ドラッカーのさまざまな著書から言葉を引用し、解説してあるのが本書です。
著者は「ドラッカー百科を意図して書いた」と述べていました。
ドラッカーの言葉や考えがまとまっている良書だといえます。
おもなターゲット読者は、経営者など、人の上に立ってマネジメントを行っている方だといえるでしょう。
この記事では、上田惇生著『ドラッカー 時代を超える言葉 洞察力を鍛える160の英知』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『ドラッカー 時代を超える言葉 洞察力を鍛える160の英知』の要約と感想
まずは本書の要約から。
ドラッカーはマネジメントを発明した「マネジメントの父」である。
成果を上げるには、強みを引き出すには、組織を動かすには、人を動かすには、変化を捉えるには、どうすれば良いのだろうか。
ドラッカーのさまざまな著書から彼の言葉を引用し、上のような問題について解説する。
以上がおもな内容です。
著者の上田氏はこれまでドラッカーに関する書籍を多数出している、いわばドラッカーのプロと呼べる人物です。
ゆえに本書は扱うテーマのバランスが良く、説明が簡潔で、わかりやすい一冊となっていました。
ドラッカー百科と呼ぶにふさわしい内容です。
ドラッカーの言葉が明確
本書が良いのは、ドラッカーの言葉だけが太字のフォントで記されている点です。
ひと目見ただけで、どれがドラッカーの言葉で、どれが著者の解説文なのかが区別できます。
ちょうど、スーパーで売っている食材に「国産かどうか」が示されているようなもので、わかりやすいといえるでしょう。
食材が国産なのかどうかは重要ですし、本書に書かれている文章がドラッカーの言葉なのか、上田氏の言葉なのかも重要です。
両者を曖昧にせず、太字を使って区別しているのは、読者にたいして親切だといえます。
くわえて本書には、太字になっているドラッカーの言葉とセットで出典も示されていました。
おかげでわれわれは、気になるテーマについて、ドラッカーのどの書籍を読めば良いのかがすぐわかります。
なぜなら、本書に示されている「出典」にあたれば良いからです。
最後にまとめて出典が載っているのではなく、一つひとつの言葉にそれぞれ出典が明記してあるのは、良心的です。
- 『現代の経営』
- 『経営者の条件』
- 『ポスト資本主義』
- 『ネクスト・ソサエティ』
- 『イノベーションと企業家精神』
- 『マネジメント 課題、責任、実践』
これらの書籍から、ドラッカーの言葉が多く引用されていました。
上の書籍以外からも紹介されています。
たとえばどんな内容か
本書に載っているメッセージの多くは、組織のマネジメントに関してです。
たとえば、事業を成功させるには、社員が最高の仕事をできる環境を作るべきだ、とドラッカーは述べていました。
- 集中できるデスク環境
- 休憩スペースを設けたオフィス
- 豪華な社食が楽しめるオフィス
など、「最高の仕事ができる環境」の捉え方は人それぞれです。
コロナ禍でリモートワークが普及しつつある現在、最高の仕事ができる環境づくりの実権は、社員に移っているのかもしれません。
つまり、社員自らが自宅や近所に「ワーキングスペース」を設け、集中できるよう工夫しなければならない、ということです。
経営サイドにできることがあるとすれば、リモートワークの環境を整えるための「手当」を支給することでしょうか。
実際、一律3万円や5万円といった手当を社員に支給し、デスク、チェア、モニターなどの購入に充てるよう指示している会社も存在します。
働き方が変化しても、 社員が最高の仕事をできる環境こそ事業成功のカギだ、というドラッカーのメッセージは普遍なのでしょう。
ほかにも、
- 成果をあげる能力
- 成果をあげる者の条件
- 変化を起こすべきタイミング
- 経営において重要な5つの質問
- イノベーションと人口構造の関係
- 知識労働者の生産性を高めるには
など、160におよぶドラッカーの英知が収録されていました。
「上司に成果をあげさせよ」など、"上司のマネジメント"についても記されています。
ゆえに本書は、経営者以外の方が読んでも役に立つはずです。
まとめ
まさに「ドラッカー百科」といった内容の一冊でした。
はじめてドラッカーについて学ぶ方にも本書は適しているといえます。
なぜなら本書は、ドラッカーの考えを満遍なく紹介しているからです。
偏りがないため、ドラッカーがどんな考えを持ち、どんな主張をしていたのかがよくわかります。
ちょうど、ランチでラーメンを食べるよりも、幕の内弁当を食べたほうが栄養の偏りがないのとおなじです。
ドラッカーの思考を一冊でバッと俯瞰したい方にとって、本書は役に立つはずです。
以上、上田惇生著『ドラッカー 時代を超える言葉 洞察力を鍛える160の英知』の要約と感想でした。
結論。ドラッカーの思考をぐるっと見渡せる本。ドラッカーがどんなことを考え、どんな主張をしていたのかがよくわかる。成果、強み、組織、人、変化など、扱うテーマのバランスが取れており、どれか一つに偏っていない。
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