数学の考え方を使うことで物事の理解が進むシーンは、日常に多々あるといいます。
文系のために「数学的思考法」を説いている本です。
この記事では、齋藤孝著『数学的思考ができる人に世界はこう見えている ガチ文系のための「読む数学」』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『数学的思考ができる人に世界はこう見えている ガチ文系のための「読む数学」』の要約と感想
まずは本書の要約から。
「文系だから」といって数学を毛嫌いするのはもったいない。
なぜなら数学の考え方は、身の回りにある問題の理解を深め、解決する手助けになるからだ。
したがって本書では、数学の問題を解く方法ではなく、数学の考え方を用いて「世の中を見る目を養う」ことに重点を置いている。
微分、関数、座標、確率、集合といった概念を使えば、物事をいっそう理解できるようになるはずだ。
以上がおもな内容です。
ガチ文系の方に本書はおすすめです。
微分は日常でどう使えるのか
高校数学で多くの生徒を苦しめているのが、微分積分です。
ところで、そもそも微分とは何をやっているのでしょうか。
微分の本質とは、「ある瞬間の変化率だ」と著者はいいます。
ある瞬間における変化の勢いを知れるのが微分だ、ということです。
そこで著者は、微分的思考を使ったさまざまな物事の見極め方を紹介していました。
- 物価
- 株価
- 学業成績
- スポーツの上達度
など、私たちの身の回りでは常にさまざまな変化が起こっています。
もし、ある銘柄の株価がずっと上昇し続けているとしても、「いまこの瞬間」の勢いがなければ、株価の伸びは失速しているといえます。
株を保有しているならそろそろ売り時かもしれませんし、買おうかどうか悩んでいるなら、やめておいたほうが良いかもしれません。
上昇率が鈍化しているため、いずれ株価が頭打ちとなり、下落に転じる恐れがあるからです。
このように、日常で微分的思考をどのように使うのかが本書には書かれていました。
微分のやり方をすっかり忘れていても問題ありません。
微分的思考を説明しているだけで、実際に微分を使って問題を解く方法には著者が触れていないからです。
齋藤孝の生クリーム理論
ところであなたには、夢や目標がありますか?
仮にあなたが、ブログ収入で生計を立てようと努力しているとします。
ですが、どれだけ記事を書いてもブログのアクセス数は増えず、収入に結びつきません。
たいていの初心者ブロガーはこの「変化のなさ」に耐えられず、1〜6ヶ月でブログを辞めていきます。
ここで励みになるのが、齋藤氏が本書で提唱している「生クリーム理論」です。
液体の生クリームはどれだけ泡立てても変化しませんが、途中でいきなり個体っぽくなります。
変化が突然やってくるのです。
ブログの例でいえば、6ヶ月ずっと記事を更新しても手応えがなかったのに、7ヶ月目にいきなりブログのアクセス数が伸び始めるようなものです。
いったん安定したアクセス数を稼ぎ出してしまえば、その後は楽々です。
飛行機が離陸の際にもっとも大きなエネルギーを必要とするのとおなじ。 離陸するまでが大変。
したがって著者は「最初にエネルギーを使って思いきり加速すること」を勧めていました。
数学と関係ないように思うかもしれませんが、この生クリーム理論は、先ほどの微分的思考に関連したテーマです。
数学的思考を用いれば、苦労している現状を客観的に分析できるかもしれません。
まとめ
数学を避けてきた文系の人に本書はおすすめです。
本書に数字は出てきません。
微分積分や確率、関数、座標を忘れていても難なく読めます。
数学的思考が役立つのは、「物事を理性的に考えることができるからだ」と著者はいいます。
数学の世界には、感情の入る余地がどこにもないのです。
また、声や態度の大きさで答えが変わることもありません。
おなじ文系人間に差をつけるには、数学的思考をマスターすることです。
ぜひあなたも「読む数学」を体験してみてはいかがでしょう。
以上、齋藤孝著『数学的思考ができる人に世界はこう見えている ガチ文系のための「読む数学」』の要約と感想でした。
結論。数学的思考は役立つ。日常で使わないのはもったいない。数学的思考をわかりやすく説いているのが本書。読まないと損。
齋藤氏の本はこちらもおすすめです。