『「バカ」の研究』の要約と感想

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自覚がないだけで、他者からすれば私たちは「バカ」の可能性があります

 

上の指摘にたいして「そんなはずはない」と思った方ほど、バカの疑いが濃厚です。

バカとはいったいどんな人のことで、どうすればバカにならずに済むのか、あなたは興味ありませんか? 

 

本書は「バカ」をテーマにした本です。

 

この記事では、ジャン=フランソワ・マルミオン編『「バカ」の研究』の要約と感想をご紹介します。

ぜひ参考にしてみてください。

 

 

『「バカ」の研究』の要約と感想

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まずは本書の要約から。

 

さまざまな学者による「バカの考察」をまとめた本である。

バカは信じる力に長けている。

バカはロトの番号を自分で選びたがる。

バカは自分の考えに疑いを抱かない、など。

 

自分は賢いと思っているあなたも、誰かにとってみればバカかもしれない。 

そしてわれわれは、自らが「バカ」であることに気づけない

 

バカとはなんなのかを、一流の科学者、名門大学教授24名が解説する。

 

以上がおもな内容です。

本書を読めば、「バカってそういう人のことなのか」とスッキリした気分になれること請け合いです。

 

バカとはこんな人のこと

計24名の識者たちが、「バカとはなんなのか」を論じている本です。

それぞれが挙げている「バカの定義」は、いずれも興味深いものでした。

 

バカを一言で表現するなら、心理学的研究によって証明されたさまざまな傾向やバイアスが誇張されている人物のこと、だそうです。

バイアスとは、思い込みのこと。

 

たとえばあなたは、楽観バイアスをご存知でしょうか。

楽観バイアスとは、物事を楽観視し、まぁ大丈夫だろうとなんの根拠もなく信じてしまう思考を指します。

 

統計学上の確率を無視し、自分ががんになるはずなどない、自分が離婚するはずないと思い込むのは、バカです。

なぜなら、楽観バイアスにとらわれているからです。

 

運動や食事などに気を遣って健康維持に努めているわけでもないのに、「自分だけは病気になんてならない」と信じている人を、楽観バイアスに操られたバカといいます。

 

  • 損失回避性
  • ハロー効果
  • 確証バイアス
  • 後知恵バイアス

これらの傾向やバイアスが誇張されていればいるほど、その人物は「バカ」に近づいていきます。

 

私たちがバカの仲間入りを果たさないためには、これらのバイアスについて知っておく必要があるでしょう。

 

本書を読めば、人々がどんな思い込みをしやすいのかを学べます。

これらの知識は、われわれがバカにならないために役立ちます。 

 

 

バカの例が面白い

本書に載っているバカの例は、どれもユーモラスなものばかりでした。 

バカの例を読んでいるだけで楽しめます。

 

たとえば、スピード違反で警察に捕まったときに「運が悪かった」と愚痴をいうバカです。

車やバイクでスピード違反をすれば、警察に捕まるのは当然です。

 

当然起こりうる結果にたいし、ふつうは「運が悪い」などとはいいません。

この論理を理解していないのが「バカ」なのだと本書に書かれていました。

 

あるいは、猛スピードで追い越していった車を見て「あの運転手はバカだ」と非難するバカです。

ある人がとった言動は本人の性格によるものだと決めつけ、そのときの状況など、外的要因があるとは考えていません。

 

もしかしたら学校で大怪我をした子どもを慌てて迎えに行くのだ、とは考えない、ということです。

「あの運転手はバカだ」とキッパリ断言している人物こそ、バカなのかもしれません。

 

六の目を出したいがために、渾身の力をこめてサイコロを振るのもバカです。

自分を非の打ちどころのない人間だと思い込んでいる人もバカです。

急いでいるときにエレベーターのボタンを連打する人もバカです。

  

いずれもナンセンスで、バカに違いありません。

ただし、自らもおなじことを考えたり、行ったりしていないかといえば、それは微妙です。

 

重要な物事を決めるジャンケンでは、全力でチョキやグーを出したりしているからです。

 

まとめ

「自分は人より賢いと思う。少なくともバカではないはず」と考えている方にこそ、本書はおすすめです。 

 

なぜなら、本物のバカとは自らの知性に過剰な自信を抱き、けっして自分の考えに疑いを抱かない人間のこと、と本書に記されているからです。

バカではないはずの自分がバカだとは、認め難いかもしれません。 

 

ただし重要なのは、真実を知ることです。

バカについて正しく把握し、さまざまなバイアスから解放されなければ、本当の意味で「賢い人間」にはなれません。

 

本書を読めば一時だけプライドが傷つくかもしれませんが、結果的には成長でき、バカとは無縁になれます。

あらゆる固定観念や認知バイアスにとらわれないためには、批判的思考が欠かせません。

 

ほんとうに賢い人間とは、批判的思考(クリティカルシンキング)ができる人間のことだといえそうです。

 

以上、ジャン=フランソワ・マルミオン編『「バカ」の研究』の要約と感想でした。

結論。 私もあなたも、じつはバカなのかもしれない。ユーモアラスな例とともにバカの定義を学ぶことができ、バカにならない思考を身につけられる本。

 

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ときとして「バカさ」は、命を落とす原因にもなります。

樽に入って滝から落っこちたらどうなるかどうかが気になり、試し、命を落としてしまったバカのエピソードはこちらです。