ベース車両フィアット500を、アバルト社がチューンアップしたのがABARTH595です。
アバルト595は、刺激的な走りが魅力のホットハッチ、だといえます。
そんなアバルト595には、
- 595
- 595 TURISMO
- 595 COMPETIZIONE
これら3つのグレードが存在し、それぞれエンジン出力やインテリアなどが異なっています。
アバルト595を買うなら、どのグレードを選ぶのが良いのでしょうか。
この記事では、
- 最上級グレードがベストなのか
- グレードごとの違いとは
など、「アバルト595はどのグレードを買うのがおすすめか」をわかりやすく解説します。
ぜひ参考にしてみてください。
アバルト595に設定されている3グレードの違い
価格が安いほうから順に、
- 595
- 595 TURISMO
- 595 COMPETIZIONE
アバルト595にはこれら3つのグレードがあります。
「どれを買うのがベストなのか」は、一概にいえません。
なぜなら、アバルト595に求めるモノ次第で、最適なモデルは変わってくるからです。
ちょうど、靴を買うときに、
- 近所を走りたい:ランニングシューズ
- 田んぼで作業がしたい:長靴
- 蒸れるのが嫌だ:サンダル
このように、目的に応じて「ぴったりな靴」が変わるようなものです。
以下では、
- エンジン性能
- トランスミッション
- インテリア(シート含む)
これら3つの差異をお伝えしていきます。
いずれも車の走りに関わる部分であり、この違いを押さえておけば、アバルト595のグレードの違いがよくわかります。
1. エンジン性能の違い
搭載しているエンジンそのものは、3グレードとも変わりません。
どのモデルも、1,368ccの直列4気筒ターボエンジンを積んでいます。
エンジン自体はおなじですが、システム設定を変えることで、出力の差を生み出しています。
- 595:145PS
- TURISMO:165PS
- COMPETIZIONE:180PS
馬力がもっとも高いのは、最上級モデルであるコンペティツィオーネです。
それぞれの最大トルクは、
- 595:18.4kgm
- TURISMO:21.4kgm
- COMPETIZIONE:23.5kgm
このように設定されています。
3グレード中もっとも速いのはCOMPETIZIONEですので、アバルトに走りの刺激を求めるなら、COMPETIZIONEを買うのがベストでしょう。
たとえるなら、
- 赤身
- 中トロ
- 大トロ
このうちでもっとも脂が乗った部位を求める場合、大トロを選ぶのがベストであるようなものです。
アバルト595の3グレードは、いずれも使用燃料はハイオクで、燃料タンクは35Lとなっており、違いはありません。
燃費が良いのは、
- CONPETIZIONE
- TURISMO
- 595
この順です。
CONPETIZIONEは走行性能が高く(加速が速く)、燃費が良い、申し分のないモデルだといえるでしょう。
ただし最上級モデルなので、車両価格は3グレード中もっとも高額です。
2. トランスミッションの違い
アバルト595のトランスミッションは、以下の2タイプから選べます。
- 5速マニュアル
- デュアロジック
デュアロジックとは、正式にはATモード付5速シーケンシャルといい、ATとMTの中間をとったような、FIAT車ならではのトランスミッションです。
フィアット500をベースにしているアバルト595も、500とおなじくデュアロジックを採用しています。
デュアロジック車にクラッチペダルはついていないため、AT限定免許で運転できます。
ATやCVTとくらべたデュアロジックの違いとしては、
- クリープ現象がない
- 構造がシンプルで軽い
- 変速ショックが大きい
などの特徴が挙げられます。
クリープ現象が(ほとんど)ないので、デュアロジック車でブレーキペダルから足を離しても、車が前に進みません。
クルマを発進させるには、アクセルペダルを踏む必要があります。
ただし、ATやCVTから乗り換えてもすぐ慣れますので、たいした問題ではないといえます。
問題は、デュアロジックの変速ショックが大きすぎることです。
ギアが1速から2速、3速へと変わるたび、アバルトには、ガックンという大きな揺れが生じます。
この衝撃は、快適さの対極にあるといって良いでしょう。
ドライバー本人はハンドリングを楽しんでいるので良いものの、助手席や後席に座っている同乗者にとってはサイテーな乗り心地です。
ギアチェンジするたびに、国産車では考えられないくらい「ガックン」と揺れますので、いちどディーラーで試乗をしてみることをおすすめします。
ガックンが許容できる範疇かどうか、確かめてみてください。
MT車を運転できるのであれば、トランスミッションはデュアロジックでなく、5速マニュアルを選んでおくのが無難です。
ただし、ツーリズモには5MTの設定がありません。
- 595:5MT/デュアロジック
- TURISMO:デュアロジック
- COMPETIZIONE:5MT/デュアロジック
5速MTを希望するなら、エントリーモデルの595ノーマルか、最上級モデルの595コンペティツィオーネどちらかを買うことになります。
3. インテリアの違い
ステアリングは3グレード共通でチルトステアリングが標準装備されており、テレスコピック機構はありません。
角度だけが変えられて、ステアリングを引いたり押したりする調整はできない、ということです。
インテリアでもっとも異なっているのは、シートです。
たとえばノーマル595の場合、ヘッドレスト一体型スポーツシートが装備されていて、ファブリック素材でできています。
595TURISMOは、ノーマルの595とおなじ形状のシートでありながら、素材はレザーへと格上げされています。
最上級のCOMPETIZIONEを選ぶと、Sabelt製のスポーツシートが標準装備となります。
一言でいって、めちゃくちゃ硬いシートです。
Sabelt製スポーツシートは、まるで公園のベンチのようにクッション性に乏しい代わりに、ホールド性は抜群です。
とはいえ、サーキット走行でもしない限り、ここまでのホールド性、ストイックさは必要ありません。
Sabelt製スポーツシートは「やりすぎ」で、ドライバーに体力を求めきますし、助手席の同乗者には、それ以上の体力と忍耐力を求めてきます。
なぜなら同乗者にアバルトを操る楽しみはなく、コンペティツィオーネはただシートが硬く、変速ショックが大きく、 人にジロジロ見られるだけのクルマだからです。
同乗者にとって、お世辞にも「快適」とはいえないでしょう。
ちなみに、ボボボボボボというエキゾースト音がもっとも大きいのは、コンペティツィオーネです。
スポーティさと快適さのバランスを取るなら、中間グレードであるツーリズモ(165馬力)を選ぶのが無難だといえます。
まとめ
ABARTH595についてお伝えしてきました。
大切なのは、アバルトに何を求めるのか、です。
アバルトのスタイリングに惚れ込んで買うなら、ノーマルの595でじゅうぶんでしょう。
コンパクトなボディに搭載された145馬力のエンジンは、そのへんの国産コンパクトカーを凌駕しており、力不足を感じるシーンはないはずです。
国産コンパクトカーは、たいてい100馬力前後しかありません。
レザーシートなど、アバルトに「高級感」をプラスしたい場合には、ツーリズモがおすすめです。
内装の質感が上がるだけでなく、エンジンの最高出力も165馬力へとアップし、一段と速くなります。
TURISMOはある意味で、最上級モデルだといって良いでしょう。
なぜなら、さらに上のCOMPETIZIONEは、とことん"走り"に振っているからです。
インテリアに限らず、足回りも含めてサーキット走行を楽しむならコンペティツィオーネがベストですが、一般道を運転するだけなら、コンペティツィオーネは過剰です。
イメージとしては、チェーンソーで玉ねぎを切るようなものだといえます。
玉ねぎを切るのにチェーンソーのパワーは過剰ですし、一般道を走るのにコンペティツィオーネのセッティングや演出は過剰です。
刺激のために快適さを犠牲にしているコンペティツィオーネを買った場合、長く付き合えるかどうかは微妙なところでしょう。
数年経って、過剰な演出に疲れ、手放したくなっても不思議ではありません。
それでもCOMPETIZIONEに興味があれば、
- ディーラーで試乗する
- ディーラーで展示車のシートに座る
などして、体感してみてください。
スパルタンで、ストイックで、獰猛で、日本車にはない割り切り、振り切りをコンペティツィオーネから感じることでしょう。
ちょうどアルファロメオ4Cのようなもので、イタリア車らしい「スパルタンなスポーツカー」だといえそうです。
以上、アバルト595はどのグレードを買うのがおすすめか、でした。
結論。刺激と快適さのバランスが良いのはTURISMO。ノーマルでも良いが、コンペティツィオーネはやりすぎている感がある。ただしTURISMOにはMTの設定がないので、マニュアルにこだわるならノーマルの595で決まり。サーキット走行も視野に入れているなら、コンペティツィオーネ。
アバルト595の動力性能に関して、当サイトにはこんな記事もあります。
もしこのクルマに不安要素があるとすれば、国産車でなく、外車(イタリア車)であることでしょう。
アバルト595の不具合やトラブル、修理費用、つまり"リアルな事情"について、当サイトにはこんな記事があります。
アバルト595を中古で買う際の注意点に関して、当サイトにはこんな記事があります。