映画作品のなかには、ゴア・ムービー、スプラッター・ムービーと呼ばれる類のものがあります。
いずれも、残虐描写が多いグロテスクな映画のことを指します。
では、グロテスクとゴア、スプラッターにそれぞれ意味の違いはあるのでしょうか。
それとも、
- 馬鈴薯(ばれいしょ)
- にどいも
- お助けいも
これら3つの単語がすべて「ジャガイモ」のことを指すように、グロ、ゴア、スプラッターもすべておなじ内容や描写を指しているのでしょうか。
この記事では、
- ゴアの意味
- スプラッターの意味
など、「映画におけるグロテスクとゴア、スプラッターの違い」をわかりやすく解説します。
ぜひ参考にしてみてください。
映画におけるグロテスクとゴア、スプラッターの違い
グロテスク、ゴア、スプラッターはいずれも英語で、それぞれ意味やニュアンスが異なっています。
まずは単語の意味から確認していきましょう。
グロテスクの意味
グロテクス(grotesque)は、
- 怪奇
- 異様
といった意味を持つ英単語です。
美とはかけ離れており、長く見ているのが嫌な様を指します。
ですのでグロテスクは、殺人や暴力など、残虐描写だけを表すわけではありません。
たとえば、見た目が奇怪な深海魚にたいして「グロテスクだ」と使うこともあります。
ムカデの腹側を見ても「グロテスクだ」と感じることでしょう。
このように、グロテスク(グロ)がかならずしも「残酷な殺人シーン」だけを意味するわけではないため、グロテスク映画という表現はありません。
グロテスクの代わりに使うのが「ゴア」という英単語です。
ゴアの意味
ゴア(gore)は、
- 血
- 殺人
- 暴力
などを意味する英単語です。
「グロテスク」よりもストレートな表現だといえます。
ですので、
- 腕を切断される
- 足を切断される
- 舌を引っこ抜かれる
- 目玉をくり抜かれる
- 指をハンマーで潰される
- 内臓を引っ張り出される
- 口を他人の肛門に縫合される
といった残虐描写が多くある場合、その映画のことをゴア・ムービー、もしくはゴア映画などと呼ぶことがあります。
すなわち、「ゴア映画=暴力的な表現に重点を置いた映画」です。
ただし「ゴア映画」はやや古い表現で、現在はほとんど使われていません。
というのも、ゴア(gore)という言い回しが、ストレートかつ露骨だからです。
たとえるなら、トイレへ行くときに「おしっこしてくるね」と伝えるようなものです。
お世辞にも"品がある表現"とはいえないでしょう。
率直にいって、下品です。
たいていの人が「お手洗いに行ってくる」と遠回しに表現するのとおなじで、ゴア映画もまた、露骨ではない"スプラッター映画"(俗語)などと呼ばれるようになりました。
1980年代以降に定着したのが、スプラッター映画という呼び方です。
1970年代までは、残虐シーンが多い映画のことを、
- ゴア映画
- ゴア・ムービー
- ゴア・フィルム
などと呼んでいました。
スプラッターの意味
スプラッター(splatter)は、水などがバチャバチャ跳ねる音、を意味する英単語です。
じつはスプラッターという言葉そのものに、殺人や残虐さといったニュアンスはありません。
たとえば、スプラッシュは「水などを飛ばす」ことを指す言葉で、東京ディズニーランドには「スプラッシュマウンテン」という名前のアトラクションが存在しています。
ちなみにスプラッシュマウンテンは、ラストで落下してバシャーンと水飛沫が上がるアトラクションです。
乗員の体から血飛沫が上がるホラーアトラクションではありません。
Nintendoの『スプラトゥーン』というインクを塗り合うゲームも、インクをバシャバシャを塗る様子から「スプラ」という言葉をタイトルに用いています。
ただし、(平和な)スプラッターにムービーがくっついた「スプラッター・ムービー」は俗語で、 血がバチャバチャ飛び散るような残虐シーンの多い映画を指します。
体の一部を切られたりして血飛沫がプシューと飛び散る様から、 婉曲的な表現として「スプラッター・ムービー」が用いられるようになりました。
そのままストレートに、
- 血
- 殺人
- 暴力
などを意味するゴア(gore)よりも、スプラッターのほうが、言葉に激しさがありません。
ゴア映画とスプラッター映画が指すものはおなじで、スプラッター映画のほうが言い方に品がある、ということです。
ちょうど、自殺(字面が激しい)の代わりに「自死」と表現するようなイメージです。
まとめ
映画におけるグロテスクとゴア、スプラッターの違いをお伝えしてきました。
残虐シーンが多い映画のことは、結局のところ、スプラッター映画と呼ぶのが正解です。
「ゴア映画」は表現が露骨(直訳で、血みどろ殺人映画)なので、現在は使われていません。
世の中の誰も「うんちしてくる」とはいわないようなものです。
いっぽうでグロテスク(grotesque)は、
- 怪奇
- 異様
といった意味の英単語で、血や殺人、暴力などの意味合いは含んでいません。
たとえば、深海魚の容姿は私たちにとってグロテスクです。
とすると、深海魚の生態に迫ったドキュメンタリー映画まで"グロ映画"になってしまいます。
がしかし、これは私たちが想像する「グロ映画」と一致しません。
目を背けたくなるような「残虐なグロい映画」にはスプラッター映画というぴったりな名称がありますので、今後はこの「スプラッター映画」という呼び方を使いましょう。
ちなみにスプラッター映画は、
- ホラー(恐怖を与える映画全般)
- サスペンス(緊張感や不安感を与える映画)
どちらかのジャンルに分類されることがほとんどです。
レンタルショップや動画配信サイトで作品を探す際には、上のジャンルを当たってみてください。
以上、映画におけるグロテスクとゴア、スプラッターの違いでした。
結論。ゴア映画はもっともストレートだが、過去の表現。スプラッター映画が婉曲的で、現在の主流。グロテスクは「異様なもの、奇怪なもの」を指す幅広い言葉であって、血や殺人などを意味するわけではない。スプラッター映画は、ホラーやサスペンスのジャンルで探そう。
国内最多の作品数を誇るU-NEXTの31日間無料トライアルはこちらです。
U-NEXTでは、
- 映画
- ドラマ
- アニメ
などの映像作品をお楽しみいただけます。
なお、トライアル中はいつでも無料で解約できます。
ネット通販サイトAmazonでは、『ムカデ人間』全シリーズを収録したBlu-rayが高く評価されています。
『ムカデ人間』は、ある男が自己実現のために取った極端な行動と、そこから生まれる残酷な現実を描いた衝撃のサイコスリラーです。
邦画が好きな方には、実話ベースのショッキングな作品『冷たい熱帯魚』がおすすめです。
ただしR18に指定されているため、18歳未満の方は鑑賞をご遠慮ください。
グロテスクな映画を好む心理について、当サイトにはこんな記事があります。
スプラッター映画の楽しみ方に関して、当サイトにはこんな記事があります。
おすすめのグロ漫画について、当サイトにはこんな記事があります。
さまざまな死因に関して、当サイトにはこんな記事があります。
圧死、轢死、転落死……どれも嫌ですね。
サイコパスとシリアルキラーの違いについて、当サイトにはこんな記事があります。