豚肉を生で食べると、食中毒を引き起こす恐れがあります。
したがって、豚肉は中心部までじゅうぶん加熱しなければなりません。
では、万が一じゅうぶんに加熱していない豚肉を食べてしまったら、どうなるのでしょうか。
この記事では、
- 生の豚肉が引き起こす食中毒
- 食べてしまったらどうすればいいか
など、「食べた豚肉が生(ピンク色)だったら食中毒のリスクがあるのか」についてお伝えします。
ぜひ参考にしてみてください。
食べた豚肉が生(ピンク色)だったら食中毒のリスクがある?
豚肉(豚ひき肉含む)が生だったとします。
食べる前に気づいたのであれば、色が変わるまで加熱してから食べてください。
すでに生の豚肉を食べてしまったのであれば、健康被害を防ぐためにできることはありません。
ただ食中毒にならないよう祈るだけです。
E型肝炎のリスクについて
豚というのは、E型肝炎ウイルスを保有していることが多い動物です。
E型肝炎ウイルスに感染している豚を生のまま食べてしまうと、経口感染する恐れがあります。
E型肝炎の初期症状としては、
- 発熱
- 腹痛
- 下痢
- 倦怠感
- 食欲不振
などが挙げられます。
とりわけ妊婦や高齢者が感染した場合、激症化するリスクがあります(致死率はおよそ20%)。
E型肝炎ウイルスの潜伏期間は2〜9週間とされており、6週間での発症が平均です。
ゆえに、生の豚肉を食べてしまったからといって、今日あすに症状が出るわけではありません。
症状が出るのは来月、あるいは再来月です。
もちろん、E型肝炎ウイルスに感染していなければ、症状は現れません。
豚の生肉が原因となった食中毒発生件数
厚生労働省が発表しているデータによれば、平成16〜25年の10年間で豚肉や豚の内臓が原因となった食中毒発生件数は、10件です。
年間平均1人が、じゅうぶん火が通っていない豚肉あるいは豚の内臓を食べ、食中毒にかかっているわけです。
この発生件数を多いと感じるか、少ないと感じるかはあなた次第です。
10年間で10件という数字を少ないと感じたなら、少し気が楽になるのではないでしょうか。
ネット上に飛び交う様々な意見
「豚肉を生で食べてしまった」という投稿が、質問サイトにチラホラあります。
あなたはすでに、そうした投稿に目を通したかもしれません。
そこにはさまざまな意見があったはずです。
- 食べても平気
- 食中毒のリスクがあって危険
- ビビる必要はない
- 死ぬかもしれない
- 内蔵じゃなければ大丈夫
など、正反対の声があり、何を信じたら良いのかわからなくなります。
いずれも根拠が不明確なものばかりですので、信用に値しません。
したがって、質問サイトの回答は参考にしないほうが良いでしょう。
平成16〜25年の10年間で豚肉や豚の内臓が原因となった食中毒発生件数は10件という、これが事実です。
このデータだけを信じるのが賢明です。
ネット上の情報を見て一喜一憂しても仕方ありません。
今後しばらくの間に、
- 発熱
- 腹痛
- 下痢
- 倦怠感
- 食欲不振
などの症状が現れたら、病院へ行ってください。
まとめ
豚肉による食中毒のリスクについてご紹介してきました。
生の豚肉が引き起こす食中毒は、E型肝炎ウイルス以外にも存在しています。
たとえば、エルシニア属菌などの細菌性食中毒、有鉤条虫などの寄生虫による食中毒です。
いずれにせよ、豚の内蔵(レバーなど)を生で食べた場合には、リスクが高いといえるでしょう。
こうした細菌やウイルスが豚の内臓に生息しているからです。
エルシニア食中毒の潜伏期間は2〜5日。初期症状は腹痛、下痢、発熱など。
内臓にくらべれば、豚の生肉のほうがまだリスクが低いといえます。
もちろん、絶対安心とはいえませんが。
こうしているいま、あなたは不安になっていることでしょう。
不安はストレスとなり、ストレスが自律神経を乱し、腸が活発化して下痢を引き起こすことがあります。
下痢=食中毒というわけではない、ということです。
以上、食べた豚肉が生(ピンク色)だったら食中毒のリスクがあるのか、でした。
結論。リスクはある。10年間で10症例を多い(自分も危険かもしれない)と考えるか、少ない(平気だろう)と考えるかは、あなた次第。
【参考文献】
伊藤武、西島基弘『絵でわかる食中毒の知識』講談社、2015年
甲斐明美『知って防ごう食中毒』少年写真新聞社、2007年