お金持ちが全員メルセデス・ベンツやBMW、ポルシェ、レクサスなどの高級車に乗っているわけではありません。
たとえば、世界的な家具チェーンIKEAの創業者である故イングヴァル・カンプラード氏は、莫大な資産を築いても倹約を徹底し、中古のボルボに乗りつづけていました。
莫大な資産というのは、具体的には4兆円です。
4兆円の資産を持ち、フォーブズの長者番付でベスト10入りするほどの億万長者が、ロールス・ロイスでなく中古のボルボに乗っていたのです。
ちなみにカンプラード氏はスウェーデン生まれで、ボルボもスウェーデンで生まれた自動車メーカーですので、彼にとってボルボは国産車です。
私たち日本人の感覚でいえば、億万長者が中古で買ったトヨタのカローラに乗りつづけているようなものでしょう。
これは極端な例だとしても、実際のところ、中古車や軽自動車といった100〜300万円ほどのけっして高くない自動車に乗っているお金持ちは存在します。
では、高級車を買えるだけのお金があるにも関わらず、なぜ安いクルマを選ぶのでしょうか。
一般には知られていない"お金持ちならではの特殊な事情"があるのでしょうか。
この記事では、
- 税務署に目をつけられたくない
- 高級車に乗ってもお金は増えない
など、「安い車に乗るお金持ちの心理」をわかりやすく解説します。
お金持ちの思考回路や感覚を知るため、ぜひ参考にしてみてください。
中古車、軽自動車……安い車に乗るお金持ちの心理3選
高級車は富の象徴、いわゆるステータスシンボルですが、すべてのお金持ちが財力をひけらかしたいわけではありません。
むしろ、たくさん稼いでいると周囲に気づかれたくないお金持ちも存在しています。
なぜなら、目立つとロクなことがないからです。
たとえば税務調査が入ったり……といった事情は後ほど詳しくお伝えします。
まず、高級車に惹かれない/高級車を避けているお金持ちの心理をまとめて確認しましょう。
大衆車を選ぶお金持ちには、
- 目立ちたくない
- 車に興味がない
- 消費を抑えたい
といった事情や考えがあります。
以下、順番にご説明していきます。
1. 目立つと不都合だから
たっぷり稼いでいる個人事業主(フリーランス)の多くは、目立つことを好みません。
どうしてかというと、派手に散財していると税務署に目をつけられる恐れがあるからです。
「ランボルギーニか。ずいぶん儲かっているようだけど、ヤツはきちんと確定申告して納税しているのか?所得を隠したり、虚偽の申告をして脱税なんかしていないだろうな?」
という具合です。
そして税務調査が入ります。
税務調査というのは「正しく申告できていますか?」と税務署が行う確認です。
ちなみに、会社員は税務調査の対象になりません。
従業員に代わって会社が計算し、税金を納めているからです。
個人事業主は自分で収入と支出(経費)を算出し、自ら課税額を申告しています(確定申告)。
では、どうしてフリーランスが税務調査を嫌がるのかというと、面倒だからです。
税務署から調査官がやってきて、
- 帳簿を確認される
- 領収書を確認される
- 経費の説明を求められる
- 場合によって延滞税が課される
など、あれこれ調べられるのです。
たとえるなら小中学校の家庭訪問のようなもので、問題点を指摘されるのはイヤなので、できれば税務調査はないほうが嬉しい、といえます。
もちろん、不正まがいの処理をしているから税務調査が入ったらマズい、なんて後ろめたい人もいるでしょう。
すべての個人事業主にたいして税務調査が行われるわけではなく、「確認しておきたい人物」のところに優先的にやってきます。
だからこそ、多くの個人事業主は儲かっていないフリをします。
カネがあると思われると面倒(手間や時間がかかるししばしば延滞税が課される)だからです。
税務署は個人のSNSまでチェックして「羽振りの良い人物を探している」といいますから、怪しまれないよう、地味な自動車に乗っているほうが賢いといえます。
個人のSNSまで調べる理由は、仮想通貨などでこっそり大儲けしている人の脱税(無申告)を見逃さないためだったりもします。
一般的な会社員の感覚でいえば、高級車に乗ってまわりから"お金持ち"だと思われたほうがお得なのかもしれません。
優越感に浸れて良い気分を味わえます。
がしかし、個人事業主はその逆です。
どれだけお金があっても"貧乏人"だと思われていたほうがお得なのです(厄介な税務調査の対象になりにくい。出る杭は打たれる)。
こんな理由から、個人事業主など一部のお金持ちは、コンパクトカーや軽自動車、それから型落ちの国産中古車といった"安くてありふれた車"をマイカーに選びます。
2. 車に興味がないから
もちろん、お金持ちはフリーランスだけではありません。
お金持ちの経営者や会社員も存在します。
それでも高級車に乗らない人がいるのは、税務うんぬんではなく、ただ単に車に興味がないから、だったりします。
たとえば、スマートフォンにさほど関心がない人物がいるとします。
お金持ちでもそうでなくても構いません。
この人物は「電話番号がないと困るからスマホを持っている」くらいの消極的な姿勢なので、買い替えに乗り気ではありません。
新機種が出ても気にせず、5年前に買ったスマホを壊れるまで使いつづけるつもりでいます。
クルマに興味がないお金持ちも、これとおなじです。
移動手段として(とくに田舎では)車がないと困るから所有しているのであって、壊れずに走るなら中古でもなんでも良い、という感じです。
すべてのお金持ちが「成金」のように服から腕時計から車からマンションに至るまで、すべて高級品を買い揃えるわけではないのです。
もしあなた自身が億万長者だったとしても、興味のないアニメグッズを買ったりはしないはずです。
なぜなら興味がなく、出費がムダに思えるからです。
世の中には「中古の信号機」をネットオークションで落札して自宅に飾っている人がいますが、ほとんどの人は「信号機」を買おうとした過去など持っていません。
それもこれも興味がない(要らない)からで、私たちは、興味も関心もないものには大事なお金を使いたがらないのです。
だからどれだけお金を持っていても、こだわりがない車にはお金をかけません。
3. 消費を抑えたいから
稼いだお金の使い途というのは、大きく3パターンに分けられます。
- 消費
- 投資
- 貯蓄
この3つです。
貯蓄とは銀行預金などのことで、お金を「貯める行為」です。
投資とは株式投資や不動産投資などを指し、これはお金を「増やす行為」です。
それにたいして消費とは、車や洋服を買ったり、食事をしたり、映画を見たりする買い物全般を指し、「お金を減らす行為」だといえます。
お金持ちは稼ぐ能力や貯めるスキルが高いので、そのスキルを伸ばしてもっとお金を増やそうとするなら、必然的に「消費」は抑えることになります。
たとえばここに500万円があるとして、これでアルファードを買ってしまったら残金はゼロです。
いっぽう、中古車を100万円で買い、残った400万円を株式投資に回したらどうでしょう。
- 売買益
- 配当金
- 株主優待
こうした見返りが得られるかもしれません。
投資とは、「お金にお金を稼いでもらう行為」です。
自分が寝ていても、散歩していても、読書していても勝手にお金が増えていきます。
投資すれば増えるかもしれないのに、見栄を張って高級車なんか買うのはもったいない、クルマなんか走ればなんだって良いんだ……そう考えたなら、クルマへの支出を削るのは当然です。
もちろん世の中にはフェラーリを買うお金持ちもいますが、フェラーリはリセールバリューが高く、場合によっては購入価格よりも高い金額で売却できることがあります。
4,000万円で購入して、市場でプレミアが付き、8,000万円で売却する、という具合です。
腕時計を買うにしても何を買うにしても、「どれだけ資産価値が落ちないか」を考えて損得勘定で買い物をするのがお金持ちの特徴です。
つまり、消費すらも投資と捉えている、ということです。
よって、フェラーリなどスーパーカーを所有しているお金持ちの行動も「理にかなっている(ただの消費ではなく投資として捉えている)」といえるでしょう。
ビジネス書などにはよく「お金持ちになりたければ自己投資にお金を使え」なんて書かれていたりします。
自己投資も立派な投資です。
もしお金持ちを目指すなら、欲しいクルマを買って散財するのではなく、将来のリターンにつながるような投資にお金を使ったほうが良いのかもしれません。
ちょっと背伸びして高いグレードを注文したところで"お金持ち気分"は味わえるかもしれませんが、ほんとうのお金持ちにはなれません。
そのお金を自己投資や株式に使っていたら……いったいどうなるでしょう。
実際、世界的ベストセラー『サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット』にはつぎのように記されています。
「裕福さの誇示は、富を減らす一番の近道」
「真の富とは目に見えないものだ。富とは、購入しなかった高級車であり、買わなかったダイヤモンドである。(中略)富とは、目に見えるものに変換されていない金融資産のことなのだ」
まとめ
お金持ちの頭のなかは「さらにお金が増やせるかどうか」でいっぱいです。
お金のことばかり考えて行動してきたからこそ、お金持ちになれたのだといえます。
ちょうど、プロサッカー選手を目指してひたすらボールを蹴りつづけた人物がJリーガーになるようなものです。
そして、車というのは単なる移動手段に過ぎず、それ自体がお金をもたらすことはありません。
メルセデス・ベンツに乗っていたら200万円増えちゃった、なんてことはないのです。
むしろその反対に、僻んだ誰かにボディを傷つけられ、修理代がかかったり保険代が上がったりすることならあります。
だからこそお金持ちは、軽自動車や中古車といった100〜300万円で買える安い車を選び、浮いたお金をもっと生産的な事柄に投じます。
たとえば投資をしたり、会社を辞めて独立開業するための初期費用に回したり、です。
あらためてお金持ちが安い車に乗る理由を挙げると、
- 目立つと不都合だから
- 車に興味がないから
- 消費を抑えたいから
この3つでした。
経済的に余裕ができると人は精神的にも余裕ができるので、
- 国産車か輸入車か
- 新車か中古車か
- 普通車か軽自動車か
- 上位グレードか下位グレードか
- どんなオプションをつけているか
- その車に乗ったら周囲に一目置かれるか
といった"瑣末な優越感"に関心がなくなるのかもしれません。
ほんとうに自信がある人間は自分を大きく見せようとしない(必要がない)、というやつです。
お金持ちは仕事の成功によって自己重要感を満たせているので、わざわざ高級車を買って「凄いだろ偉いんだぞ」と虚勢を張る必要がありません。
世の中には、資産が4兆円あるのに中古のボルボに乗っている男性がいたり、(生活のすべてを捧げて)フェラーリに乗る平均収入の会社員がいたりします。
乗っている自動車だけを見てその人物の収入を決めつけるのはナンセンスです。
後ろから迫ってくるBMWのオーナーよりも、前をのんびり走っているプリウスのオーナーのほうが断然お金持ち、なんてこともあり得ます。
事実、日本には、年収が4,000万円あるのに走行距離が20万キロを超えるミニバンに乗りつづけている作曲家がいます。
いざ自分がお金持ちになってみたら、私たちも進んで「安くてありふれた中古の国産車」あたりを選ぶのかもしれません。
そして、値上がりしている株価を見て、パソコンの前でほくそ笑むのです。
以上、お金持ちが軽自動車や中古車などの安い車に乗る理由でした。
【結論】目立って税務署に目をつけられて得することなどないから。車に興味がないから。消費よりも投資や貯蓄にお金を使ってさらに財産を増やしたいから。高級車というだけで理不尽にボディを傷つけられたり、ペンキをかけられたり、タイヤをパンクさせられたりすることがある。嫉妬って恐ろしい。防犯の観点でも、悪目立ちしない「安い車」が安全。お金持ちはリスク管理を徹底する。ナンセンスなリスクは取らない。
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与沢氏は散財に否定的なので、本書を読めば「クルマにお金を使いたい気持ち」が失せるかもしれません。