あなたは幸せですか?
人は状況や経験に関係なく幸せになれるといいます。
この記事では、岸見一郎著『「今、ここ」にある幸福』を読んだ感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『「今、ここ」にある幸福』の感想
著者の岸見一郎は『嫌われる勇気』などで知られる哲学者です(専門はギリシア哲学およびアドラー心理学)。
『嫌われる勇気』が古賀史健との共著だったのにたいし、『「今、ここ」にある幸福』は岸見氏が一人で執筆しています。
本書では著者の体験を踏まえた記述が多くみられました。
たとえば、著者が心筋梗塞で倒れたことや、認知症の父を介護したことなど。
どうのようにして彼がそうした経験に「幸福」を見いだしたのかを知ることができます。
幸福になるのではなく、幸福である
著者は「幸福になるのではなく、幸福である」ことが重要だと述べています。
これらは似ているようでいて、まったく異なるものなんですね。
「あの人と付き合えたら幸せ」「もっとお金があれば幸せ」などの要因によって幸福になるのではない。
状況や経験とは関係なく、幸福であること。
「人生を先延ばしにしないこと」ともいえます。
先延ばしの人生では「今ここを生きる」ことなどできません。
そうなると、「ポルシェ911があったらもっと幸せなのに」という私の考えはあまり褒められたものではなさそうです。
ポルシェ(ドイツの高級車)を所有していても幸福で、所有していなくても幸福。
そんな境地に、はたしてたどり着けるのでしょうか。
「なにかが実現したら本当の人生が始まる」とは考えるな
著者は「なにかが実現したら本当の人生が始まるとは考えるな」と述べています。
私でいえば、ポルシェを買えたらという考えがまさにコレです。
あなたもなにか思い当たることはありませんか?
- フリーランスになれたら
- 子供が自立したら
- 恋人がいたら
- ペットがいたら
- もっと痩せたら
- 顔が小さかったら
- 自由な時間が増えれば
- もっとお金があれば
これらは「向上心があって良い」ともいえますが、いっぽうで現状を否定することにもなり得ます。
今を否定したら、今ここで幸せになることなどできませんよね。
著者はこうした生き方を「準備期間」と呼んでいました。
「〜が実現したら幸せになれるのに」と考えているうちは、いまが準備期間になってしまうのだと。
もし私がポルシェ911を買えなかったら、私の人生はずっと準備期間のまま、幕が上がらずに終了してしまうわけです。
本書を読み、自分が「先延ばしの人生」を送っていたことに気づきました。
幸福であるためには、「ポルシェを買えない今のおれ」を肯定し、尊重し、愛する必要があるみたいです。
(ポルシェなんて要らねぇやい!と強がるわけではなく)
今日を今日のためだけに使い切る
「今ここ」において幸福であるためには、他者の目を気にしないこと、理想の自分を見ないことが重要なのだそう。
他者より優れようとは考えず、そのままの自分に価値を見出す。
自分の価値を認識するためになにかをする必要はない。
なるほどなるほど。理屈はわかります。
ですが、すんなり「そのままのおれで素晴らしい!」と思えるかといえば、ちょっと微妙です。
本書に書かれている思考を意識していれば、次第に肯定感が高まり、幸福に過ごせるようになるのかもしれません。
まとめ
『嫌われる勇気』同様、本書の根底にもアドラーの教えがあります。
したがって一部『嫌われる勇気』と内容が重複している箇所もありますが、本書には岸見氏の体験談が多く書かれているため、より共感しやすい印象を受けました。
目的地に着くことだけを問題にしていたら旅は楽しめない。
その通りだと思います。
私はもうちょっと、ポルシェを買うまでの過程を楽しむ所存です。
あなたも現状に左右されない「幸福」について、本書で学んでみませんか?
以上、岸見一郎著『「今、ここ」にある幸福』を読んだ感想でした。