この記事では、為末大著『走りながら考える』を読んだ感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『走りながら考える』の感想
本書では、400mハードルで活躍した著者が、人生のハードルを乗り越える64の方法を紹介しています。
率直な感想としては、すべてのメッセージが深い。
ありがちな"スポーツ選手が書いた本"ではありません。
自己啓発というより、もはや哲学です。著者は答えのない問いを立て、とことん考え抜いている。
その思考を覗き見ることができます。
読者も人生について考えられる良書だと感じました。
人生は時間との勝負
「人生は時間との勝負」だと著者は述べています。
プロスポーツ選手として活躍できる期間はそう長くはありません。
たいていのスポーツは、30代になれば体力の低下との闘いがはじまります。
一生現役の陸上選手、サッカー選手、野球選手として食っていくのは不可能。 かならず引退のときがやってくる。
だからこそ、つねに終わりを意識しているのだ、と。
そうした危機感のようなものは、人生もおなじだといいます。
たしかに私たちの人生も確実に死へと向かっています。残されている時間は長いようでいて、じつはあっという間。
では、残された時間をどのように生きればいいのでしょう。
あきらめろ
著者は「あきらめること」が肝心だといいます。
なんだかネガティブに聞こえますが、そうではありません。
あれもこれもやるには人生は短い。だからあきらめたことが多いほど、大切なことに集中できる。
もし大富豪を目指すとしたら、 テレビを見ること、友人と遊ぶこと、恋人とのデート、会社員としての出世、それから付き合いのいい人間になることなど、いろいろをあきらめなければなりません。
すべてを目指していたら、きっとどれもが中途半端になってしまいますし、肝心な「大富豪になる」という夢が叶うこともないでしょう。
すべてがそこそこの状態で人生が終わってしまいます。
だからこそ、自分はなにをあきらめて、何をあきらめたくないのか、それを考えることが大事なんだと。
プロの料理人と、イラストレーターと、小説家、それからボクサー。すべてを目指すには、人生は短すぎるので。
じつはあきらめている
さらに「確かになぁ」と感じたのは、「私たちはたくさんの可能性をあきらめている」という著者の指摘です。
あなたがふつうの会社員なら、ラーメン屋の大将になること、政治家になること、フェラーリに乗ること、世界一周をすること、女優と付き合うことなど、様々な可能性をあきらめているでしょう。
「いつの間にかあきらめていること」と「納得したうえであきらめていること」は雲泥の差だと著者はいうんですね。
納得して「おれはラーメン屋は開業しない」と決めたならいい。
でも、その可能性を考えていないとしたらマズい、ということ。両者は似て非なるものです。
だから「自分の他の人生」について思いを巡らせることが大事なのだそう。
あきらめている他の人生の可能性に気づくべきだ、と。
そう考えることで、人生の幅が広がっていく。人生の軸が出来ていく。
こうした考え、素敵だと思います。
まとめ
久々に「素晴らしい本を読んだ!」という感じです。
答えのない問いを考えつづけ、自分なりの答えを見つける著者は、まるで哲学者のようでした。
文章も断定するのではなく「だと思う」など、とても謙虚。
短所についての考え方などは、読んでいて心が軽くなります。
「人生のハードルを乗り越える64の方法」が書かれた本書について、2つほどの乗り越える方法を紹介してきました。
まだまだ書きたいことはありますが、だったらみなさんが読んだほうが早い。
ですので、これ以上書くのは"あきらめて"終わりにします。
自信の持ち方、1番を目指す理由、本番に強い選手の特徴など。
気になる方はぜひ本書を読んでみてください。
以上、為末大著『走りながら考える』を読んだ感想でした。
ひとまず私は、モデルになる人生をあきらめます。短足なので。