スズキが製造・販売しているソリオは、軽自動車ではありません。
軽みたいなルックスをしていますが、ああ見えて、ソリオは5ナンバーの普通車です。
では、どうしてソリオは、軽自動車みたいな紛らわしいカタチをしているのでしょう?
それは、ソリオがもともとワゴンR(スズキの軽自動車)から派生してできたコンパクトカーだからです。
ちなみにソリオの先祖は、ワゴンRワイドという普通車です。
ワゴンRから生まれたモデルだからこそ、スズキソリオの外観は、ハイトワゴン系の軽自動車に似ています。
たとえるなら、子が親に似るようなものです。
この記事では、
- なぜ軽自動車じゃないのか
- 軽自動車との違いはなにか
- 軽と維持費を比較したらどうなるか
など、「ソリオと軽自動車の比較」をわかりやすくお伝えします。
ぜひ参考にしてみてください。
ソリオは軽自動車じゃない
ソリオは360度どこから見ても軽自動車チックなクルマですが、軽ではありません。
ちょうど、クラゲみたいな見た目とネーミングの「キクラゲ」が、じつはキノコ、みたいなものです。
ソリオは軽でなく普通車ですし、キクラゲは海を漂っておらず、山に生えています。
では、どうしてソリオは"軽自動車"ではないのでしょうか。
なぜ黄色いナンバープレートをつけて一般道を走れないのでしょうか。
軽自動車の規格外だから
スズキソリオが軽自動車ではない理由はシンプルで、軽の規格をオーバーしているから、です。
軽自動車を名乗るためには、
- ボディサイズ
- エンジン排気量
いずれも規格内(上限)に収まっていなければなりません。
たとえば、軽のエンジン排気量は660ccが上限として定められています。
それにたいしてソリオ/ソリオバンディット(カスタム系)が搭載するエンジンは、1,242ccです。
660ccのリミットを超えているので、ソリオは、軽自動車として認められません。
排気量だけでなく、ソリオはボディサイズも軽の規格からはみ出しています。
もちろん、軽自動車の枠に収まりきらなかった"失敗作"などではなく、ソリオはもともと普通車として設計・開発されています。
普通車を作ろうと思い、出来上がったのがソリオです。
たとえるなら、にんじんのグラッセを作ろうと考え、調理して、レシピ通り完成したようなものです(だから問題ない)。
軽自動車と維持費を比べてみた
軽自動車は、自動車税が優遇されています。
軽のオーナーは年に1回(毎年5月ごろ)、自動車税として10,800円を納付すればOKです。
それにたいしてソリオを含む普通車は、一律ではなく、エンジン排気量に応じて税金の額が変わります。
たとえば、トヨタのミニバン・アルファード(排気量は3.5L)の場合、年間57,000円の自動車税がかかります。
スズキソリオの排気量は1.2L(1,242cc)なので、もっと安く、30,500円で済みます。
とはいえ、優遇されている軽自動車に比べたら、ソリオの自動車税はおよそ3倍違い額です。
この金額差をどう捉えるか、考えるかは、人それぞれだといえるでしょう。
それから、普通車と軽自動車とでは高速道路の利用料金がちがいます。
安いのは、軽自動車です。
どれくらい安いかというと、軽はだいたい普通車の料金から2割引をした額です。
もし普通車の高速料金が1,000円だとしたら、軽自動車は800円、そんなイメージだといえます。
当然ながら、高速道路を走る機会が多ければ多いほど、両者の金額差はどんどん開いていきます。
いっぽうで、もし高速道路をほとんど走らないとしたら、料金の違いはたいした問題ではありません。
高速料金ではなく、自動車税の違いがもっとも大きな問題です。
- 軽自動車:10,800円
- ソリオ:30,500円
年間で2万円の差、月々に換算すると1,600円ちょっとの差です。
ただし、たいていガソリン代やタイヤ代も普通車(ソリオ)のほうがかかるので、トータルの維持費は、やはり軽よりも普通車のほうが高くつきます。
ソリオは軽より広くて快適でパワフル
経済的な負担が大きいぶん、普通車には、普通車ならではのメリットがあります。
普通車の特徴は、軽自動車とちがってボディサイズやエンジンに縛りが存在しないこと、自由であることです。
たとえばソリオは、軽自動車よりも広々とした室内空間を有しています。
ファミリーカーとしてもじゅうぶん使えるクルマです。
軽自動車の乗車定員は4名までですが、ソリオには、最大5名まで乗れます。
後部座席のシートはリクライニングが可能で、足元や頭上は広く、まるで新幹線のようにテーブルや肘掛けまでついています。
つまり、ソリオの後部座席はどんな軽自動車よりも快適だ、ということです。
事実、スズキの開発陣は、2020年にフルモデルチェンジした4代目ソリオ/ソリオバンディットについて、「後席の乗り心地を重視した」と語っています。
テーブルやアームレストなどの目に見える装備だけでなく、
- 走りの質(振動や突き上げ)
- 静粛性(ロードノイズや雨音)
といった目には見えない点も、ソリオには工夫が施されています。
自動車税の違いは「快適さ」に払っていると考えれば納得できるのではないでしょうか。
もちろん、後席に座っている乗員だけでなく、ドライバー本人も気持ちよく移動ができます。
ソリオの特徴は、その軽さです。
1,000kgというソリオの車両重量は、軽自動車のホンダN-BOXとおなじか、グレードによってはそれ以下です。
ソリオのワイドなボディサイズを考えたら、かなり軽量だといえます。
たとえるなら、「大人がひとりで運べる大型冷蔵庫」みたいな驚きです。
軽とおなじような重さのボディに、軽より断然パワフルな1.2Lのエンジンを搭載したソリオは、スムーズに走ります。
- パワー(馬力)
- 加速力(トルク)
こうした走行性能を求めるのであれば、非力な軽自動車では満足できないでしょう。
普通車を買うのがベターです。
まとめ
スズキソリオについてお伝えしてきました。
スズキの軽自動車ハスラーから普通車クロスビーが誕生したのとおなじで、ワゴンRから派生してできたのが、ソリオです。
スペイン語で「王座」を意味する「ソリオ」の名称が与えられたのは、ソリオが、当時ワゴンRのトップグレードだったからです。
普通車であるソリオを買えば、
- 快適さ
- 静粛性
- 走行性能
- 車内の広さ
- 荷物の積載量
これらすべて「軽自動車よりも上」を手にできます。
ただし自動車税は、軽10,800円にたいし、排気量1.2Lのソリオは30,500円です。
高く設定されています。
高速料金にしても、軽のほうが20%ほど割安です。
それでも、迷ったらデカいほうを買っておく、大は小を兼ねる的な発想をするなら、普通車であるソリオを選ぶのが無難でしょう。
軽自動車が定員4名で困ってしまうシチュエーション(5人で移動したい)はあっても、普通車に5人乗れて"困っちゃう"ケースは、まずありません。
たとえるなら、貯金が20万円しかなくて悩むことがあっても、貯金が2億円あって悩むことは、まずないようなものです。
コストか、広さか、快適性か、走りの力強さか、クルマ選びでなにを優先するかは、人それぞれの価値観しだいです。
ぜひスズキのディーラーでソリオの展示車をチェックしたり、試乗車を運転してみてはいかがでしょう。
スズキには、
- アルト
- ワゴンR
- ハスラー
といった軽自動車も売っています。
ディーラーへ行って実車を比べてみれば、ソリオを買うかやめるか、すぐ決断できるのではないでしょうか。
スマホや雑誌でソリオを眺めてあれこれ想像し、悩んでいても、なかなか答えは出ません。
たとえるなら、
「美容に良いらしいけど、ローズヒップティってどんな味なんだろう?」
といくら想像してみたところで、飲むまでわからないのとおなじです。
以上、ソリオと軽自動車の比較でした。
結論。軽自動車は安い。ただそれだけ。維持費は若干安いけど、軽自動車は車両価格が高いので、かわりに普通車を買っても経済的負担はそれほど変わらない。ソリオのデザイン、使い勝手の良さを気に入ったなら、軽で妥協せず、心のままにソリオを買うのがベスト。
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