貧乏入門という変わったタイトルに惹かれて手に取りました。
この記事では、小池龍之介著『貧乏入門 あるいは幸福になるお金の使い方』を読んだ感想を書いていきます。
ぜひ参考にしてみてください。
『貧乏入門 あるいは幸福になるお金の使い方』の感想
本書には「お金があってもなくても幸せ」に暮らす心構えについて書かれていました。
著者が住職であることから、本書の内容も仏教がベースとなっています。
タイトルだけを見ると「清貧のススメ」のようにも思えますが、そうではありません。
持ち物を減らすこと
まず著者は、持ち物を減らすべきだと主張するんですね。
というのも、物に自分の価値を見出し、もろい自分を支えようとしているからだと。
私は以前「なぜ貧乏人の家には物が多いのか?【2つの理由】」という記事を書いています。
この根底にあるのは、「自分にたいする自信の欠如」なのかもしれません。
自分に自信が持てないから、たくさんの物を所有することで、それら物の価値を「自分の価値」だと思い込もうとする。
つまり弱い心を所有物で武装している状態です。
そのため、まずは物に依存しない「本当の自信」を手に入れることが重要だといえます。
小さなことに左右されない 「本当の自信」を手に入れる9つのステップ (大和出版)
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「自信の持ち方」については、精神科医・水島広子氏によるこちらの著書がおすすめです。
持ち物だけではない
自分にたいする自信のなさは持ち物以外にも表れます。
たとえば資格、学歴、仕事、人間関係など。
これらも自分の価値を確認するための手段であり、私たちはそうしたものに「自分の価値」を見出しているんですね。
「おれは〜大学出身だから偉いんだ」とか。
まずはこうした自分を認め、不安定な心をどうやって安定させるのかについて考えていかなければなりません。
本書にはそのための方法が書かれています。
医学部卒業のおれ、レクサスに乗っているおれ、グッチのブルゾンを着ているおれ、などという優越感は、自信のなさの裏返しでもあるということですね。
これらを求めてお金を使いつづけている限り、幸せになることはできません。
なぜなら、心がずっと不安定なままなので。
みすぼらしい家に住むのは嫌だ?
ところであなたは、みすぼらしい家に住むのは嫌ですか?
私は現在「築50年、家賃3万円」のアパートに住んでいます。
最初はすごく嫌でした。が、諸々の事情により住むことに。
著者はこうした感情について「こんな住まいにいたら、この私の価値が暴落してしまう」という自己評価に苦しめられているだけだといいます。
なるほど、たしかにその通りです。
心のどこかでは「こんなボロアパートに住むなんて屈辱的だ」と感じている自分がいたのは事実です。
しかしよく考えてみれば、私の価値とアパートの価値にはなんの関係もありません。
アパートはアパート。私は私です。
人間としての価値と住まい
ボロいアパートに住んでいる人間には価値がなくて、豪邸に住んでいる人間には価値がある。
それは「持ち物」でその人物の価値を判断しているだけ。
本質から逸れています。
そうした「虚栄心」のようなものから解放され(そうすると貧乏のように見える)、自分にとって本当に必要なものにお金を使う。
それが「幸福になるためのお金の使い方」であるということです。
こうした気づきを与えてくれる本書には一読の価値があります。
まとめ
本書にはほかにも、興味深い内容がたくさん詰め込まれていました。
たとえば人間が感じられるのは「苦」だけである(快はない)とか、刺激を増やすものは幸福には繋がらないだとか、スーパーで売られている醤油は発酵していないだとか。
本書がおすすめなのは、「幸福になりたい人」です。
お金がたくさん欲しい人、もっと稼ぎたい人が読んでも得るものはありません(タイトルから想像できるでしょうが)。
どれだけ貯金をしても不安はなくなりません。
必要なのは2000万円の貯蓄ではなく、お金に左右されない心です。
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以上、小池龍之介著『貧乏入門 あるいは幸福になるお金の使い方』を読んだ感想でした。