飲食店の裏側でどんなことが行われているのか、消費者は知っておくべきだといいます。
というのも食事は、私たちの健康に直結するものだからです。
この記事では、南清貴著『じつは怖い外食 サラリーマンランチ・ファミリー外食に潜む25の危険』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『じつは怖い外食 サラリーマンランチ・ファミリー外食に潜む25の危険』の要約と感想
まずは本書の要約から。
食べ物を価格だけで選んではいないだろうか。
食べ物は安ければ良い、というほど単純な話ではない。
なぜなら安い食品の裏側には、それなりのワケがあるからだ。
粗悪な米、使い古した油、業務用生クリーム、朝食バイキング、霜降り肉など、飲食業界の知られざる実態を明らかにする。
以上がおもな内容です。
端的にいえば、「読むと外食をする気が失せる本」です。
健康のために自分で材料を買ってきて、自炊したくなるに違いありません。
飲食業界の闇を暴露
本書に書かれているのは、飲食業界の闇です。
つまり料理を安く提供するために、一部の飲食店は粗悪な材料を使って調理している、ということです。
残念ながら、レストランで提供されている料理の「原材料」をわれわれ消費者が知ることはできません。
- 食材の産地
- 添加物の有無
- 有機栽培か否か
など、スーパーで食材を選ぶ際に気にする要素も、外食時にはほとんど気にしていないのではないでしょうか。
スーパーでは中国産を避けていても、外食時には中国産の食材を口にしているかも。
たとえば、外食産業では中国産の粗悪な米が多く使われている、と著者はいいます。
なぜなら、中国産の米は国産にくらべて安いからです。
また、外食店で提供される米には、プロピレングリコールという成分(石油精製によって作られる化学薬品が主体のもの)が加えられているのだそうです。
古くて脆くなった米を精製するときに、
- 割れるのを防ぐ
- 酸化した臭いを消す
- 甘みをつけてごまかす
- 新米のような光沢を出す
などの効果が期待できるからです。
ただしこのプロピレングリコールは「液体プラスチック」であり、とても口にすべき代物ではないといいます。
液体プラスチックでコーティングされた米を食べている、ということ。
このような調子で、外食残業のネガティブな側面をまとめてあるのが本書です。
悪影響やデメリットが不明
本書が良くないのは、挙げている成分のデメリットを示していない点だといえるでしょう。
たとえば先述のプロピレングリコールについて、古くなった米をコーティングして新米のように見せかけられるのは良いとして、「摂取したらどうなるのか」が書かれていません。
つまり、私たちが受ける悪影響がよくわからないのです。
他にも本書には、われわれが食べている肉の半数以上は病気の動物の肉だ、と書かれていました。
殺虫剤や殺菌剤をまき、大量の抗生物質をエサに混ぜ、ウシやブタなどに食べさせているのだといいます。
これもまた、それらの肉を食べたらどんなリスクがあるのかについて、書かれていません。
ただ、市販の肉は殺虫剤や殺菌剤、抗生物質まみれだよ、と著者は警告しているだけです。
ところどころにこうした中途半端な記述が見られ、「だからなに?」と著者に問いたくなります。
本にするのであれば、せめて成分が与える健康被害(リスク)を明らかにするべきではないでしょうか。
文章が論理的でなく感情的である、といわざるをえません。
まとめ
「著者自身も悪影響についてよくわかっていないのではないか」
そう指摘したくなる本です。
いくつも挙げている「悪い成分」について、具体的な悪影響がほとんど書かれていません。
たとえばがんや循環器疾患のリスクを高める、など。
また、野菜ジュースに入っているビタミンCは変色防止のために加えられている食品添加物(つまり人工物)であり、天然のものとはまったく違うのだといいます。
だから、「酸化防止剤のビタミンCはありがたいものでもなんでもない」と著者は述べていました。
天然のビタミンCと人工的なビタミンC、両者はいったいなにが違うのでしょうか。
人工的なビタミンCに美肌効果は望めないのでしょうか。
このように、当然湧くであろう読者の疑問を、著者は解消していません。
「じつは怖い外食」と謳っておきながら、どう怖いのかが本書を読んでもわからない、ということです。
- だからなんなの?
- それがどう体に悪いの?
といったモヤモヤばかりが残る、後味の悪い本です。
ゆえに本書を読むのはおすすめしません。
以上、南清貴著『じつは怖い外食 サラリーマンランチ・ファミリー外食に潜む25の危険』の要約と感想でした。
結論。著者は外食産業にビビっているようだが、なにがどう怖いのか、読者にはイマイチ伝わってこない本。説明不足ないし調査不足。
ご自身の食事を見直すなら、医師によるこちらの本がおすすめです。