著者の新井氏は、VIPや大富豪にたいして執事やコンシェルジュを派遣する企業を経営しています。
本書には、自分にも他人にも厳しいVIPたちを満足させるために、著者がどんな手帳・ノート術を使っているのかが記されていました。
- 3冊のノート
- 2色のボールペン
使うのはこれらの筆記用具です。
この記事では、新井直之著『世界のVIPが指名する 執事の手帳・ノート術』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『世界のVIPが指名する 執事の手帳・ノート術』の要約と感想
まずは本書の要約から。
著者は日本バトラー&コンシェルジュという企業の経営者。
VIPや大富豪のもとへプロの執事やコンシェルジュを派遣し、送迎、食事、スケジュール管理など、公私問わずさまざまなサービスを提供している。
お客はたいてい自分だけでなく周囲にも厳しため、100点のサービスでは満足してもらえない。
130点のサービスを提供し、信用を得るために欠かせないのがノートと手帳だ。
3冊のノートと2色のボールペンを使った予定管理、仕事の効率アップ術を公開する。
以上がおもな内容です。
手帳・ノート術のほとんどは「他者との打ち合わせ」を想定したものでした。
人と打ち合わせする機会が少ない人にとっては、さほど参考にならないかもしれません。
たとえるなら、クルマで雪道を運転するシーンなどない人間が「雪道を安全に走るドライブテクニック」を学ぶようなものだといえます。
つまり、学んだスキルを発揮する場がない、ということです。
他者との打ち合わせがメイン
本書に載っている手帳・ノート術は、「人との打ち合わせ」を想定しています。
たとえば、打ち合わせ前にノート1行目にゴールを書いておくと、情報の取捨選択がしやすくなる、と著者は述べていました。
なぜなら、ゴールを明確にすることで、必要な情報とそうでない情報を区別できるようになるからです。
もしVIPの希望が「子どもの誕生日パーティーの企画」であれば、「お子さんを喜ばせる誕生日パーティー」とでもノート1行目に書いておけば良いのでしょう。
くわえて、打ち合わせが終わったら赤ペンで結論を導き出せ、とも著者はアドバイスしています。
自分がとったノートを振りかえり、大事なポイントを赤ペンで囲い、
- 次のアクション
- 締め切りの日時
などを明らかにすると良いそうです。
ほかにも、
- 相手の個人情報は書かない
- 頻出する単語は略字に置き換える
- 手書きのノートで相手に好印象を与える
など、「対人」のノート術が記されていました。
誰とも打ち合わせをしない職業、たとえばプロブロガーが本書を読んだとしても、参考にはならないでしょう。
遊園地のジェットコースターにはたいてい身長制限が設けられており、規定が110cmなら110cm、規定が120cmなら120cmを超えていなければ、ジェットコースターには搭乗できません。
本書もおなじで、「他者としばしば打ち合わせをする人物」でなければ、読んでも役に立てられません。
本書の要点
著者の主張を端的にお伝えします。
大切なのは、相手の要望を引き出し、本質を押さえ、スケジュール管理を行うこと。
気に入った言葉を書き留めておく「自作名言集」のような手帳を見て自分自身を高めること。
打ち合わせに遅れないためには、タクシー代や前泊のホテル代といった出費をケチらないこと。安心料として支払うこと。
など、全体を通して執事色が強めでした。
すべての日本人が「打ち合わせ」をしているわけではないので、本書は読者を選びます。
ただし、執事がどのような仕事をしているのか、どうやって仕事を管理しているのかを知れる点においては、「貴重な資料」だといえるのかもしれません。
というのも、99%の人間にとって執事やコンシェルジュなどは別世界の話だからです。
「大富豪はこんなサービスを利用してるのか、チクショウ」
ってな不満が募るとしても、 知らない世界を覗くのは楽しいはずです。
それから本書には、大富豪に関する情報がチョコチョコと載っていました。
たとえば、大富豪やVIPと呼ばれる人ほどスケジュールに余白が多い、などです。
本書のノート術を活用できそうな人(打ち合わせが多い人)は、このようなプチ情報も楽しめることでしょう。
まとめ
自宅でハンバーグを作らない人間に、ナツメグ(香辛料)は必要ありません。
筋トレをしない人間にダンベルは必要ありませんし、Yシャツを着ない人間にネクタイは不要です。
本書もおなじで、人と打ち合わせをしない人間は読む必要がありません。
なぜなら本書には、相手の要望を引き出し、本質を押さえ、スケジュールを管理するためのノウハウがドッサリ記されているからです。
ノート術ではなく、世界の大富豪やVIPに興味がある方は、新井氏のべつの著書を読むと良いでしょう。
当サイトでは、新井直之氏のこんな著書も紹介しています。
以上、新井直之著『世界のVIPが指名する 執事の手帳・ノート術』の要約と感想でした。
結論。執事による、執事のための、ノート術。本書のターゲット層は、一方通行の道路くらい狭い。
「書く」ビジネススキルに関して、当サイトではこんな本も紹介しています。