この記事では元NHKアナウンサー・小川宏著『"うつ"になる人ならない人 ダジャレとユーモアで乗り切ろう』を読んだ感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『"うつ"になる人ならない人 ダジャレとユーモアで乗り切ろう』の感想
タイトルから想像すれば、本書には「うつになる人とならない人の違い」が書いてあるように思えますよね。
でも、ちがいます。
本書はほとんど「著者のうつ病体験記」とでもいうべき内容でした。
一般的にうつになりやすい人はこうで……ではなく、私は……という話がメインです。
加えて、タイトルには「ダジャレとユーモアで乗り切ろう」とありますが、読んでみると、サラッと触れている程度でした。
著者のうつ病体験談がダメというわけではありません。
ただ、タイトルと内容のズレを感じたということです。
「うつ病にならない方法」は参考程度に
うつ病に、「これさえすれば大丈夫」という予防法はありません。
うつ病は誰もがなりうる病気です(遺伝的要素もあるとされています)。
そのため、著者が述べている「うつにならない方法」については、参考程度に留めておくべきだと思いました。
というよりも、ほとんど参考にすらならなかったというのが正直なところです。
たとえば、うつにならないために「好奇心を持ち続けたい!」と書いてあります。
が、どうやれば好奇心を持ち続けられるかが述べられていませんし、「好奇心を持ち続けたい!」では、ただの決意表明です。
読者としては「あぁ、そうですか」といったところ。
最終章ではいくつかの「うつにならない方法」が紹介されていたものの、こちらもほとんどが決意表明であり、参考にはなりませんでした。
メインは著者のうつ病体験記
著者のうつ病体験記こそが本書の真価だと感じました。
小川氏はうつ病を患い、自殺未遂をしたといいます。
鉄道自殺を考えて遺書を書き残し、朝5時過ぎに踏切へ。
寸前のところでなんとか思いとどまり、そのまま強制入院となりました。
うつ病になった経緯や、経済的不安を払拭するためにギャンブルに手を出したことなど、事細かに書かれていました。
うつ病患者が出ると家族も巻き込まれるケースが多いそうで、著者の奥様もうつ病になってしまったといいます。
自身だけでなく、家族も巻き込んでしまうのはツラいものです。
まとめ
本書は、著者のうつ病体験記にこそ価値があるかと思います。
自身のうつ病について講演会で話していたそうですが、小川氏は2016年11月に他界しているため本人の話を直に聞くことはできません。
残っているのはこうした文章などの記録だけです。
うつ病患者の自殺を防ぐために
それから、うつ病患者への家族の接し方。
これがとても参考になると思いました。
本書では「うつ病患者の自殺を防ぐためのポイント」が紹介されています。
- 「生きていく自信がない」という発言
- 大量のアルコールを摂取
- 包丁や紐を探す
- 大切にしていたものを人にあげる
- 他人に貸していたお金の返済を求める
など、うつ病患者のこうした行動には注意が必要だといいます。
愛する配偶者や家族を失わないためにも、ぜひ頭に入れておきたい知識ですね。
以上、小川宏著『"うつ"になる人ならない人 ダジャレとユーモアで乗り切ろう』を読んだ感想でした。
タイトルから想像した内容ではありませんでしたが、参考になりました。