30年以上の取材に基づく孫正義の言葉や行動が、時系列で記されています。
ページの左側に日本語の文章、右側には英語の文章が載っていました。
これには、孫氏が英語で話したスピーチやインタビューの言葉を、読者がそのまま体験できるようにする意図があるそうです。
本書のターゲットとなる読者は、起業家および、起業家を志す人々です。
この記事では、井上篤夫著『孫正義 事業家の精神』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『孫正義 事業家の精神』の要約と感想
まずは本書の要約から。
事業家・孫正義の精神を読者が体感し、自らのうちに取り込むことを目指すもの。
孫正義はどんな家庭で育ち、どのようにしてソフトバンク創業に至ったのか。
彼が行っているビジョン・ファンドとは何か。
自らを「事業家」と名乗る孫正義にとって、起業家と事業家、経営者は何が違うのか。
孫正義のこれまでと、これからがわかる一冊。
以上がおもな内容です。
著者の井上氏は30年以上にわたって孫正義を取材しているだけあり、濃い内容でした。
味が濃い料理は健康のために避けるべきですが、内容が濃い本は歓迎すべきです。
天才正義と呼ぶ父親
印象的だったのは、孫正義が育った家庭環境です。
正義氏の父親は、いつも息子のことを「天才正義」と呼んでいたといいます。
正義氏の弟である泰蔵氏(現在起業家)のことも、父は「天才泰蔵」と呼んでいたそうです。
それも冗談ではなく、本気で名前の前に「天才」をつけていた、と本書には書かれていました。
なんと素晴らしい呼称でしょうか。
子どもの自信や自己肯定感を育むうえで、これほど優れた呼び方はありません。
ちなみに孫正義氏の父親も、事業家として活躍していたそうです。
孫家がビジネスエリート一家たりえた秘訣は、「天才」という父親の呼び方にあったにちがいありません。
もしあなたや私が名前に「天才」をつけて親から呼ばれていたら、今ごろ通帳の預金残高は2桁ほど違っていたことでしょう。
自らを天才だと信じ、もっと大胆なチャレンジをしていたはずです。
ただし、世の中にはこのような本も存在しています。
親が「天才」と呼んでくれなかったとしても、自分で自分を「天才」と持ち上げれば、われわれもまだ成功できるのかもしれません。
ページ右側の英文は必要なのか
本書は、ページの右半分に日本語の、左半分に英語の文章が記されていました。
対訳のようなスタイルです。
英文を記載した理由として、
- 彼のメッセージを世界に届けるため
- 彼の英語をそのまま日本人に届けるため
これら2点を著者は挙げています。
がしかし、英文を載せているぶんだけページのスペースが減るので、日本語の文章量は減ってしまいます。
文章量を減らしてまで英文を載せる必要があったのかどうかは疑問です。
英語の学習用テキストではないため、本書が対訳スタイルをとる必要はありません。
海外の人にも孫正義氏の精神を伝えたいなら、本書の英訳本を出せば済みます。
孫正義が海外で答えたインタビューを英語のまま知りたい、という物好きな日本人が大勢いるとも思えません。
著者が翻訳した日本語の文章を読めれば、それでじゅうぶんです。
文学作品ではないので、表現の美しさや、ニュアンスの差異にこだわる人はそうそういないでしょう。
ゆえに、本書の英文は不要だといえます。
たとえばあなたが「ビジネスで成功する方法」という本を買ったとして、ページの右側半分が英訳に割かれていたらガッカリしませんか?
英文をカットしてもっと内容を充実させてほしいと感じるはずです。
本書もおなじです。
まとめ
孫正義氏という人間について知れる一冊です。
彼のこれまでと、これから目指すところが、簡潔に記されていました。
右側半分に載っている英文は、100円回転寿司のイクラ軍艦に載っているキュウリのようなもので、端的にいって邪魔でした。
まるで英語学習のテキストを読んでいるかのような気分になります。
ページの半分しか使っていない本書ですが、それでも内容は濃いため、読んで損はありません。
孫正義の精神に触れたい方に本書はおすすめです。
くわえて英語の勉強中であれば、これほど都合の良い本はないでしょう。
以上、井上篤夫著『孫正義 事業家の精神』の要約と感想でした。
結論。孫正義について知れる本。半分日本語で、半分英語。日本人にとっては英語が邪魔だし、外国人にとっては日本語が邪魔。誰もがちょっとだけ不満を抱く本。
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