『富裕層のバレない脱税 「タックスヘイブン」から「脱税支援業者」まで』の要約と感想

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脱税の手口について学べる本です。

とはいえ、脱税の手引書などではありません。

 

むしろその逆で、「国税局は手口を把握しているから、脱税などやめておきなさい」と読者を諭すような内容だといえます。

 

この記事では、佐藤弘幸著『富裕層のバレない脱税 「タックスヘイブン」から「脱税支援業者」まで』の要約と感想をご紹介します。

ぜひ参考にしてみてください。

 

 

『富裕層のバレない脱税 「タックスヘイブン」から「脱税支援業者」まで』の要約と感想

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まずは本書の要約から。

 

著者はかつて東京国税局課税部資料調査課(通称リョウチョウ)に所属していた経歴を持つ。

ターゲットはおもに大口、悪質、宗教、政治家、国際取引、富裕層など、調査するのが困難な案件ばかりである。

いずれもマルサ(国税局調査部)が手出しできない案件であり、リョウチョウは税務調査の最後の砦といえる。

 

人はなぜ脱税に手を染めるのか、どのような脱税の手口が存在するのか、中小企業に税金逃れが多いワケ、富裕層による複雑な租税回避術など、「脱税」について広く解説する。

 

以上がおもな内容です。

脱税の実態について知りたい方に本書はおすすめです。 

 

現金商売に脱税が多いのはなぜ?

タイトルは「富裕層のバレない脱税」となっていますが、本書ではまず、中小企業や現金商売をしている店の脱税について解説してあります。

なぜなら、富裕層の脱税手法がものすごく複雑で難解だからです。

 

いきなり難しい富裕層の脱税に触れるのではなく、「脱税の古典的手法」ともいえるやり方から解説してくれているため、脱税がどんなものなのかを私たちはイチから学べます。

 

脱税している割合が多いのは、「現金商売」をしている店や個人だといいます。

現金商売であればどこにも記録が残らないため、その実態を国税局が補足するのは困難だからです。 

 

とりわけ不正割合が多いのは、バーやクラブだと本書には書かれていました。

いっぽうで申告漏れ所得金額(割合ではなきく金額)が多いのは、キャバレーや風俗だといいます。

たしかに怪しい。

 

脱税の具体的な手法と国税局の対応については、いずれも「なるほど賢いなぁ」といった感じです。

そもそも脱税というのは、知恵がなければできません。

 

いわば、賢い者同士の頭脳戦です。 

裏をかこうとする業者と、証拠を押さえようとする国税局、その攻防を本書では垣間見ることができます。 

 

 

富裕層の脱税について

税務調査では、低所得者よりも高所得者を調査したほうが効率的だといいます。

なぜなら、追徴所得を発見した場合、高所得者のほうが多額の追徴が見込めるからです。

徴税コストの観点で効率が良い。

 

くわえて、一般人の脱税にくらべ、富裕層の脱税は額が大きいため、見逃してしまうと国にとって甚大な損失となります。

 

いっぽうで、所得の半分近くを持っていかれる富裕層は、その税率に納得がいかないのでしょう。

日本では所得税45%に住民税10%を足して、個人の最高税率は55%に及びます。 

累進課税制度をとっている日本でこの最高税率が適用されるのは、たくさん稼いでいる一部のお金持ちだけです。

たくさん納税しているのにポンコツ軽自動車に煽られたら、さぞ腹が立つだろう。

 

富裕層による脱税が複雑な理由として、海外にまで及んでいることが挙げられていました。

たとえば富裕層は、外国の生命保険を利用して脱税するのだといいます。

 

税制度や執行について勉強しなければならず、海外を使った脱税には相当な労力がかかります。

著者はこの現状について、富裕層は「大人の知的ゲーム」を楽しんでいるように思う、と述べています。

まるで頭脳や富など「持てる者」だけが楽しめるゲームのようだ、ということです。

 

(会社に徴税されている)一般会社員や、庶民には関係のない話だといえるでしょう。

ただ「国税庁ガンバって。富裕層の脱税を見抜いて」と応援するのみです。 

 

まとめ

脱税について幅広く学べる本でした。

単純な脱税からはじまって、どんどん複雑な手口へと説明が進んでいきます。

 

どこまで話について行けれるかは、あなた次第です。

あなたが経営者や個人事業主などの立場であれば、日頃から税について考えているはずなので、おおよそ理解できるでしょう。

ただし、富裕層やグローバル企業の脱税スキームは複雑で難解です。

 

一般的な会社員は、そもそも「自分の納税額」を把握していないことがほとんどではないでしょうか。

なぜなら会社員には、脱税するチャンスがほぼ存在しないからです。

副業でもしていない限り。

 

結果として会社員は税について無頓着であることが多く、この手の話にはあまり興味がなかったり、関係がなかったりすることでしょう。

会社員の方が本書を読む場合には、「知的好奇心を満たす」以上の効果は得られそうにありません。

経営者や個人事業主にとって本書は、脱税の抑止力として働く可能性あり。フリーランスを目指す会社員も知っておいて損はない。悪事に手を染めないためにも。

 

以上、佐藤弘幸著『富裕層のバレない脱税 「タックスヘイブン」から「脱税支援業者」まで』の要約と感想でした。

結論。脱税の実態を学べる本。逃げる者、追いかける者それぞれの工夫や努力を知ることができる。脱税に精を出すくらいなら、本業を頑張るべし。

 

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脱税は悪ですが、節税は合法です。 

そして「税金を合法的に納めないこと」でお金持ちになる方法を説いているのが、橘氏による上の本です。