フィアット500チンクエチェントを所有するにあたって、ガソリン代や整備費用、自動車税など、維持費はどれくらいかかるのでしょう。
まずハッキリいえるのは、国産車よりは高い、ということです(フィアット500はイタリア車)。
たとえば、消耗品など部品代は「輸送コスト」がかかるぶん割高ですし、燃料も一般的なレギュラーではなく、単価が高いハイオク指定となっています。
フィアット500はお洒落でキュートな見た目をしていますが、国産車とは勝手がちがう輸入車ですので、ルックスだけに惹かれて購入してはいけません。
いざフィアット500が納車されてから維持費の高さ(現実)に「こんなハズでは……」とショックを受けないよう、あらかじめ情報を仕入れておきましょう。
この記事では、
- 燃料はハイオク指定
- 燃費が良いのはターボモデル
- 自動車税が安いのもターボモデル
など、「フィアット500の燃費と維持費」をわかりやすく解説します。
ぜひクルマ選びの参考にしてみてください。
フィアット500の燃費と維持費はどれくらい?
維持費のなかでも特に金額が大きい、
- 燃料代
- 整備費用
- 自動車税
この3点について、フィアット500と国産コンパクトカーとの違いをお伝えします。
たとえば維持費としては他に「駐車場代」が挙げられますが、これは輸入車でも国産車でも変わらないため(地域によっても大きな差がある)、今回は扱いません。
どのフィアット500オーナーにも平等に生じる燃料代、整備費用、自動車税に絞って解説します。
ではまず、フィアット500のガソリン代から見ていきましょう。
1. ガソリン代
フィアット500のカタログ燃費(WLTCモード)はこちらです。
- 自然吸気エンジン:18.0km/L
- ターボエンジン:19.2km/L
ご覧のとおり「ターボエンジン車(TWINAIR)」のほうが燃費が良いことがわかります。
とはいえ、ヤリスやアクアといった国産コンパクトカーのハイブリッドモデルなら30km/Lを超えますし、ハイブリッドでない車でも20km/Lそこそこは走ります。
たとえば、ホンダのフィット(ガソリンモデル)のカタログ燃費は20.4km/Lです。
したがってフィアット500は、さほど燃費が良いわけではない、といえます。
ちなみに、
- 燃費が良い
- 走りにパワーがある
- 自動車税が安い
この三拍子が揃っていることから、自然吸気エンジンではなく、ターボエンジンを搭載したTWINAIRの購入をおすすめします。
1.2Lの自然吸気エンジンモデルはこの逆で、
- 燃費が悪い
- パワーに欠ける
- 自動車税が高い
ご覧のとおり"良いところが無い(経済性も動力性能もターボに劣っている)"からです。
ただ残念なことに、フィアット500のどのグレードを選んだとしても、燃料は「ハイオク指定」となっています。
レギュラーガソリンよりも1Lあたりの単価が10円ほど高い、あのハイオクです(輸入車はほとんどハイオク)。
国産車ではレクサスなどの高級車や、一部のスポーツカーだけがハイオク燃料で走ります。
そうした意味でフィアット500は"ちょっと贅沢な仕様"といえるのかもしれません。
まるで、国産食材のおやつしか食べないリッチな飼い犬、みたいなものです。
では燃費と使用燃料がわかったところで、具体的な月々のガソリン代を計算してみましょう。
月々いくらかかるのか計算しよう
フィアット500TWINAIRを買ったとして、燃料代を算出していきます。
計算に用いる条件は以下の通りです。
- 月間走行距離:800km(年間1万km)
- 燃費:18.2km/L
- ハイオク単価:170円
まず、800÷18.2=44.0で、これはフィアット500が毎月44リットルの燃料を消費することを表します。
燃料の単価を170円とすると、44×170=7,480円、つまり月々のガソリン代は7,480円です。
もちろん、実際の燃費はカタログ値より落ちますし、ガソリン代も変動しています(走行距離も人それぞれ)。
ゆえに、ひとつの目安としてお考えください。
ちなみに、低燃費で知られるトヨタのヤリスハイブリッドの場合はどうなのでしょうか。
- 月間走行距離:800km(年間1万km)
- 燃費:36.0km/L
- レギュラー単価:160円
ご覧の条件で燃料代を算出すると、3,552円となります。
フィアット500のガソリン代が月々7,480円なので、ヤリスハイブリッドは半分以下です。
もちろん、フィアット500の内外装の可愛らしさは唯一無二ですので、このあたりのコストは(国産車とくらべても仕方ないと)割り切りが必要です。
2. 整備費用(部品代や修理費用)
フィアット500はイタリア車です。
パーツを日本まで輸送するためのコストがかかるため、国産車にくらべて部品代が割高です。
近所のカーショップに売ってるその部品でいいや……とはいきません。
フィアット500の部品代、工賃はともに国産車の2〜3倍かかるとお考えください。
ヤリスなら1万円で済む整備が、フィアット500の場合には2〜3万円かかる、ということです。
たとえるなら、国産のチーズよりもイタリア産のチーズのほうが高いようなもので、輸送コストが代金に乗っかってしまうのは仕方ありません。
輸入車には日本では一般的でない部品が使われていたりするため、特殊な工具や技術が必要となり、これが工賃にも反映されています。
とはいえ、故障やトラブルに怯えることはありません。
フィアットのディーラーが提供している「新車保証」に加入すれば、万が一クルマに不具合が生じてもタダで対応してもらえます。
つまり、ガソリン代と違って対策が可能だ、ということです。
ただし新車保証に入れるのは「新車で買った場合のみ」ですのでご注意ください。
フィアットの中古車を買ってきて、ディーラーで「新車保証お願いします」はできません。
もしフィアット500を中古で買う予定なら、「新車保証継承」と表記されている個体を選びましょう。
いわゆる新古車というやつで、たいていはディーラーで試乗車として使われていた個体です。
もし新車保証に入らなければ、故障やトラブルはすべて自己負担で対応するハメになります。
トランスミッション(デュアルクラッチ)が壊れると修理や部品交換に20〜30万円かかる場合もあるため、安心してフィアット500に乗れるよう、新車保証には必ず入っておきましょう。
3. 自動車税
自動車税は年に1回、春にかかる税金です。
税額はエンジンの排気量によって決定されるため、輸入車かどうかは影響しません。
フィアット500には自然吸気エンジンとターボエンジン(TWINAIR)の2種類があり、
- 自然吸気 1,240cc:30,500円
- ターボ 875cc:25,000円
それぞれご覧の排気量および自動車税となっています。
ヤリスやアクア、フィット、ノート、スイフト、MAZDA2あたりの国産コンパクトカーはどれも税額30,500円ですので、フィアット500TWINAIRの25,000円は"お得"だといえるでしょう。
エンジンのスペックを比較すると、
- 自然吸気:最高出力69ps、最大トルク102Nm
- TWINAIR:最高出力85ps、最大トルク145Nm
このように、TWINAIRのほうがパワフルであることがわかります。
しかも最大トルクが1,900回転で発生するため(自然吸気モデルは3,000回転)、街中を気持ちよくスムーズに走れます。
「飛ばすわけじゃないし、ターボは必要ないかな……」
と考えている方もいるでしょうが、燃料代や自動車税のメリットを考慮すれば、ターボモデル(TWINAIR)のほうがお買い得だといえます。
ただし車両価格が高いのはTWINAIRですので、後はぜひ予算とご相談ください。
まとめ
フィアット500の維持費は、国産コンパクトカーにくらべて割高です。
燃費はそこそこで、使用燃料がハイオクなので、それなりにガソリン代がかかります。
部品代や工賃は国産車の2〜3倍と高額です。
予想外の大きな出費を避けるためにも、FIATが用意している有償の新車保証サービスに加入したほうが良いでしょう。
もし中古で買うなら、新車保証継承がマストな条件です。
自動車税はTWINAIRが25,000円で、これは国産コンパクトカーよりも安く、お得です。
とはいえターボエンジンですので、"走りが遅い"なんてことはありません。
フィアット500の走りが気になる方は、ぜひディーラーで試乗車を運転してみてください。
試乗予約はFIATの公式Webサイトから行えます。
お洒落なルイ・ヴィトンのバッグは高額で、人と被らないGUCCIの財布も高い……イタリア製のフィアット500もおなじです。
国産車より割高なぶんは"センスへの支払い"だと考えて納得するのが良いのかもしれません。
事実、フィアット500の内外装はセンス抜群で、国産車の比ではありません。
フィアット500チンクエチェントには、数字で表せない価値があります(だから維持費をケチッて諦めるのはもったいない)。
以上、フィアット500の燃費と維持費についてでした。
【結論】燃費はボチボチ。指定燃料はハイオク。部品代など整備費用は割高。自動車税はツインエアなら安い。だけどフィアット500には、これらの金銭的デメリットを補って有り余るほどの所有する喜びや、運転する楽しさがある。購入を迷っているならディーラーで試乗してみよう。
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