冷エ性?ソレ何アルネ!」ってなもんでしょう。
著者は冷たい飲み物はおろか、常温の飲み物すらも口にしないといいます。
つねに温かい飲み物をとる著者の習慣は、参考になります。
本書を読んだ私は、さっそく卓上保温ポットをAmazonで買いました。
温かい飲み物(お茶など)を入れておけば、冷めないように保温しておいてくれるスグレモノです。
これで、いつでも「温かい飲み物」を飲めています。コレオススメアルヨ、です。
漢方薬や酢には健康効果があるのか?
「冷え」に関心を持つあなたのことなら、おそらく漢方薬や酢といった、健康に良いとされているものにも興味があるのではないでしょうか。
本書では、そのいずれにも言及しています。
まず漢方薬について、原料のほとんどが農薬漬けだ、と著者は述べていました。
人口や需要の増加により、漢方薬の原料もいまや野菜のように人工栽培を行っているといいます。
植物の成分は育った土壌などの環境に大きく左右されることから、畑で育った原料に治療作用があるかどうかは疑問なのだそうです。
もともと山奥で育っていた植物を、平地に持ってきて、畑で育てても、おなじ治療効果が得られるのでしょうか?
著者は「むしろ農薬による毒作用のほうが心配だ」と述べていました。
漢方薬イコール体に良いもの、と考えていた方にとっては、ショッキングな情報でしょう。
それから、酢についてです。
酢を飲むのは危険だ、というのが著者の見解です。
なぜなら酢は酸性だからです。
胃に刺激を与え、胃酸の分泌を促すことで胃酸過多を引き起こし、
- 胃炎
- 胃潰瘍
といった症状を招くリスクがあるといいます。
そこへさらに酢を飲みつづけることで、症状が悪化し、がんになる恐れもあると著者は述べていました。
胃潰瘍になった女性が、「黒酢を毎日飲んでいるなら、それが原因でしょう」と医師から指摘された、というエピソードも本書には載っています。
酢を飲むのが体に良いという医学的根拠はないそうですが、それでもあなたは、酢の入ったドリンクを飲みたいと思いますか?
まとめ
病気にならないための知識が詰まっている良書でした。
どの主張も根拠がハッキリ示されており、論理的です。
本書は、世間にありがちなトンデモ健康本などではありません。
冷えの知識を中心としつつ、健康に関するさまざまなお役立ち情報や、中国人について書かれている本です。
中国人観光客は「日本できれいな空気を吸いたいと考えている」、中国には「ストレス」に該当する言葉がない、中国人はビールすら常温で飲むなど、へぇそうなんだと驚くようなプチ情報も読者を楽しませてくれます。
以上、胡伊拉著『冷たい飲み物はとるな。病気にならない人が徹底していること』の要約と感想でした。
結論。ザ・東洋医学。治療ではなく予防に重点を置く東洋医学を学びたい方(つまり病気になりたくない方)に本書はおすすめ。
私が買ったコレもおすすめ。