『死の教科書 心が晴れる48のヒント』の要約と感想

「死」をテーマにした問答集です。

20代〜80代の一般男性・女性からの質問にたいして、作家の五木寛之氏が答えるスタイルをとっています。

 

「ゆるやかな自殺」など、著者ならではの死生観が綴られていました。

 

この記事では、五木寛之著『死の教科書 心が晴れる48のヒント』の要約と感想をご紹介します。

ぜひ参考にしてみてください。

 

 

『死の教科書 心が晴れる48のヒント』の要約と感想

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まずは本書の要約から。

 

一般の人々から寄せられた「死」に関する問いにたいし、著者が答えるスタイル。

質問は、編集者が独自に20代〜80代の一般男性・女性から募集し、まとめたものである。

 

けっして避けられない死と私たちはどう向き合うべきか。 

死が迫っても慌てないようにするための死のレッスンとは。

死の恐怖をやわらげるために欠かせない死後の物語、など、著者が自らの死生観を語る。

 

以上がおもな内容です。

タイトルには「教科書」とありますが、理科の教科書や数学の教科書とはちがい、死についての事実が本書に書かれているわけではありません。 

あくまでも、五木氏の個人的見解が記されているだけです。 

 

ゆえに本書を「教科書」と呼ぶのは違和感があるものの、著者の死生観は参考になりました。

読者によっては、抱えている死にたいする恐怖を、本書でやわらげられるかもしれません。

 

死をつねに感じるべき理由

五木寛之氏は「死」について語り続けている作家です。

というのも、「死をつねに感じていることが、生きていく力になる」と考えているからです。

 

死を遠ざけることで元気になるのではなく、むしろ死について考え感じることで、生命のエネルギーが溢れてくる、五木氏はこのように述べていました。

 

アップル創業者のスティーブ・ジョブズが、毎朝鏡に向かって、

「今日が人生で最後の1日になるとしたら、これからやろうと思っていることをほんとうにやるか」

を問いかけていたエピソードは有名です。

 

「死のレッスン」と称した行為を、五木氏も遊び半分で毎日行っているといいます。

寝る前には「明日目が覚めないとしたらそれで良いか」と考え、朝起きたら「今日が最後の1日になるんだ」と自分に言い聞かせる、これが五木流死のレッスンです。

 

死の覚悟を決めて毎日を過ごすことで、ほんとうに死が迫ってきても慌てずに済むのではないか、との考えから、このような死のレッスンを行っていると述べてました。

ちなみに著者は、60歳を過ぎてから死のレッスンを始めたそうです。 

 

死はいつ、私たちに訪れるかわかりません。

今日、明日の可能性もあります。

ゆえに、死のレッスンを始めるのに「早過ぎる」ことはないのかもしれません。

 

 

自殺を否定しない

著者は自殺を否定していません。

むしろ五木氏は、自殺に関して肯定的な立場をとっています。

 

というのも、五木氏自身が、これまで二度にわたって自殺を考えたことがあるからです。

もちろん自殺に賛成しているわけではないものの、「自殺が悪いことだとは思わない」とハッキリ述べていました。

 

このあたりの著者の考えにたいしては、読者によっては拒絶反応を示すかもしれません。

「自殺は悪だ」と考えている人にしてみれば、五木氏の主張は、気分の良いものではないでしょう。

 

人は自らの意思で誕生したわけではないからこそ、この世から退場するときくらい、自らの意思で退場したい、と著者はいいます。

自らがそう望むだけでなく、「このあたりで人生の幕を閉じたい」と思った人が、面倒や苦痛、法的なあれこれもなくこの世を去れるような仕組みやカルチャーを作る必要がある、とも五木氏は述べています。

 

早い話が、日本は安楽死を認めるべきだ、ということでしょう。

ところが著者は、上の主張に際して「尊厳死や安楽死といったややこしい話ではなくて」とお茶を濁し、安楽死についての言及を避ける姿勢を見せています。

 

「死の教科書」を称する本が、「ややこしいから」という理由で尊厳死や安楽死についてスルーするのは、いかがなものでしょうか。 

 

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安楽死や尊厳死に関して、村上陽一郎氏は、こちらの書籍でとことん向き合っています。 

安楽死の是非について考えたい方は、上の本も参考にしてみてください。

 

まとめ

一般の人々から寄せられた「死に関する問い」にたいして、「私はこう思う」と五木氏が回答しているのが本書です。

死をテーマにした問答集だといえるでしょう。 

 

五木氏は執筆時に80代であり、死への恐怖や不安はない、と語っていました。

ゆえに、死の恐怖を乗り越えた人間の、達観した考えを知れる本であるともいえます。

 

どんな人もかならずしも死を迎えるからこそ、そのときにうろたえたり取り乱したりしないように、自分自身の死について考えておいた方が良い、と著者はアドバイスしていました。

 

大震災への備えをしている人は少なくありません。

もしかするとあなたも、懐中電灯や発電機、水、食料品などを自宅に用意しているのではないでしょうか。

ただし大震災には、起こらない可能性があります。

もちろん、災害は発生しないのが一番です。

 

がしかし、私たちに「死なない可能性」はありません

残念ながらわれわれは、遅かれ早かれ死にます。

だとしたら、不確かな災害への備え以上に、確実な死への備えが必要なのではないでしょうか。

 

かならずやってくるとわかっている「死」にたいして、よく考え、心の準備をしておくべきです。

理想の最期について考えておくべきです。

 

災害に備えて水や食料品を買うように、死に備えて本書を買ってみるのも、悪くないのかもしれません。 

 

死の教科書 (宝島社新書)

死の教科書 (宝島社新書)

  • 作者:五木 寛之
  • 発売日: 2020/08/26
  • メディア: 新書
 

以上、五木寛之著『死の教科書 心が晴れる48のヒント』の要約と感想でした。

結論。教科書というほどたいそうなものではない。死に関する一個人(自殺や安楽死に肯定的)の持論。死について考えるきっかけを与えてくれる。

 

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