電気自動車を選ぶ際、われわれはモーターのパワーや航続可能距離などといった「数字」に注目しがちです。
ですが、EV購入を検討する上でまず注目すべきは、バッテリーの冷却方法です。
航続可能距離は二の次で構いません。
なぜなら、バッテリーの寿命を大きく左右するのが「バッテリー冷却装置」だからです。
バッテリーの冷却装置がショボいEVは、たとえるなら、スーパーで買ってきた肉を常温で放置するようなものだといえます。
冷蔵庫に入れて冷やさなければ、肉は長持ちしません。すぐ腐ってダメになります。
電気自動車のバッテリーもおなじです。
きちんと冷却しなければ、バッテリーはどんどん劣化し、性能が落ちていきます。
この記事では、
- 水冷式と空冷式のちがい
- 日産リーフはどっち?
など、「電気自動車(EV)選びのキモであるバッテリー冷却装置」についてわかりやすく解説します。
ぜひ参考にしてみてください。
電気自動車(EV)選びはまずバッテリー冷却装置から
電気自動車は、バッテリーに充電した電気エネルギーを使い、モーターを回して動力を得ています。
ただし、生き物がどんどん衰えていくのとおなじように、バッテリーもまた、さまざまな要因により劣化していきます。
ちょうど、スマホや携帯を長く使っていると、だんだん充電(バッテリー)の持ちが悪くなってくるのとおなじです。
高い金額を払って買ったにもかかわらずEVのバッテリー性能が年々落ちてしまったら、オーナーとして良い気はしません。
では、バッテリーの寿命を左右するものはいったい何でしょう。
答えは、温度です。
バッテリーは、高温になるほど劣化が進みます。
ゆえに大切なのは、バッテリーの温度管理です。
バッテリーの冷却装置は2タイプ
バッテリーの温度を管理できるように、電気自動車には冷却装置が搭載されています。
バッテリー冷却装置には、
- 空冷式
- 水冷式
これら2種類が存在します。
優秀なのは、水冷式のバッテリー冷却装置です。
たとえばあなたが、フライパンを触って指に火傷を負ったと想定してください。
- 扇風機の風で冷やす
- 水道水で冷やす
どちらのほうが火傷した指を冷やせるでしょうか。
当然ながら後者です。
風よりも水を当てたほうが、冷やしたい対象の温度をより低くできます。
バッテリーの冷却装置もおなじで、風を使う空冷式よりも、水を使う水冷式のほうが温度管理に優れています。
できる限りバッテリーの劣化を避けたい方は、水冷式のバッテリー冷却装置を採用しているEVを選ぶと良いでしょう。
日産リーフは空冷か水冷か
電気自動車のパイオニアともいえる日産のリーフは、初代(2010〜2017)、現行型(2017〜) ともに「空冷式」の冷却装置を搭載しています。
つまり日産リーフは、火傷した指に扇風機をむけて冷やそうとしているわけです。
冷却装置がいっさいついていないスマホのバッテリーよりはマシですが、それでも水冷式には劣ります。
バッテリーの適温は20度前後で、本体が60度を超えると劣化が進むとされています。
充電中にバッテリーの温度は上昇しますが、残念なことに、空冷式ではバッテリーをじゅうぶん冷やせません。
なぜなら、充電中イコール停車中だからです。
いうなれば、扇風機が止まっている状態です。
バッテリーを冷やすためには走行すべきですが、充電中には走行できません。
ゆえに私たちは、リーフのバッテリーが劣化していくのをただ黙って見ているしかないわけです。
走行性能やデザインはさておき、EV選びにおいてバッテリーの寿命を重視するのであれば、日産リーフにはやや不安要素があるといえます。
まとめ
電気自動車(EV)選びのキモであるバッテリー冷却装置についてお伝えしてきました。
ポイントは、水冷式のバッテリー冷却装置を採用しているEVを選ぶことです。
日産リーフは、初代、現行型(2017年〜)ともに空冷式です。
ゆえに、バッテリーの温度管理に長けているとはいえません。
EVの普及を目指してコストを削った結果でしょう。
いっぽうで、
- テスラ
- ホンダe
- VW
- アウディ
- メルセデス
などの電気自動車は、いずれも水冷式バッテリー冷却装置を採用しています。
日産が今後発売する予定の電気自動車アリア(SUV)は、リーフと異なり水冷式となる予定です。
空冷式はもはや時代遅れだといっても過言ではありません。
スマホとちがい、EVは「バッテリーの性能が落ちてきたから買い替えよう」とはいかない金額の製品です。
だからこそ、バッテリーの寿命を左右する冷却装置に注目すべきではないでしょうか。
もちろん温度管理がバッチリであっても、放充電の繰りかえしや放置によってもバッテリーは劣化しますのでご注意ください。
それから、水冷式バッテリー冷却装置のなかにもランク(性能の差)が存在します。
興味のある方は気になるEVについて調べてみてはいかがでしょう。
たとえば、ホンダeよりも、テスラの水冷式冷却装置のほうが優れています。
以上、電気自動車(EV)選びのキモであるバッテリー冷却装置についてでした。
結論。バッテリーの寿命を考えたら、空冷式より水冷式を選びたい。扇風機の風で冷やすよりも、流水で冷やしたほうが、キュウリの温度を下げられるのとおなじ。
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