小説なのか、それともノンフィクションなのか。
この記事では羽田圭介著『成功者K』を読んだ感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
なお、ネタバレはいっさいありません。
羽田圭介著『成功者K』の感想
限りなく羽田圭介に近い主人公・Kにまつわる物語です。
圭介の頭文字もKですし、「 自伝ですか?」といいたくなるほど本人の経験に基づいた内容が多いのが特徴ですね。
成功者Kも(羽田圭介同様に)芥川賞を受賞した設定になっています。
だからこそ、「え、これも実際にあった話なの?」と興味を惹かれてしまうという、なんとも不思議な作品でした。
密着取材でテレビ放送されてしまった請求書に関して、作中で成功者Kが不満を述べています。
同様の密着取材は羽田圭介自身もされており、やはり(彼が作成した)請求書の金額を公開されてしまっていました。
どこまでも真実に近いのだとは思いますが、 すべてが羽田圭介の実体験だとしたら、もはやフィクションではなくなってしまいます。
羽田圭介ファンにはたまらない
羽田圭介節とでもいうのか、最初から最後までいかにも羽田圭介っぽい内容でした。
彼のことを知っていれば知っているほど楽しめる作品です。
テレビ出演をしたり、自身のユーチューブチャンネルを開設したりもしているので、そういったところで羽田圭介を何回か見たことがあれば、本作はきっとよりいっそう面白く感じられるはずです。
そうした意味で、『成功者K』は羽田圭介ファンに向けた作品であるといえます。
もし自身の話だとしたら、自らを「成功者」と読んでしまうあたり、なかなかのものだと思いますが。
成功者の生き様
本作をとおして成功者の生活を垣間見ることができます。
『成功者K』を読んだほとんどの男性が「いいなぁ」と感じることでしょう。
それくらい、主人公である成功者Kは刺激に満ちた毎日を送っています。
どこまでが本当なのかわかりませんが、おなじ男としては、「フィクションであってくれ頼む」と願わずにはいられませんでした。
なんというか、成功者Kはそれくらい羨ましい日々を過ごしているので。
女性はあまり好きでない?
『成功者K』は男の欲望むき出し!といった感じのストーリーです。
そのため、女性読者のなかにはあまり楽しめない方もいるかもしれません。
人によっては「品がない」と感じるかも。
面白かった小説は妻にも読むよう推奨しまくる性格の私も、『成功者K』に関しては妻におすすめしませんでした。
「男ってこんなもんなのね」と思われたらマズい、そんな危機管理能力を発揮した結果です。
おそらく判断は正しかったかと。
ラストはイマイチ
基本的には楽しめたものの、『成功者K』の終わり方はイマイチでした。
ネタバレにならないよう詳しい説明は避けますが(避けると難しい)、「なんだかなぁ」という感じ。
この小説の面白さは「フィクションなのかノンフィクションなのか」を読者が想像しながら読むことにあると思うのですが、ラスト数十ページはそれをさせてくれません。
「どっちなんだ?」と考えながら読み進めるのが面白かったのに。
そうした意味において「なんだかなぁ」なラストでした。
まとめ
『成功者K』は羽田圭介のファンに向けた作品です。
彼のことを知っていれば知っているほど本作は楽しめます。
"知っている"といっても他の作品をたくさん読んでいる必要はなく、羽田圭介がどんな人物かを知っていればいいのです。
ですから、彼が出演したテレビ番組の映像を見たことがあったり、あるいは彼のユーチューブチャンネルを視聴したことがあれば(これからいくつか見るだけでも)、『成功者K』の面白さはグッと増すでしょう。
とてもユニークな作品です。彼のファンであれば読んで損はありません。きっと楽しめます。
私はかなり楽しめました。
以上、羽田圭介著『成功者K』を読んだ感想でした。