あなたはホラー映画が好きですか?
それとも、ホラー映画は苦手ですか?
ホラー映画が苦手な人はたいてい「いきなりお化けが出てきてビックリするから見たくない」といった理由を述べます。
劇場のスクリーンやテレビの画面にいきなりドン!と幽霊の顔が映ったら、誰だって驚くのは当然です。
ところで、こうした「いきなりお化け」という演出は、ホラーなのでしょうか。
ホラー映画のほとんどは、実際のところホラー映画ではなく、ただのサプライズ映画、びっくり映画なのではないでしょうか。
この記事では、
- びっくりは生理的反応
- 本物のホラーはコレ
など、「ホラー映画でびっくりさせるのが卑怯なワケ」をわかりやすく解説します。
ぜひ参考にしてみてください。
ホラー映画でびっくりさせるのは卑怯だ
ホラー映画といえば、幽霊やお化けがドン!といきなり飛び出してくるシーンがつきものです。
ただ、よく考えてみてください。
画面に幽霊が映ったときの反応は、「怖い」ではなく「びっくり」ではないでしょうか。
お化けに怖がっているのではなく、大きな音と画面の切り替わりに、私たちはただ驚いているだけなのです。
目の前でパン!と両手を合わせられたら、誰だって驚いて目を閉じます。
ホラー映画の「幽霊ドン!」ってな演出も、このネコ騙しとおなじです。
びっくりというのは反射であって、つまり人間にそなわっている生理的反応であって、意思の力でどうにかできるものではありません。
たいていのホラー映画は観客を怖がらせているのではなく、ただびっくりさせているだけの、卑怯な商売です。
ホラー映画はホラーではない
多くのホラー映画は「びっくり」を濫用しているだけで、観客に本当の「恐怖」を与えているわけではありません。
たとえば、あなたは映画館にいるとします。
真っ白なスクリーンに、サイコロがひとつ映っているところを想像してください。
画面はどんどんズームになり、サイコロが大きく映し出されていきます。
BGMや音はいっさい聞こえてきません。
いったいなんの映像なのか、なにを見せられているのか、あなたは理解できていません。
サイコロはどんどんズームになり、次の瞬間、大きな音とともにサイコロは爆発します。
スクリーンを見ていたあなたは、驚くに違いありません。
これは理屈どうこうの話ではなく、反射、生理的反応です。
では、サイコロが爆発した映像は「ホラー」なのでしょうか。
答えはノーです。
サイコロが爆発するだけの動画は、けっしてホラーなどではありません。
ただのサプライズ映像、ドッキリ映像、びっくり映像です。
そしてたいていのホラー映画は、このサイコロを、グロテスクな幽霊やお化けに置き換えただけに過ぎません。
- 幽霊のどアップ
- ドアの後ろに幽霊
- 振り返ったら幽霊
- 暗闇でいきなりデカい物音
こんなもの、観客はびっくりするに決まっています。
心臓に悪いただのびっくり映画を「ホラー映画」と称するのは、いかがなものでしょうか。
本物のホラーとは?
本物のホラー映画は、けっして派手な演出やデカい音、幽霊のどアップ映像で観客を驚かせたりはしません。
なぜならこのような手法では、観客をびっくりさせることはできても、怖がらせることはできないからです。
映画館のスクリーンに自分の顔がどアップで映っても、びっくりする。
私たち人間がもっとも恐怖を感じるのは、「人間がおかしくなること」だとされています。
知人がいきなり無表情になり、どこかへ向かって歩いていく。
こういうシーンや不可解な出来事にこそ、私たちは怯え、恐怖するのです。
つまり本物のホラー映画とは、演出ではなくストーリーや展開で人々を怖がらせる作品のことだといえます。
- いきなり幽霊のどアップ
- いきなりデカい音
などを濫用するケチなホラー映画は、ホラー映画ではありません。
びっくり映画、あるいはサプライズ映画と呼び、カテゴリーを区別すべきです。
まとめ
本物のホラーとは、派手な演出ではなく、ストーリーや展開で怖がらせるものだとお伝えしました。
つまり、ホラーは、映像作品でなくとも成り立ちます。
たとえばホラー小説です。
ホラー小説には、お化けのどアップシーンもなければ、女の叫び声も、気持ち悪いうめき声もありません。
文章だけで私たち読者を怖がらせます。
これこそが、本物のホラーではないでしょうか。
「百聞は一見に如かず」という言葉があるように、考えるより、実際に体験したほうがすんなり理解できるはずです。
ぜひ江戸川乱歩の『人間椅子』を読み、本物のホラーを味わってみてください。
『人間椅子』は、不気味さと恐怖が詰まった短編小説です。
ケチなホラー映画を見るよりも、よほど本質的なホラーを味わうことができるでしょう。
以上、ホラー映画でびっくりさせるのが卑怯なワケでした。
結論。江戸川乱歩の『人間椅子』を読もう。エセホラー映画(ただのびっくり映画)なんてクソ食らえだ。恐怖を生み出すのはプロの技だが、客を驚かせるのは誰にでもできる。
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