この記事では「差出人不明のラブレターをもらった体験談」をご紹介します。
誰かにラブレターを送る際には、忘れずに自分の名前を書きましょう。
差出人不明のラブレターをもらった
これは私の実体験です。
中学1年生の4月にラブレターをもらいました。
ラブレターを渡してきたのは3年生の女子生徒でしたが、彼女が書いたものではありませんでした。
とある友人が書いたとのことです。
で、さっそく手紙を読んだわけですが、どこにも名前が書かれていません。
「これは誰が書いたものですか?」と先輩に訊きました。
「それは教えられない」といわれました。
どうしたらええねんと思いました。
渡してきた先輩説
この状況で怪しいのは、渡してきた先輩です。
いまのところ彼女以外の登場人物もいませんし。ですが、彼女が書いたラブレターでないことは明らかでした。
オラオラ系の先輩が書くにしては、手紙の文字はあまりに丸っこかったからです。
あんなに丸くて可愛い文字を、絶叫しながら太鼓を叩く目の前の先輩が書く可能性は限りなくゼロに近い。そう判断しました。
できればストライクゾーンから大きく外れたこの先輩が書いたものであって欲しくない、という願望もありましたが。
ラブレターの内容
もう捨ててしまいましたが、ラブレターの内容は概ね以下のようなものでした。
「新入生代表で挨拶をするあなたの姿に一目惚れしました。できれば付き合いたいです。返事を聞かせてください」
返事は、仲介している先輩に伝えればいいようでした。
なんというか、斬新なシステムです。正体を明かさずに告白され、どうやって交際可否の判断をすればいいのでしょう。
筆跡と文章力だけで交際可否を決めなければならないのでしょうか。
だとしたら、ずいぶん平安時代です。
見当はついていた
とはいえ私も新入生代表の挨拶を任されるような男ですから、そこまでバカではありません。
差出人についてあらかた見当はついていました。
仲介役の先輩といつも行動をともにしている3年生のAさんです。
Aさんは色白で、ショートカットで、髪は少しだけ茶色がかった色をしていて、胸が大きい。そんな女子でした。
たぶん丸っこい字を書きます。
こう書くと魅力的に思えますが、私にとっては怖い存在でした。彼女はあまりにオトナで近寄りがたいのです。
彼女と私が並んで歩くところなど想像もできません。
なぜって、彼女は財布のなかにお守りとしてアレを入れていて、中学1年生の私はアレを見たこともなく、お守りという完全にまちがった用途でアレを使用しているAさんが怖かったのです。
生きている世界がちがうと思いました。
まるで私が軽自動車で楽しく走っているところへランボルギーニに乗った人が現れて、2台で連なって峠をドライブしないかと誘われたみたいです。
お断りするほかありません。
差出人は不明のまま
色白で胸の大きなAさんが書いたものかどうかわからぬまま、そう仮定し、仲介役の先輩に「ごめんなさいと伝えてください」と依頼しました。
「あーあ、かわいそう!ヒドいね!」と私を罵倒し、去って行く先輩。
私は誰にたいしてヒドいことをしてしまったのかわからぬまま、ただただ呆然としました。
冷静さを取り戻してから、いや名前書けよと思いました。
ラブレターには名前を書くべし
署名のないラブレターにはなんの効力もありません。
もらった人間は返事のしようがありませんし、とりあえず困惑します。
ラブレターを書く際にはかならず名前も記しましょう。
もちろん、直接渡すのなら、名前は不要だと思いますが。
……直接渡すなら。
いや、まさか。
以上、差出人不明のラブレターをもらった話でした。