クルマ好きにとって、自動車の馬力は大きければ大きいほど嬉しいものですよね。
64馬力の軽自動車。
100馬力のコンパクトカー。
200馬力のセダン。
300馬力のスポーツカー。
600馬力のスーパーカー、というように。
がしかし、実際にハイパワー車を運転してみると、ハイパワー車なりの苦悩があることに気づかされます。
この記事では、「350馬力のポルシェ911を運転してわかった苦悩」をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
350馬力のポルシェに乗ってわかったハイパワー車の苦悩
ハイパワー車に乗っていて感じるのは、ストレスです。
目の錯覚ではありません。
運転しているとストレスを感じます。
というのも、公道ではパワーを持て余すからです。
ポルシェ911は350馬力を有していますが、350馬力の底力を発揮できるチャンスなどありません。
信号が青に変わってフル加速したら、一瞬で制限速度の60km/時に到達してしまいます。
高速道路を走らせても、350馬力は持て余します。
ポルシェは100km/時を超えてから運転が気持ち良くなってきますが、それ以上スピードを出してしまうと、覆面パトカーやオービスの御用になります。
350馬力は宝の持ち腐れなのです。
スピードを出さないようにする努力
かつて日産のGT-Rで一般道を爆走し、警察に逮捕された男がいました。
彼は時速280kmで公道を走ったそうです。
曰く「速い車に乗ったらスピードを出したくなる」とのこと。
彼の気持ちがわからないわけでもありません。
ハイパワー車のアクセルを踏めば、気持ち良く加速していきます。
ポルシェを運転した際、「もっと速度を上げたい」という気持ちを抑えるのが大変でした。
日産GT-Rは500馬力以上を誇るモンスターマシンです。
ポルシェ以上の自制心が求められる状況で、彼の自制心はあっけなく敗れてしまったようです。
スピードを出せないストレス
64馬力の軽自動車にとって、時速50kmは心地よいスピードです。
軽自動車の性能と速度が釣り合っていて、ストレスを感じません。
時速50kmの状況下では「もっと飛ばしたい」という欲求も湧いてきません。
が、ハイパワー車では話が変わってきます。
「遅いなぁ。スピード上げようぜ」ってなもんです。
前を走るクルマにイライラします。
なぜなら300馬力以上の車にとって、時速50kmなどクリープ現象の範疇みたいなものだから。
ドローンを室内でしか飛ばせないようなものです。
ドローンを買ったら大空に飛ばしたくなるように、ハイパワー車を買ったらハイスピードでかっ飛ばしたくなります。
とはいえ、実際にそんなことをしたら免許が何枚あっても足りません。
だから自制心で抑えなければならない。
ドローンを買ったのに、室内で我慢しなければならない。
「だったらドローンなんか買うんじゃなかった」
ハイパワー車を買うと、そんな気持ちになる可能性があります。
ストレスを溜めない2つの対策
- サーキットを走らせる
- 1200ccくらいのコンパクトカーに乗る
公道で溜まったストレスを発散するには、自慢のスポーツカーをサーキットに持ち込んで走らせる手があります。
合法的に時速200kmでぶっ飛ばせます。
あるいは、パワーのない自動車に乗るのもいいでしょう。
「もっと速度を上げたい」という欲求を自制心で抑える必要がなくなり、気持ち良く運転できます。
スピード狂の自覚があれば、非力なクルマに乗るのが賢明です。
60馬力の軽自動車で山道を登ってみてください。
「速く走りたい」という気持ちが完全に浄化され、悟りの境地にたどり着けます。
まとめ
馬力が大きくなるにつれ、ドライバーの自制心が問われるようになります。
軽自動車で時速200kmを出すのは不可能ですが、ポルシェ911ならそれが可能です。
軽自動車が高速道路をノロノロ走っているのは、速度を出していないのではなく、出せないだけ。
でも、ハイパワー車は違います。
「ぶっ飛ばす」という選択もできてしまう。
ステアリングを握っている間、脳内ではつねに「ぶっ飛ばす」の選択肢がチラつきます。
いっぽうで「覆面パトカーやオービス」もチラつきます。
天使と悪魔が闘いつづけるわけです。
これが、ハイパワー車ならではのストレスですね。
日本の道路は、どこへ行っても速度制限があります。
この日本でハイパワーのスポーツカーを買うのは、部屋でしか飛ばせないのにラジコンを買うようなもの。
非力な車を運転するとストレスが溜まりますが、ハイパワー車にはハイパワーで、別のストレスがあるということです。
馬力が大きいクルマを買うには、たくさんのお金と、強い自制心が必要です。
あなたには両者が揃っていますか?
以上、350馬力のポルシェ911を運転してわかった苦悩でした。
「ポルシェを運転」って、レンタカーですが。